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“嫉妬”

何も無いただただ真っ白な空間。空間《ここ》には私と彼女の2人のみ。だから私は問うた。彼女に…彼女の名を。


「貴女はだれ?」


彼女は答えました。


『私は“感情”。貴女の“感情”』


私はよく分かりませんでした。だから次に名前を問いました


「?……名前は?」


“感情”は答えました。


『私は“嫉妬”。貴女の中にあるその身を焦がす、溢れんばかりの酷く醜い“嫉妬”』


“嫉妬”……聞き覚えのある言葉ではありましたがその“感情”を抱いた覚えはありませんでした。故に私は問いました。


「私は誰に“嫉妬”しているのかしら?身に覚えが無いわ。」


“嫉妬”は答えました。


『あら、そんなはずは無いわ。貴女はたしかに“嫉妬”しているもの。思い出して?貴女が愛した彼女に会える“彼”の事を。』


その言葉で私は自覚しました。抱いている事を。“彼”に対して。酷く。激しく…汚い…醜い“嫉妬”を


その時私の感情は決壊しました。

そして、“嫉妬”は私の中から出てきました。この口を通して、溢れ、零れ落ちました。


「あぁ妬ましい…狡い…私は彼女を愛しているのに…こんなにも深く!誰よりも!何よりも!愛しているの!なぜ!なぜ会わせて貰えない!なぜ彼女を一目見ることさえ出来ないの!」


私は酷く醜く、汚く、“嫉妬”しました。


「あぁ、愛してる…」


泣きながら…醜い“嫉妬”を抱く私自身を嫌悪しながら私はそう、呟きました。






『そう、それでいいのよ。醜く、汚く、“嫉妬”に“私”に身を委ねなさい。』


丸まり、泣き叫ぶ私の傍でそう小さく、でも確かに“嫉妬”は呟きました。

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