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ベネ・メレンティに祝福を  作者: 美浜忠吉
プロローグ
2/21

勇ましき者達

 この無限に広がる宇宙(そら)には、大いなる自然が広がる幻想的な世界がある。

 そこは、生命の源となる魔素(マナ)が溢れる壮大な大地が広がり、水質もアクアマリンの様に青く透き通り、吸い込めば心が穏やかになる程に空気も澄んでいた。

 その世界の名を住人達は“アビモペクトル”と呼ぶ。


 だが、それだけ神の御恵みを授かった世界でも邪な人心は変わる事もなく、貧しい日々を送る者は裕福な者を僻み、また、不真面目な者は真面目な者を妬む。

 そうしてそこから生み出される鬱憤は、この世界のどことも分からずに溜まってゆき、魔物と呼ばれる存在を創り出す。

 その魔物は魔素を大量に吸い取るので、放っておけば大地はいずれ生命力を失い作物も育たなくなり、人が住むのに困難な世界が訪れる事になり兼ねない。


 そこで、この世界に唯一存在する王国――アブソルトジャスティアでは、その魔物に対処するために様々な組織が創設された。

 一つは宮廷騎士団。およそ三百人の騎士で成る騎士団は、主に国王の住まわれる城内と国内全体を防護することを生業とする。

 一つは宮廷兵団。およそ五千人の兵士を多種多様な部隊に分け、魔物の討伐、他町村に暮らす住人達の守護等を生業とする。

 一つは宮廷魔術団。およそ四百人の魔術師達は四つの部門に分け、どうすれば魔物をこの世界から失くす事ができるかの研究を生業とする。

 これだけ魔物に対抗する手段を用意しても、魔物を全て殲滅することなどできなかった。


 その理由は第一に、人はどんな形であれ恨み辛みの感情を生むものであり、これをどうにかするのは例え神の子が落としたと噂される貴重な存在――聖人の手を以ってしても、不可能に近いと言われる。

 第二に、この世界を静かに支配する魔王の存在がある。魔王がその場にいるだけで人々は不安な心を煽るうえ、それによって心も荒んでしまい、怨念も増幅される。


 そんな絶望的に感じる状況の中でも、この世界に暮らす住民達は、家族のため、あるいは大切な者のために宮廷騎士団や兵団、魔術団に入る事を積極的に望んでいた。

 その者の勇気はまさに、先代の魔王を討った伝説の勇者――スペス・ゲントの姿をイマジンさせた。

 そんな勇者を志す若者達によって、この物語は幕を開ける。

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