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145 クネ!

「クレハ、よく来てくれたわね。それで、本当にあの金額で足りたのかしら?もしも足りなければ追加の資金提供はできるわよ。」


王妃が心配していたことは今回の万博でクレハが出店するために必要な資金に関してだ。あらかじめ、ケーキなどはふんだんに砂糖を使用すると聞いていたために、安定供給が行えると言っても相応の資金が必要だと王妃は考えていた。しかし、クレハから必要と言われた金額は王妃の想像をかなり下回った金額であり、逆に心配になっていたのだ。


「大丈夫です、すでに頂いている金額で十分ですので心配しないでください。」


「そうなの?あなたがそう言うのならいいけど、もしも足りなくなったときは遠慮しないで教えてね。」


王妃はクレハのことを心配しているが本当にクレハは無理していないのだ。そんな話を王妃と行っていると二人の会話を突然遮る人間が現れる。


「オーッホッホ、ごめん遊ばせクネ。!あら、ここにいらっしゃるのは毎年、大した技術力もないのに無駄な展示ばかり行っているガラクタ王国のナタリー王妃様じゃないですかクネ?」


そんな失礼な言葉で王妃に喧嘩を吹っかけてきたのはクレハとそう変わらない女性だった。ちなみに、出合い頭にオーッホッホと言っているが定番の縦ロールではない。


もしも、この文言で縦ロールであればクレハは途端に彼女を見た瞬間に吹き出してしまっただろう。クレハにとって、彼女が縦ロールでないのは不幸中の幸いだった。


そんな彼女の言葉を聞き、一瞬だけだが王妃の雰囲気が変わった気がしたのはクレハの気のせいではない。


「あら、そう言うあなたは鉄のことしか考えられない鉄くず王国のテクネー王妃様じゃありませんか?今日は石のドレスは着ておられないのですか?」


「ぷぷっ、石のドレスですって言いましたかクネ?そんな発想に至るからガラクタ王国と呼ばれるのですクネ。そんなものでしかドレスを作れないなんて技術力がない証拠クネ。晩年、わが国よりも技術レベルが低いガラクタ王国には視察くらいならさせてやってもいいクネよ?」


「うぐっ。」


王妃は技術で低いと言われてしまえば事実であるため、何も言い返せないのだ。悔しそうにしながらテクネー王妃をにらみつけている。


「まぁ、今年もせいぜい指をくわえて我が国の勝利するさまを見ているクネ!それでは、ごめん遊ばせクネ。」


テクネー王妃は現れた時と同様に甲高い声で笑いながらクレハ達の元を去っていくのだった。


「ふふ、ふふふっ、あはははっ。」


すると、突然王妃が笑い始める。この笑い方はサラに食べ物を奪われた時と似ていたため、クレハは一瞬身構えてしまったが、それは杞憂だった。


「ああ、笑いをこらえるので精一杯だったわ。ねぇ、クレハ、あの自信満々の顔を見たかしら?自分たちは絶対に負けると思っていない顔よ。あの顔が万博に出店するクレハのケーキを食べればどうなるのか見ものよね。今から考えるだけでも今日はいい夢が見られそうよ。」


「ということは、あの方が例のバカにしてくる他国の王族という方ですか?」


「そうよ、彼女は最大の鉱石資源を有している国、オリクト王国の王妃テクネー王妃よ。鉱石資源が大量にあるから技術力に関しては非常に高いの。


うちはそこまで技術力が高くないから毎年、毎年、馬鹿にされてきてね、いつかやり返してやろうと考えていたのよ。」


「なるほど、そう言うことであればギャフンと言わしてあげなければなりませんね。安心して下さい、ケーキをひとたび食べれば瞬く間に虜になってしまいますから我が国の出店ブースに大量に観客が押し寄せてきますよ。」


ルークはケーキを食べて以来、すっかりはまってしまっていた。


「そうですよ、王妃様。あれを食べてしまえばほかのお菓子なんてお菓子と思えなくなりますよ。ふふっ、これで商会にたくさんの注文が入りますよ、お菓子の覇権をケーキで勝ち取りましょう!」


「そうね、二人ともありがとう。あんなやつ、目じゃないわ。狙うはお菓子界の覇権よ!」


「「おーっ!」」


三人は打倒オリクト王国に花を咲かせていたがその後ろではサラがうらやまし気に三人を見つめているのだった。


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