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通学というよりも通院

 同じ轍を踏むまいと、目覚まし時計とスマホ2つの目覚まし機能を使ったのだ。だから、俺は遅刻することなく登校したかった。


「おはよう、彩音」

「こんにちは、暮人。今何時か分かる?」

「いやぁ、わかんないっす」

「そう、午後1時前よ」


 校門には生徒会長様がいらっしゃった。しかも俺の返答が気に入ったらしく、怒りマシマシだ。目が据わっている。アレは何人かやってますわ。


「昨日遅刻しないように言ったでしょ。何故遅刻というか欠席しているのよ?」

「かくかく.........すんません。単純に寝坊しました」


 昨日ウケたしイケルと思ったが、相当ご立腹らしくそのまま続けたらシバかれそう。入学式は終わったようだ。


「寝坊ねぇ、じゃあ、その怪我どうしたのよ?」


 右腕の肩から肘にかけて裂傷を負ったので応急処置して、一応見えないようにしたのだが、お見通しだった。学校内じゃ隠し事できんな。


「あはは」

「あはは、じゃないわよ。とりあえず保健室行くよ」


 怒り収まらずといった感じだが、怪我については心配そうな視線を向けている。そう心配されると、今日の入学式を大切にしてたみたいだし、てきとうな返事しかしていないことが少し申し訳ない。


 連れてかれた保健室には魔女がいる。三角帽子とローブを身につけているとかではなく、魔性な女とかでもなく、妖怪みたいな、魔に属するナニか的なアレだ。髪はボサボサ、目には濃いクマ、草臥れた白衣。胡散臭い雰囲気と見た目。それに反して腕は確かで、死んでなければ治す技量と異能がある。そんな保健医。魔女先生(本名不明)である。


「やあ、問題児くん。また怪我をしたのかい。馬鹿だなぁ」

「いつもすんません、治療お願いします」


 怪我人や病人をまずは罵倒するのが魔女先生だ。普通ならクビになりそうなもんだが、技量と実績で黙らせられるのだ。それだけの力があるならもっと上の学校に行けそうな気もするが、この学校くらいがちょうど良いと以前言っていた。


「治療は終わったよ。はよ出てきな。怪我人、病人以外はいらないよ」

「ありがとうございます。失礼します」


 数分と経たずに治療完了、傷があったのが嘘みたいだ。流石である。腕の調子を確かめながら保健室から出ると彩音が待っていた。


「すまんな、付き合わせちまって」

「別に良いわよ。それより、“また”怪我の理由は話せないわけ?」

「すまん」

「.........」

「.........」

「はぁ、仕方ないか。行くわよ」

「行くってどこに?」

「アンタ自分のクラスわかんないでしょ。案内したげる」

「お、おう」


 俺と彩音は同じクラスだった。連れて行かれた教室には俺の席と、彩音のカバンが置いてある席があった。入学式も終わって残っている生徒もいないため、教室は閑散としている。

 明払高校はカタカナのコの形の校舎を中心に東に体育館とプール、北に異能科用の訓練場、南に運動場という立地になっている。校舎内は北は普通科、南は異能科というように分かれている。出入り口は異能科も普通科も同じところにある。そのため、異能科と普通科でも顔を合わせる訳だ。


「クレくん?」

「兄貴......」


 黒髪が腰近くまであるお淑やかそうに見える少女と色素の抜けた亜麻色の髪を後ろに纏めた少女から声をかけられる。

 出くわしたくない、異能科の妹と幼馴染と会うのも当然なわけだ。


 



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