仲間
俺はスパイラルフイッシュのゴロアと友達になった。
このゴロアは俺と気があう。
魚なのに。
たぶん向こうもそう思ってるだろう。
いろいろと話していくうちにこの森についてよくわかった。
この森はルヴァルン森林といい、この辺りだと一番大きい森らしい。
複雑な構造になっているらしく出るのは一人では無理らしい。
あと凶暴な肉食獣がいるらしい。
「ってかなんで魚なのに知ってんの?」
「うわっ魚差別だわ〜謝りなさいよ!」
「そういえばお前って性別どっちなの?」
「人間で言う男だな!」
「そうか…」
「さっきの質問だが俺は地中を掘れるからな」
「は?」
いやどういうことだ。
「スパイラルフイッシュは魚の強さで言えば最強クラスなんだぞ?」
「いや理由になってないし、ゴロアって強いのか…」
「簡単に言えば俺の頭は硬いからよそれで掘るんだよ。俺クラスになると一日水の中にいなくても生きれるぜ!」
「いやそれもう魚じゃないだろ!」
「魚だし!まあ…そんなことしなくてもここの池の水晶で何もしなくても生きれるのだがな」
そうここの池の中心には水晶がある。
よく分からんがその水晶は生命エネルギーを放出するらしく、食べなくても生きれるそうだ。
「森のことはそこそこ知ってるから出口近くまで案内してもいいが…」
「なんだ?」
「俺も連れてけよ…」
「は?」
「だから俺を連れていけ!」
「なぜだ?」
「冒険したいから!」
「待て!この世界は冒険職があるのか?」
俺は早口になりながら言った。
「人間にはあるぞ?」
俺は握った拳を高々と天に挙げた。
だが、俺は一つの問題に気づいた。
「というかどうやって冒険するんだ?水がないところもけっこうあるはずだろ?」
当然の疑問だった。
ゴロアは魚のためいくら一日中息しなくても大丈夫でもきついだろう。
「あ~それは大丈夫よ、鹿のおっさんが人化魔法を使えるらしいから…」
「ちょっ!ちょっと待て!」
「あ?」
「いや魔法って言ったか?」
俺はまたもやファンタジーの用語が出てきて嬉しくなった。
「あ~お前イセカイだっけ?そこから来たから魔法知らないのか。この世界には魔法はあるぞ!」
「まじか!」
俺は想像していた。
人化魔法は文字通り人にするのだろう。
ということは他にもあるのか…。
「おい!何ニヤニヤしてるんだよ…。」
俺はニヤニヤしていたらしい。
まあ…しょうがないっすね。
「すまんすまん」
「そんなことよりお…俺を連れていってくれるか…」
スパイラルフィッシュというかっこいい名前に似つかずおどおどと言った。
「いいよ~」
「え?」
「だからいいよって言った」
「まじか」
「うん」
「よっしゃー!」
ゴロアは嬉しそうに叫んだ。
「ゴロアがいたそうが心強いしな」
「ははっ!そうだぞ!」
ゴロアは魚なので表情が分かりにくいが確実に満面の笑みだろう。
「あと気になったんだけど人化魔法をしたらサイズはどうなるんだ?」
なぜこんな質問をしたというとゴロアは見た感じ十メートル以上あるからだ。
普通の人ならこいつ初めて見たら腰を抜かしてしまうだろう。
だが、俺は自殺した人間だ。
そんなことで驚かない。
「人間サイズになるらしいぞ」
「あ~よかったわ。さすがにでかいからな」
「そうだな」
「じゃあその鹿のところに行くか?」
「あ~行くか!」
だが、俺は気づいた。
「仲間に何も言わなくていいのか?」
この池には他にもスパイラルフィッシュがいる。
たぶん仲間だろう。
別れの挨拶はいいのか…。
「いやいいんだ。あいつらずっと寝てるだけでほとんど喋ってないし」
「最強クラスなのにか…」
少し残念なことを聞いた。
「さっき言ったろ?水晶の影響で食べないから狩りをしなくていいから…」
「な…なるほど」
「俺はあんな環境にずっといるのはごめんだからな!冒険したい!」
「うしっ!じゃあ行くか!」
「おうっ!」
俺たちはゴロアの言う鹿のおっさんのところへ向かった。
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