Peace.2 結
------僕と木玖------もし君と恋人なら
原作 ニケ
キャラクターデザイン 梅郎
Peace.2 結
【登場人物】
栞宇宙
高校二年生ど陰キャ、普段は右目を髪で隠している。
木玖音子
高校二年生陽キャギャル、時々ポニテになる
うさぎちゃん?(本名不詳)
音子が書店で出会った女の子。うさぎちゃんと名乗る
木玖優
小学1年生、音子の弟
「〜♪」
陽が西に傾く頃、ルンルンと鼻歌を歌いながら、書店への道を歩いている。
普段の姿とは違いポニーテールで髪型を整えており、The、運動系女子に見える格好だ。
「あった!!えっと、今週の『381。』センターカラー!!」
学校1の陽キャギャルが幼い子供のような無邪気な表情。感情を隠しきれていない。
私が買ったのは「週刊少年フライ」。
50年続き、数々の名作を生み出して来ている。
その中でも『381。』という作品が面白いんだよこれが。弱小スパイとして活動し始めた女主人公が6人の仲間達と最強のスパイへと成長していく、大胆かつコメディ有り、恋愛有りの王道アクション漫画!!ヤバっ…熱く語りすぎちゃった…。
フライを手に取り、『381。』の単行本を求めて店の端にあるコーナーへと足を運ぶ。するとそこには、自分よりも身長が低い、横顔を見ただけで「あ、可愛い」と分かる女の子がちょこんと立っていた
「この子、私が店に入った時もいたよね…」と不思議に思う。それもそのはず、音子は店に入ってきて15から20分位はほかの雑誌、漫画を探したりちょっと立ち読みしたりしていた。ほんのちょっとだね?かれこれ30分位は店にいるのに、その子はずっと『381。』のコーナーのところで単行本最新11巻を眺めたり、立ち読みしたりしている。いくら私でも30分同じ場所にいることは無い。
「あ、あの〜381、好きなんですか?」
流石は陽キャ。すぐに赤の他人に話しかけられる勇気が凄い。
「ニコッ……。そんなところ、」
なんということでしょう。振り向いた瞬間天使のような微笑み……女の私でも心を奪われる。
「か、可愛い……」一瞬清い森の中に居るのかと思うくらいその笑顔で心が澄まされる。
「貴女高校生よね?貴女も好きなの?381。」
「あ、え、うん!好き!」
「どんなところが?……ニコッ」
森の精霊のような優しい声で問いかけてくる。ほわほわした雰囲気をかもし出している。ただ、どんなところが?という質問を受けて、心に火がついた。いや、火が着いてた所に油を注がれた
感じ。私が381。を語れば止まらない。
「私が1番語りたいのは主人公の『月』!!
「ふむふむ」と興味深そうに聞き入っている。
ますます燃えてきた
「仲間をとにかく大事に思う心、どんなに辛くて過酷なことにも諦めずに立ち向かう心、とにかく『月』の…」
「心の強さ!!」
「あ……」
信じられないくらいに声がシンクロして驚く。それ以上にこの子も私と同じ考え方をしていた事にすこぶる嬉しい、
「あはは……なんか嬉しいな、381。にそんなに熱く語ってくれて……ニコッ」
妖精のような柔らかい表情で話しかけられ、我に帰る……またやってしまった…夢中になって語りすぎる癖治さないと。
「何それ、作者みたいなコメント(笑)」
「ふふ……今日はありがと!話せて楽しかった」
「あ、いや!全然!そういえば、まだ名前聞いてなかった。私は音子って言うの!貴女は?」
自己紹介遅すぎると自覚はしてる……
「んー……うさぎちゃんって言えば分かるかな?……、あと、同じ学校だったら宇宙によろしくね……ニコッ」
出入口に向かいながら振り向き、とびきりの笑顔、女神のような雰囲気で微笑み去っていった。
「いやいやいや!……」
ツッコミどころが多すぎる。えーっと、まずはなんで宇宙って知ってんの!?宇宙って栞のことだよね!?学校であんなほわほわしてる人なんて見たことないから、あの女の子は同じ学校では無いはず。居たらすぐに気がつくし……多分男子に囲まれてるから……。
そしてもうひとつ、「……。」
『381。』の単行本をもう一度よく見てみる。
原作・作画という文字の横に書かれていたのは
うさぎ という名前だった
まさかと思いながら帰路に着いた。
この後に起こる事なんて知るはずもなく……。
本屋の出来事を振り返りながら、テキパキと夕食の準備を始めていた。
ママは遅くなるらしい……。
「もう18時前だ……遅くなっちゃったわね…。」
辺りはオレンジ、そして段々と紺色になりかけていた。
雲もほとんどなく、星が綺麗に見えそうだ。
ピンポーン…ピンポーン……。
静かな家の中に呼び鈴の音が響く。
「優かな?はぁーい。」
水道の蛇口を回し水を止め、手の水滴をタオルで拭き取ると、廊下を小走りで駆け玄関の扉を開ける。
「はぁーいって優!?あんた何よその怪我!」
半分開いた扉の前に居るのは膝を擦りむき、少量の血を垂らす弟がいた。これは流石にびっくりした。
「あのねぇ〜お兄ちゃんが助けてくれたの〜!!」
「へぇ〜お兄ちゃんが!……ん?」
お兄ちゃん?え?1人でここまで来たんじゃないの?
「ねぇ、優、そのお兄ちゃんどこにいるの?」
「どこってここに」半分開いていた扉からひょこっと顔を出したのは……
「……え!?」
「あ……」
2人は驚きの表情のままフリーズした。
「お姉さんちゃん達知り合い?」
「うん、ま、まぁそうだよ。あはは……。」
そこにいたのは栞…のはず、なぜ曖昧なのかと言うと、栞と思われる男は、声も、話し方もしおりのまんま、でも髪型は違うし、右目を髪で隠しておらず、目がはっきり見える。その目は左目は黒、右目は白色と、左右の目の色が違っていた。
「え、栞だよね?」
「あはは……そうだよ、栞宇宙、」
「ん〜…。」
やっぱり目が見える方がかっこいいと思ったことは置いといて、雰囲気が全く違うので別人だと疑ってしまう。優とゲームをしている栞をじっと見つめていたけど、ちらっとこっちを向いた時はちょっとドキッとしちゃった……。
「そんなにじーっと見ないでよ、照れるよ、」
「あんたにも恥ずかしさってあるのね……」
「俺をなんだと思ってるの?」
「あ〜、また負けたぁ……お兄ちゃん強すぎるよ……」
「ん?……ゲーム得意なの?」
悔しがる弟を見た後にテレビ画面にずらすと
3対0という数字が栞側に5個並んでいた。5セット先取のこのゲーム、弟は1度もセットを取れず負けていた。栞……大人気ない。
「まぁね、結構やり込むよ……」
出されたお茶を飲み干し答え
「あ、そうだ、音子さんにあったら渡そうと思ってたんだこれ、踏んじゃってちょっとクシャってなっちゃったけど……」
放課後に拾った紙を渡す…それには、音子ドキッと名前が書かれていた。
「な!?中身……見た?//」
今までとは比べ物にならないほどに顔を赤くして確認してきた……耳も赤いし、視線もわざと合わせないようにしている……。
おっと危ない、心を奪われるところだった。
「見たよ…漫画家目指してるの?」
「そ、そうよ…悪い?」
「い、いや別に」
強気な態度をとっているものの、顔はリンゴみたいに赤い……やばい……。
「面白かったよ、、、。」
「え?」
「漫画…ちょっとしか書かれてないけど、面白いよこれ……。」
今度は恥ずかしそうに顔を赤らめ、どこか嬉しそうな表情を見せてくる。
「そ…そう、良かったわ。」
「で、でさぁ…今度の日曜日、家に来ない?」
言ってしまった……超恥ずい……。
「え?まさかエッ…」
「チなことじゃないよ!!だいたいあって1週間でそんな事しないよ……あと、優も来て欲しいし…」
あ、そうかと音子は思ったのだった
「漫画家目指してるのなら、会わせたい人がいるんだ……。」
「会わせたい人?まぁいいけど……」
「なら、また連絡するよ…」
疑問を持つもつい了承してしまう。もちろん弟は大満足。ご満悦の様子……。
「お兄ちゃんの家行けるの?やったぁ!」
「いっぱいゲームやろうな、優……あ、そろそろ帰るね、俺……」
腕時計を確認して帰宅する事を伝え
「あ、うん!!またね!」
こうして波乱の1日が終わった……でも栞ってイメージとだいぶ違うんだなぁ、
「あ、優のお礼でも軽く言お、、」えっと、栞、栞は…………。
スマホをポケットから取り出し画面をスクロールさせていくも、
「……。」
……栞と連絡先交換してないじゃん……。
Peace.2 結(終)
次回Peace.3 巡り 3月20日(土)配信予定
2話目はとにかく詰め込んだなぁ……
もう少しゆっくりのペースでいい気がするけど、楽しくなって止まらない…。
新スタッフも加わった事だ、気合い入れるぞ、
皆様も最後までよろしくお願いいたします。
あ、あと4月1日にキャラクター紹介小説の配信を予定しております!
特別書き下ろしも収録しているので、是非ご覧下さい!
【次回予告】
Peace.3 巡り、
翌日、学校で栞と木玖の2人が話しているのを見ていた同じクラスの如月さん、雑賀君は2人の関係を聞くべく動き出す!?
一方、栞が髪を切らない理由を知った音子は…。
3月20日土曜日 配信予定