この世界
俺はゴロアを無視してルビアルと話していた。
意外にも周りの動物たちは…
「どうぞ長とお話しください!」
「あとで一緒にお話しましょう!」
という感じで邪魔するどころか俺と仲良くしたい感じだ。
そして話すにつれて俺はこの世界についてだいぶ分かってきた。
まず分かったのはやはりこの世界は異世界らしい。
まあそうだろうなとは思っていたが。
前にも俺みたいに異世界から来た人がいるらしい。
だがここで疑問ができる。
なぜ異世界へ来たのかだ。
何かしらの理由があるのだろう。
それについてルビアルに聞いてみたところ超極稀に二つの世界がつながるゲートが自然にできるらしい。
たぶんそのゲートになんらかの理由で入ってしまったというのがルビアルの推測だった。
だが俺はそんなゲートとかいうやつに入った覚えがない。
(ん…もしかして…)
ふと思いついた。
「もしかしてなんだけどそのゲートって空中でもできるのか」
「可能だが?」
俺は分かった。
事の真相が。
俺が自殺するためタワーから飛び降りた。
だが、息ができなくなるためすぐに気絶した俺はその後の記憶はない。
起きたらこの世界にいた。
ということは俺が気絶した後に空中でゲートが出来てそこに俺が入ったのではないか。
そう俺は結論づけた。
これで大きなモヤモヤは解消されたのだが他にもまだある。
そう…なぜ俺が動物と喋れるのか。
だが一応解決した。
ルビアルが言うにはそのゲートの中でいろいろな変化が起きるらしい。
体が異形になったり、記憶がなくなったりとかだ。
その中には特殊能力がある。
俺は動物たちと仲良くできるという女の子が欲しそうな能力を賜ったらしい。
まあ…嬉しいんだが。
もう少しかっこいいのが欲しかった…。
そんなところで話がひと段落したところで…
「鹿のおっさん!人化魔法を俺にかけてくれよ~」
ゴロアが待ちきれないといった様子で言ってきた。
「うむ…いいが本当にいいのか?」
「なんでだ?」
「人化魔法は一度かけるともう戻れんぞ?しかもだ、人化魔法といえど完全に人になれるわけではないぞ?」
「戻れなくてもいいけど人になれねぇのか?」
「魚人と言った感じになる」
「じゃあいいぞやってくれ!」
ゴロアは軽かった。
「いや魚人は亜人だから人間には嫌われるぞ?」
「ふうん…まあいいよ、今の姿よりはましだろ」
「しかし…」
「もういいから早くしろよ~」
半ば強引に決まった。
その後ルビアルは仕方なくといった様子で人化魔法の用意をして、儀式的な何かをしはじめた。
「我が神聖なる魔力よ!その者を人に変化させよ!」
そうルビアルが言ったらゴロアの体が光りだした。
そして、ゴロアの体は光に包まれた。
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俺は見違えたゴロアの姿を見た。
そう目の前には裸のイケメンがいた。
顔はとても整っており、モテそうだ。
また、魚なので裸だ。
そして、魚人ということもあり耳はひれのようになっていたりしていた。
「なあ?この魔法をかけたらイケメンに変わるのか?」
「いやそういうわけではないぞ?元々の顔がよかったということだな」
魚だったからよくわからなかったが元々イケメンだったらしい。
「おっしゃ〜」
「ん?普通に聞こえる?」
俺は今までゴロアの声は頭の中に直接入ってくる感じだったが…
(魚人になったことで人間の言葉が喋れるようになったのか…)
そういう結論に俺はいたった。
「ふむ…なかなかいい感じだぞツカサ!」
「そりゃよかったよ」
俺はイケメンのゴロアを羨ましく思った。
そして、俺たちは森を出ることにした。
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