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167 第一皇女もまた、クレハのすべてを知っていなかった

「まぁ、調べれば簡単に分かることだから、別に話すクネ。皇帝、砂糖に関して技術面でどれだけのことを知っているクネ?」


テクネー王妃は砂糖のことに関して語り始めるが、まずは皇帝に対し、どれくらいの知識があるのかと尋ねる。


「むっ?砂糖と言えば、こちらの大陸では育てることは難しく、他の大陸から船を使い輸入しているのではなかったか?確か、この大陸に属している国はすべてそうだったと記憶しているが?


以前に、この大陸でも砂糖の材料となる作物を育てようとした人間がいるという文献を読んだ記憶はあるが、成功はしなかったと書かれていたな。」


皇帝は自身の有している知識を話し始める。その内容はテクネー王妃が言いたいことをすべて言っていた。


「よく知っているクネ、私の言いたいことを全部言ったようなものクネ。要するに私が何を言いたかったかというと、砂糖の精製など不可能ということが固定概念だったクネ。」


「テクネー王妃、何を当たり前のことを話しているんだ?そんなことは不可能とどんな文献を読んでも書かれているし、俺だってそんなことはやろうと思ったさ。


なんたって砂糖の精製に成功すればこの帝国の大勢の人口を使って大陸中に国に砂糖を売りつけることが出来るからな。財政が一気に潤うことになるだろう。だが、研究者たちにどれだけ研究をさせても成功しない。完全にうちではボツになった研究内容だよ。」


そう、かつてはこの皇帝もシュガードリームを夢見て砂糖に関する研究を行わせていたのだ。しかしながら、その研究はどうしても上手くいくことが出来ず、大量の資金を投じた研究でありながらその計画は頓挫してしまった。


「だから、その固定概念がクレハによって打ち砕かれたクネ!クレハは自身で精製した砂糖を使って作ったケーキを万博で出店していたクネ。自国で開かれている万博の出店物なのに、何も気が付かなかったクネ?」


「なっ!砂糖の精製に成功していただと!そんなの初耳だぞ、どうして俺の耳に入っていないんだ!」


「当たり前クネ、聞いたら簡単に教えてくれたクネが、そんなこと自分から大々的に話すわけがないクネ。というか、そんなことは言われなくても分かるやつは分かるクネ!」


すると、第一皇女は何かを思い出したように考え込む。そして、彼女もようやく不自然さに気が付いたのだ。


クレハの元を訪れた時はあまりのケーキの美味しさに何も考えていなかったが、あれだけ甘いものをこの万博で出店し続けるなど、輸入物の砂糖に頼っていれば金がいくらあっても足りず、その資金を出しているコーカリアス王国は破綻してしまうのだ。


しかし、そんな素振りなど一切なかった。つまり、輸入物の砂糖など、鼻で笑えるような価格の砂糖を使用していたことになる。


この時、第一皇女は初めてクレハの真の価値を知ったのだ。


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