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13話 友達とご飯

街につくと早速セーナさんオススメのレストランへ行くことに。栄えた街だけあって人や露店が多くて油断したらすぐはぐれちゃいそう。マリアンさんはオロオロしながら頭を振り回していた。目が見えない彼女にとってはどっちがどっちかわからなくなっちゃう状況なのかも知れない。


だから私は彼女が安心して進めるように手を握った。そうすると「きゃっ」って小さく声をだしたから「私だよ。はぐれないようしっかり握っててね」って言ったらギュッと握り返してくれた。


(やばい…可愛い…瞼を閉じっぱなしだけど顔立ちは整ってるし、むしろそれが儚さっていうかか弱さっていうかを引き立ててる…しかも、これ金髪が凄い綺麗だよ。旅してるのになんでこんなに綺麗なの?セーナさんもだけど美容魔法とかあるの?)


「おいこら。前見てねーと危ないぞ?」


「はひっ!ご、ごめんなさい!」


見とれてるとラミさんに怒られた。そうだよね、私がちゃんと歩いてないとマリアンさんにも迷惑しちゃうもんね。とりあえず…じっくり鑑賞するのは後にしないと…。


それから、レストランに入って丸テーブルに座った。メニューを見ても読めない字だから二人に任せる事に。そういえば言葉はわかるのになんで文字は読めないんだろ?


「あ、あの…すみません、私…お金はそんなに持ってないので…一番安い物をお願いします…」


「あら、いいわよ今日は私が出すから気にしないで?」


「おっ、じゃああたしも久し振りにがっつりいこうかね!」


「貴方は自分で出しなさい…とにかく、一人旅で大変だったでしょう?こんな時ぐらいは素直に甘えてちょうだい。」


「で、でも…そんな、会ったばかりなのに…」


「そんなの関係ないよ。セーナさんがこう言ってるんだし。それに…私達もう友達だしさ!」


ちょっと強引だったかな?でも、このままじゃずっと遠慮しちゃうだろうしこのぐらいが良いかも?


「友達…そ、それじゃあもし私に何か出来る事が会ったら言ってください…何か、お返ししないとですから。」


セーナさんは私に親指を立てて良くやったって合図してくれた。マリアンさんもなんだかちょっと嬉しそうで今までで一番流暢に喋ってた。ラミさんはずっと一人でメニュー見てた…


それから頼んだ料理は名前が違うけどグラタンやピザやパスタなど見覚えのあるものばかりだった。でも、元の世界で食べた物とは違った味付けで驚いた。もちろん美味しかったんだけど電気もガスも水道も無いのにここまで美味しく作れるなんて凄い!どうやって作ってるのか教えて欲しいな、旅が終わったらレストランで働いてみようかな。


「なぁ、そういやマリアンはなんで旅してんだ?仲間はいないのか?」


「あ…私、生まれつき目が見えなくて…それで、目が見えるように…」


その瞬間私はピンときた。


「もしかして、マリアンさんも…願望者?」


「は、はい…もって言うことは…」


「うん、私もお兄ちゃんが幸せになりますようにって願ってるんだ!」


「そうなんですね…お兄さんの幸せの為だなんて凄いですね…私なんて自分の事ばっかりで…」


「ううん、目が見えないのに旅に出る方が凄いよ!それに、私はラミさんとセーナさんが居てくれたからここまでこれたんだし…」


「いいな…私、こんなだからお父さんにもお母さんにも嫌われてて…だから、誰もついて来てくれなかったんです。お金も無いから誰かを雇う事もできないし…」


「そうだったんだ…じゃあさ、私達と一緒に行こうよ!ね、良いよね二人共!もしかしたら報酬も二倍になるかもよ?」


「もちろん私は良いわよ。それに、そんな事言われてほっとけないもの。」


「そうだな…もしも、唯が駄目でもマリアンならやれそうだしな。」


「えっーひっどーい!」


「…ふふ、うふふ…」


「あ、マリアン笑うと凄い可愛いね。」


「え、そ、そうかな?そんな事言われたの初めて…」


「そうだよ!目が見えるようになったら一番に見て良いぐらい可愛いよ。」


「あ、ありがとう…わ、私…誰かとこんなに喋ったの初めてで…凄く楽しくて…わ、私…なんか…」


マリアンの目から涙が溢れてきた。頬を真っ赤にさせてボロボロ溢れる涙を必死で手で拭っていた。


「もう、泣くことないじゃん。そんなに嬉しかったの?」


「嬉しい…?嬉しいのに涙が出てくるなんて…私、変ですね。」


「そんなことないよ…嬉しい時にだって涙は出てくるよ。悲しいときよりも気持ちいいでしょ?」


「うん、うんっ…ありがとう…」


それから、ハンカチで涙を拭いてあげて泣き止むまでずっと手を握っていた。




嬉しい時にも涙って流れてくるなんて知らなかった…今までは誰かに酷いことを言われたり何も見えない事が辛かったりした時に出てくるだけだった。それで、泣いてるのがお父さんとお母さんにバレると部屋に閉じ込められた。


だけど、唯さんは私の手を握ってくれた。その手は凄く暖かくて安心した。街の中を歩いてる時も嬉しかったけど今はもっと嬉しかった。ずっとこうして握ってて欲しかったけど、気持ちが落ち着いてしたらゆっくり離した。


「ご、ごめんなさい。料理、食べれなかったですよね?」


「ううん、気にしないで。マリアンと一緒に食べたいから。」


「そ、そう…あ、あの…私も唯って呼んで良い?」


「うん、もちろん!」


その一言でまた嬉しくなって涙が出てくるかと思った。でも、違った。口元が上がって顔の形が変な風になった。


それから、唯と一緒にご飯を食べた。上手く食べれない私に料理を口へ入れてくれたりお喋りしながら食べた料理は今までで一番美味しいって思えた。


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