疲れ
俺とゴロアはその日は森にとどまることにした。
もう夜が近かったし、一晩ぐらいは…とルビアルたちに止められたからだ。
「ほう!ツカサ殿は異世界で自殺をしたと?」
「あ〜そうだ!何しろつまらない世界でな〜」
「じゃあこの世界は面白いですぞ〜」
「いや〜そうですな〜」
「「ワッハッハー」」
俺は満喫していた。
ルビアルたち、森の長老たちは寂しがり屋が多かった。
なぜかというとなんでもそこら辺の魔物だと…
「ウマ…ウマ…」
「ネム…ネム…」
などの簡単な意思表示しか出来ないらしい。
ルビアル達のようにしっかりと意思疎通ができるのはそこまで多くない。
しかも喋れるどうしはもう何百年もの仲になるものが多いらしく、もはや喋らずに目線だけで相手が何を言いたいか分かるらしい。
つまり、喋れる新しいやつが来てめっちゃ嬉しいということだ。
魔物ということで顔はみんな怖いがすごくいいやつばかりだった。
目の前には人間のように調理された料理がある。
何百年も生きてるとだいたいのことはできるらしい。
「この料理うまいです!」
「そりゃわしが作ったからな!」
ルビアルが作っていた。
指がないのに器用に作っていた。
魔法も使いながら。
だが少し思うところがある。
「ルビアルは森の動物を食べても何も思わないのか?」
長だし守る立場なのでは…と思ったからだ。
「人間も動物は食べるだろう?わしらは同類でも同類でなくても変わらんからな〜」
「あ〜けっこうドライだな…」
「まあ…そんなもんだ…」
翌朝俺とゴロア、そしてルビアルたちで森の東にある人間の街を目指すことにした。
「乗るのだ」
「ん?」
ルビアルがなぜかそう言ってきた。
俺としてはバリバリ歩きだったのだが……
「ここの森はお主が思うより広いぞ?」
とのことで俺はルビアルの背中に乗った。
俺の前にはゴロアが乗っていた。
魔物のため乗り心地は悪いのかと思ったが意外といい。
そして…
「では行くか!」
ルビアル以外の魔物の長老さんたちはここでお別れらしい。
「また来てくださいね〜」
「寂しくなりますな〜」
「次は他のゲームで遊びましょ〜」
そうこいつらは寂しがり屋だ。
「おうら!もちろんだ!また…」
俺は別れの挨拶を言ってる最中にルビアルは走り始めた。
そう…めちゃくちゃ速かった。
「うげげげげぇぇ…」
「ひゃっっほ~い」
(死ぬゥうううううううううううう)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後森の最東端に着いた。
俺は三時間寝ていた。
いや気絶していた。
ルビアルが走り始めた後一時間ほど走っていた。
気持ちよく走れるのならよかったのだ。
だが何しろ速いのだ。
しかもめっちゃ揺れるし。
ゴロアは楽しそうだったが俺には地獄だった。
「ツカサ弱すぎ~」
ゴロアは起きたばかりの俺に対して心配するような気配すらなくからかってくる。
「仕方ないだろが!あんな強烈な振動があったら普通は酔うんだよ!」
「違うな!ツカサは弱いんだ!だが俺が守ってやる」
「やだかっこいい!」
バカにされているいるが守ってくれるらしい。
俺は車酔いとかにはそこそこ強い方だと思っていたが違うのか?
「そんなことより早く行こうぜ!」
空を見ると太陽が真上近くになっている。
ちなみにこの世界にも太陽や月があり、時間の表し方も同じだ。
やはり三時間も寝ていたからかもう昼近い。
そして驚愕する。
目の前には平原が広がっている。
だがとても広い。
ゲームとかの平原とはわけが違う。
そうまさにファンタジー…
「よしっ!じゃあ行くか!」
俺は車酔いならぬルビアル酔いが残っていたが、ゴロアが容赦なくそう言ってきた。
だが…
「あ…忘れておった…」
「ん?」
そうルビアルが言ったので俺たちはルビアルを見た。
そうすると急に目の前が光出した。
何事かと思い、身構えた俺たちの目の前には首輪のようなものが宙を浮いていた。
「「何これ?」」
俺たち二人は何なのか分からずルビアルに聞いた。
「これはな、街での身の安全のためにつけておく方がいい」
「ほう…なんか魔法がかかってんの?」
そう目をキラキラしながら聞いたが…
「いやかかってないけど…」
「じゃあ何なんだ!」
俺は叫んだ。
「簡単に言えばそれがないと街では不審者と思われて尋問を受けることになる」
「は?」
「いやもしかしたら亜人のゴロアがいるから処刑なるな…」
「どういうことだよぉぉお!」
俺たちはいまだに冒険の手前にいる。
感想いただけると幸いです。