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14話 出来ない事出来る事

二人が友達になった事でそのまま一緒に旅をすることになってホッとした。だって、女の子の一人旅…しかも、目が見えないなんて子ほっとけないもの。


食事が終われば宿を取り、私とラミ、唯ちゃんとマリアンちゃんでそれぞれ部屋を借りたんだけど…唯ちゃん、凄く嬉しそうだったな。やっぱり歳が近い子が一緒にいると安心するのかしら?なんにせよ、また元気が出てきたみたいで良かった。


「なぁ、唯の奴、嬉しそうだったな。昨日までの空元気が嘘みたいだ。」


「そうね…ふふ、ラミってば私より心配してるくせに全然表に出さないんだもん。チラチラ声をかける素振りだけ見せて自分からは声をかけないし…」


「悪かったよ…唯にさ、なに言ったらいいかわかんなくていっそ黙ってた方が良いかと思ったんだよ。あたしが変に何か言ったら余計に落ち込むかも知れなかったから。」


「ま、その気持ちはわかるけどね。あんなに無理して笑われるとこっちまで辛かったもの…それを指摘するわけにもいかなかったしね。」


「マリアンのおかげだな…あたしらじゃ何もしてやれなかったからさ…」


そう言って椅子に座り込むラミの顔は少し寂しそうだった。ラミだって一生懸命唯ちゃんを守ってたんだからそんな事無いのに…でも、きっと自分が頑張っても出来なかった事を誰かがあっさり出来たのが悔しいんだ。


やれやれ…普段は格好いい癖に不器用で繊細で悩みやすいんだから。


「ん…なんだよ…」


「別に?ただ、こうして欲しそうだっから。」


「子供扱いするなよ…」


「逃げない癖に。」


「うるさいな。」


「ね、今度はさ…上手くいくよね?」


「当たり前だ…その為に引き受けたんだ。最初に約束しただろ、絶対だって。」


「うん…そうだね。」



「おっはようございまーす!」


「お、おはようございます。」


唯は私に元気よく挨拶をしてくれた。ただ、挨拶をされただけなのになんだか嬉しい。友達って凄いな、どんどん私に新しい事を教えてくれる。


「それじゃ、今日も願いの為に頑張りましょー!」


「お、おっー!」


そうして、唯は私の手を引いてくれる。ラミさんとセーナさんと合流して朝食を取ることに。


「おはよう。よく眠れた?」


「唯は話が長いからなかなか寝かせてくれなかったんじゃないか?」


「あ、大丈夫です…お話も楽しかったし寝覚めも凄く良いんです。」


「そっか、そりゃ良かった。」


「それじゃ、早速本題なんだけど…マリアンちゃんはどうしてこの街に?何か試練の手掛かりがあったの?」


「あ、ごめんなさい…特にそういう訳じゃ無いんです…ただ、村から一番近くて大きい街だったから…」


「そう…じゃあ、その辺はまた探してみるしかないわね。それと、もう一つ聞きたいのだけど…あなた、どうやってここまで歩いてきたの?疑う訳じゃ無いけど盲目でここまで一人で来れるとは思えないの…」


「あ、それは…お守りがあって…これが私を引っ張ってくれてその先に進めば良いって。」


首飾りを手に取る。小さい頃、お父さんが買ってくれた唯一の物。大した物じゃ無いって言うけど私には凄く嬉しかった。買ってくれた日から一日も離さず身に付けていた大切な物。お母さんも似合ってるって褒めてくれた。


「これ、私のヘアゴムと一緒で最初に神父さんに大切に持ってなさいって言われたんだって。」


「うん、それでエノマの街に行きたいって思ったら勝手に…」


「へぇ…そんな事まで出来るのか…じゃあ、試練の場に行きたいって思えば案内してくれるんじゃないか?」


「あ、なるほど。ラミさん冴えてるね、試してみようよ!」


そうして、二人でそれぞれ試練の場に行きたいって願ったけど…何も起きなかった。最初は手の中で暖かくなって勝手に引っ張ってくれたの…


「うーん、何か条件があるのかしら?」


「ま、駄目なら駄目でしょうがない。とりあえずまた教会にでも行けばなんかヒントはあるだろ。もしかしたら、この街が試練の場かもしれないしな。」


そうして、ラミさんの言うとおりに教会へと向かうけどこの街ではそう言った記録は無いらしい…街の人に聞き込みをしても願望者とはここ数年誰も会ってないらしくて何も情報は得られなかった。



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