街にやってきた!
「カアッ!カアッ!」
「あ…カラスが鳴いてる」
カラスが鳴いたということはもう夕方ということだ。
私は手早く洗濯物を取り込んだ。
多くの洗濯物が入った洗濯籠を持って棚の前まで行く。
洗濯物をたたもうとした。
(あ…そうだ…)
思い出した。
私はいつものように孤児院の庭にある両親の墓の前で一日の報告をする。
「お母さん!今日、ルンがいたずらをしてたいへんだったのよ〜元気なのはいいんだけどね〜」
「お父さん!今日、レイがハイハイできるようになったのよ!すごいでしょ!」
ルンとレイは孤児院の子供の名前だ。
私も元孤児院の子供だ…
少女は薄い赤い色の髪を気にしながら料理をするためキッチンに向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ドッドッドッ!」
大きな音を立てて俺をのせたゴロアは走っている。
俺はあいかわらずゴロアにのせてもらっている。
ゴロアは俺をのせているにも関わらずとても速い速度で走っている。
「ん?なんか見える!」
俺は小さな点のようなものを見つけたのだ。
その点はだんだん大きくなっていき街だとわかった。
「ゴロア!ついについたぞ!」
「まじか!おっしゃ〜」
「おう!って速いはやいぃぃやあああ」
ゴロアはものすごくスピードをあげて走った。
その後案の定俺は吐いた。
「ここが鹿のおっさんが言った街か!」
ゴロアは初めて見る街に心躍るようだった。
無理もない、ゴロアにとってあの森から出ること自体がもう冒険なのだ。
だが俺はなんていったって東京育ちなのだ。
そこまで驚かない…はずだった。
「す…すげぇ…」
ルビアルが教えてくれた街は思ったより大きく、周りは高い塀で囲まれている。
いかにも何かが攻めてきても大丈夫なように建てた感じだ。
(あれは行商人とかか…)
塀のところには高さ四メートルぐらいの入り口があり、そこには人がたむろっていた。
馬車を引いてるやつが多く、行商人っぽい。
「ここに証明書がありやすぜ!」
「ふむ…そうだな…通れ」
通る人たちは何かしらを門番的なやつに見して通っている。
(俺たちは大丈夫だよな…)
そんなことを考えていた。
俺たちにはルビアルのお墨付きがあるのだからと自分を鼓舞して門まで歩いていった。
そんな中門番の一人がこちらに気づいた。
だがその門番の表情はいかにも敵意むき出しのものだ。
「なんだ貴様ら!亜人の手のものか!」
「いや全然違い…」
「ウゥ~」
否定しようとしたが警報音的なやつに遮られた。
「なあゴロア?」
「ん?」
「なんかやばくね?」
「たぶんめっちゃやばいな」
「だよな~」
俺たちの予想通りやばかった。
警報音を聞きつけたのだろう。
騎士みたいなやつらが来た。
しかもめっちゃ強そう。
俺は若干逃げ腰になりながらここで逃げても捕まると考えて立っていた。
そして騎士の一人が口を開いた。
「我らもなめられたものだな~たった二人とは!」
「そうですね~たとえ亜人の身体能力が人間より高いとはいえ二人ではどうにもできないでしょう」
前に出ていた一際強そうな二人がそう言った。
一人はいかにも豪胆といった見た目だ。
もう一人はイケメン君な感じだ。
「まあ…油断せずぱっぱと片付けますか~」」
「そうだな!」
そして今にも俺たちに斬りかかってきそうだ。
俺は対話を試みた。
「あの~俺たち、ルビアルの紹介で来たんですよ!なんで敵とかそういうのじゃない…」
「守護神様?そのようなことを信じるとでも?」
(あ…無理じゃん…)
俺はもう諦めそうになった。
そんな横でゴロアは…
「は?ツカサはともかく俺が負けるわけがないだろう!」
「なに挑発してんだよ!?」
だが意外に勝てるんじゃないかと思っていたりする。
ゴロアの凄さは今までに見てきたからだ。
しかしここは争いで解決するのはよくない。
「あの〜このアクセサリーあるんですが〜」
そう言って俺はルビアルから貰ったアクセサリーらしきものを見せた。
そうすると…
「ん?あれは守護神様の…なぜ貴様らがそのような神聖なものを持っている?」
前に出てきた騎士の一人が不思議そうに俺たちに聞いた。
「ルビアルがくれたんだよ、これを見せたら街に入れるってな!」
俺は自信満々に言った。
これは偽物ではないからうしろめたくもなんともない。
だが…
「いや偽物という可能性もある……」
いやに疑り深いやつだ。
どうしたものか…
「おい!一回それをよこせ!」
イケメンじゃない方の騎士がそう言った。
何をするのか…
「ルビアルに渡されたものだからよく知らんやつに渡すのは気が引けるんだけど…」
「だがそうしないと俺たちはお前らを斬ることになるぞ?本物とわかったら返すし」
(ふむ…どうしたものか…)
ここで渡してもいいのだがだいたいは「これは本物じゃない!」とか言って斬ってくる。
それが異世界のテンプレだ。
そう考えていると…
「このゴロア様がいるから大丈夫だ!」
「ゴロア…」
そして俺は決めた。
「ほらよ!」
「うむ!確かに預かった!」
「おい!ラグイ!勝手に決めるな!」
「では今この場で鑑定しよう!」
「だから…話を聞くのだ!」
ラグイとかいう騎士はイケメン騎士を押しのけて、アクセサリーを鑑定しだした。
「我が神聖なる魔力…アーク・モニター!
「ふぅん…」
ラグイは魔法を使いアクセサリーが本物か鑑定しているらしい。
「本物なら虹色に光るはずだ!」
俺たちは注目した。
「虹色に光っているだと…」
イケメン騎士が目を疑う光景を見てるように呟いた。
アクセサリーはラグイの手元で光りだした。
虹色だった。
「ふむ…お前らは本当に守護神様の紹介で来たようだな!」
「ああ!最初から言ってるしな…」
「いやよかったぜ!」
俺とゴロアは反応は違えど安堵した。
どうやったら面白くなるか考えてます。