143 アホには強制退場がお似合いです!
「婚約者じゃなかったんですか?妾ではさっきと言っていることが違うと思いますよ。」
もちろん、これの婚約者にも妾にもなる気にはないが、先ほどと言っていたことが異なっていたため確認を行う。
「あぁ、ごめんね。もしかして期待しちゃったかな?さすがに平民の君を正妻にすることなんてできないよ、それくらいわかるでしょ?まぁ、僕と婚約できるなら妾でも正妻でも関係ないよね。」
こう言う人間とはいくら話しても意味がないということをクレハは思い出す。そもそも、ただの平民が大人数で街に入り、宿を借りるということ自体があり得ないのだ。それに気づかない時点で第四皇子の頭が足りていないことを証明しているものだ。
クレハは話しても無駄だと理解し、第四皇子にはこの部屋から退場してもらう。クレハの一声で外で控えていた護衛たちが皇子をつまみ出そうと動き出す。
「話し合いの必要はないようですね、誰か!この人を部屋から追い出してください。いくらこの国の皇族と言えども他国の貴族の部屋に許可もなく押し入ることは問題です!つまみ出して構いません!」
「な、何を言っているんだい?君はただの平民じゃないか。ちょ、君たち!僕はこの国の皇族だぞ、おい、離せってば!」
最後までクレハの言うことを信じられず、宿を追い出させる残念な第四皇子であった。
翌朝、いつの間にかあのポンコツ皇子はいなくなっていた。護衛の報告によれば宿から追い出された後、彼の護衛たちとすでに去っていたのだ。
「まったく、あの皇子には二度と会いたくないですね。今から帝都に向かうので無理な話かもしれませんが彼と出会わないことを祈ります。」
クレハがこれからの予定を考えると憂鬱な表情を浮かべていた。そんなクレハに昨日はあまりの衝撃に黙り込んでしまったルークは質問する。
「オーナー、一応聞きますけど婚約者がいたんですね?お相手は皇族じゃないですか。それに、プロポーズされていたじゃないですか!」
ルークはクレハが皇子のことを気にも留めていないことを本当は理解しているが一度は言ってみたかったのだ。
「ルーク、私も一応言っておきますが彼を婚約者と思ったことは一度もありません。彼の頭がお花畑で残念なだけです。それと、あれにプロポーズとかどんな罰ゲームですか!私なんか昨日は鳥肌で眠れませんでしたよ。」
クレハは両腕で体をさすり、鳥肌を治めようとする動きをした。
それからというもの、帝都への旅は特にトラブルもなく順調そのものだった。ようやく帝都へと到着したのだ。あとは王妃と合流し、砂糖を大量に使ったスイーツを大陸中に宣伝し、真のスイーツというものをこの世界に広めるだけである。
もちろん、万博ではサラにケーキが食べられてしまわないように細心の注意を払う予定だ。
それに、王妃のことやコーカリアス王国の技術力を馬鹿にしていた王族のこともある。万博でケーキを公開し、その例の王族を出し抜くことができると想像すると今からワクワクが止まらないクレハであった。
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