鹿の王
俺たちは今ゴロアの言う鹿のおっさんのところへ向かっている。
だが、そんなことより目を見張る光景が目の前に広がっている。
ゴロアは地中を掘って移動しているのだが…。
「ゴガガガガアァァ」
凄まじい音と振動がある。
それで地中にいたとしてもだいたいの位置が分かり、ついて行ってるのだが…。
(めちゃくちゃだな本当に!)
地中を掘るのだからどんな感じなのか気になっていたがここまでとは。
周りの森の動物たちが怯えているのを見て、すいませんという気持ちになる。
「あの~ゴロアさんや?」
「なんだ?」
地中から声がする。
「森のみなさんが怖がってるんだけど、もう少し静かに行かない?」
「却下する!」
「即答かよ!なぜだ!」
「俺が強いことを示したいからだ!」
「超理不尽!」
俺はこういう先輩が地球にはいたな~と思っている。
「まあ…あとこうするとお前襲う奴らも少ないだろう」
「あ~なるほど」
確かにそれはありがたい。
俺は動物の声が聞こえるのだがそれはゴロア以外も聞こえる。
例えば…
「ニンゲン…メシ…メシ…」
「ニンゲン…ウマ…ウマ…」
めっちゃ俺を食おうとしている。
異世界に来て何も持ってない俺にモンスター的なやつを倒すのは無理だろう。
「ありがとな!」
俺は正直に感謝を言った。
「あたぼうよ!相棒だからな」
相棒になっていた。
~~~~~~~~~~~
俺たちはその鹿のおっさんのところの近くまできていた。
ここに来るまでにどんな奴なのかをゴロアに聞いてみたのだが…。
その鹿のおっさんはこの森の長でとてもいい人らしい。
人ではないが。
いろいろな言語を喋れるらしく、人の言語も喋れるらしい。
魔法も多く使えるらしく、森の中で一番頭がよく、強いらしい。
しかも人間にあがめられていて生きる神的存在らしい。
「いやすげぇな!」
「だろ!あのおっさんすげぇんだよ!」
そのすげぇ奴をおっさんって呼んでるのはいかがなものかと思うが…。
そんな中俺たちは鹿のおっさんの家についた。
家というか巣穴なのだが物凄く大きな木の下で休んでいる鹿がいた。
森の長というからどんなやつかと思ったが意外に普通だった。
サイズ以外は。
見た目は今まで見たことのあるような感じだ。
だが、めちゃくちゃでかい。
後ろの木が大きすぎて大きさが分からなかったが高さマンション四階ぐらいあるのではないか。
その光景に俺も少しビビった。
しかも周りには強そうな魔物が十体ほどいたからだ。
「ん?そこにいるのはゴロアか?」
鹿のおっさんが喋った。
けっこうちゃんとしたおっさんの声だった。
「おう!そうだぞ!」
「何用だ?それとそこの人間はどうした?」
「俺に人化魔法をかけてくれ!」
「突然だな!?それとその人間は?」
「こいつはイセカイってところから来たらしく、この世界について何も知らんから情報収集したいんだと。俺もよくわかんないだが面白そうだから俺もついていきたくてな」
「いや待て!なぜその人間と話が出来たんだ?しかもイセカイ人だと…」
鹿のおっさんは突然のことすぎて頭が追いついていないようだ。
そこで俺は話しかけてみることにした。
「あの~すいません。鹿のおっさん!」
「誰が鹿のおっさんだ!私はこのルヴァルン森林の長にして鹿の王のルビアルだ!」
「あ…ごめんなさい…」
しょっぱなから怒られた。
「うむ…まあいい…というかなぜスパイラルフィッシュ語を喋れるのだ?」
いやそんな言語があるのか…。
「いやわからん。ゴロアが言うには特殊能力らしい」
「うむ…イセカイ人ならそれもわかる…な」
「もしかしてなんだけどこの世界のことけっこう知ってるの?」
俺はルビアルに聞いた。
この森の長だしけっこういろんなことを知っていそうだったからだ。
「まあ…千年ぐらい生きてればな」
「千年も生きてんのか!?」
「そうだ」
いや本当にファンタジーだな。
どんだけ生きてんだよ。
「んで!山ほど聞きたいことがあるのだが…」
「あ~いいぞ!今暇だし」
最初あんな威張ったような名乗りをしていたがゴロアの言う通りいい人だった。
「おい!俺を忘れるなよ!」
そうゴロアが叫んだが俺は無視をして、ルビアルに色々と聞いていた。
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