待ち合わせ
駅で待ち合わせをしていると、晶たちが現れた。
舞は相変わらず晶に寄り添って歩いている。
朋樹がうれしそうな顔をして、手を振った。
「晶ちゃんっ」
晶は、白いブラウスに水色のデニムスカートをはいていた。歩くたび膝が見え隠れする。
陽一は一瞬、ぼうっと晶を見つめた後、すぐ後ろに見知らぬ少女がいるのに気付いた。
強烈にオーラを発しているクールな美少女だ。
朋樹もその少女を見つめていた。
「待たせたか?」
晶が言うと、朋樹は大きく首を振った。
「全然、時間通りだよ」
晶たちは約束の時間に来てくれた。
陽一が見知らぬ少女を見つめていると、晶がすぐに紹介してくれた。
「この者は、瑠稚婀と申す」
「外国人?」
「そうではないが…」
晶が苦笑すると、瑠稚婀がちらりと陽一を見た。
「そなたが陽一か」
威圧的な口調で陽一はびくっとした。
「は、はいっ」
「ふむ」
瑠稚婀がじろじろと見ている。
陽一はものすごく緊張した。
「顔の造作は悪くないの」
瑠稚婀の言葉を聞いて、陽一は仰天した。
自分の容姿を褒められるなんてめったにない。
「そ、そうですか?」
「ふむ」
ちら、と朋樹を見た。
「そなたは?」
「僕は朋樹です。陽一の友達です」
「そうか。二人とも突然で申し訳ないが、わらわも一緒によいか」
陽一は言葉遣いに一瞬、口を開けそうになった。
彼女はどこの国から来たのだろう。
「ど、どうぞ」
「もちろん、大歓迎ですよ」
朋樹も大きく頷く。
瑠稚婀も加わり、五人は歩き始めた。
朋樹がこそっと話かけてくる。
「なんだか、すごい女の子だね」
「そうだな」
ちらりと見ると、瑠稚婀は澄ました顔でまっすぐ前を向いている。
陽一はさりげなく晶に近寄った。しかし、
「ま、舞ちゃん、久しぶり」
と晶に声をかけたいのに、緊張のあまり舞に声をかけてしまった。
晶がすっと朋樹の隣に行ってしまった。
あっと思ったが、晶と朋樹が仲良く話し始める。
「陽一さま、わたくしに遠慮する必要はございませんのよ」
舞がおずおずと言った。
「そ、そんな事ないよ」
「わたくしは全力で、晶さまと陽一さまの手助けを致します」
「そ、そんな…」
「陽一とやら」
ぬっと瑠稚婀が現れた。
陽一はびくっとする。
「は、はい」
「そなたの家はまだかの」
「もうすぐですよ。あの、俺の家ではなくて、じいちゃんの家なんスけどね。古い家なんだけど、部屋が大きいから楽かなと思って」
「祖父の家とな」
瑠稚婀が興味深く眉を動かした。
「面白い」
一人でうん、と頷いた。




