鋭いナイフ
寝入るとき人の心の裏側を耳にするときがある。
親友だったり、友達だったり、知人だったり、好きなミュージシャンの声だったり。結構的を得た発言でもあるからつい聞きいってしまう。結局夢なんてそれまで蓄積された情報が何らかの形で頭の中で炸裂するんだろうからとは思うのだけど どうしてここまで人の気持ちを聞かされなくてはならないんだろうと、悩んんだりもするのだ。
今日はさっき見たばかりの傷ついた少年たちの夢の話をする。
1日4時間の労働でも疲れ果てるわたしは、旦那さんにご飯を作り一緒に食べ、すぐに敷きっぱなしの布団が敷いてある寝室にクーラーをかけて横になる。明日食う飯にも困らない、暑ければクーラーをかけて横になれる。この上ない幸せな時間やなーと呑気に横たわってると、すぐさま寝入り眼球の鋭い少年たちがわたしを見つめてきた。目が爛々と輝くとは言いにくい、とても寂しそうだが強さを放つ複雑な視線。するとナレーションが入る。
彼は板金工の仕事をしていた。しかし会社の金が紛失し濡れ衣を着せられる 20万の取り立てを受け 支払い、生活費に困った彼はこの施設にこの施設に入所した。彼らは窓際の壁の机の前に、間隔を空けて、あぐらをかいて座っていた 以前赤い少年で描かれた少年たちは、わたしと遊んでくれたが、この少年たちの姿に友好的な雰囲気は微塵にも感じられなかった。わたしは彼らと一緒になぜか部屋を出る 彼らの姿は透き通って消え入りそうになる。わたしは彼らと距離があるから、はっきりと姿が見えないんだと言い聞かせ、彼らは怖くないと言い聞かせる。すると、うっすらと面影が映る わたしは怖くないと言い聞かせながら、彼らに歩調を合わせ歩いていた。すると、行き先が二手に分かれた階段で、わたしと彼らは、逆の方向を歩きだす。わたしは、あわてて彼の後を追う。すると、素早く行く手を塞がれた。彼らはナイフを取り出し、わたしを挟み、ナイフを投げあった。時たまナイフはわたしの袖を鋭く引き裂いた。
器量のいい女きれぇなんだよ。彼らはわたしを罵る。わたしは彼らに、器量のいい女になるしか、食いっぷちがなかったんだよと、またしても言い返してしまう。そしてとうとう彼らのナイフはわたしの腕を射抜く。痛い。彼らが受けてきた傷と等しく痛む。しかしわたしは怯まない。抗ってから死ぬと言い切り彼らのナイフの中に飛び込んでいった。それが正しかったかどうかはわからない。しかし、彼らに射抜かれた腕は彼らが受けてきた瞳に残る傷と等しく、目が覚めてからも痛かった。