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第五話 入港と休息そして買収

こちらではお久しぶりです、主力が新生連合艦隊ですからどうしても、執筆速度が遅くなってしまいます。ご了承ください。

9月14日 早朝


大型帆船飛鳥 船尾操舵甲板


飛鳥が航海に出て4日目、飛鳥は猛烈な時化に突っ込んでいた、横揺れ、縦揺れがひどく、飛鳥は船首を高く持ち上げたと思うと、今田は船尾が空につきあげられる、さらにヨーイングつまり船首を左右に振る揺れが起き始めていた、この揺れでは、操舵は難しく、現在は祐司自ら操舵の指揮を執っていた。


「針路変更220!ヤードを左開きに変更!面舵30!」


「左舷側のブレースを緩めろ!慎重にやれ!」


靖彦は船員に激を飛ばす


飛鳥の上層甲板では、命綱をした船員たちが海水をかぶりながら、左舷側のブレースを緩める、さらに船員が4人がかりで舵輪を懸命に回す。


飛鳥は右に35度傾き、針路を変更する


「・・・舵戻せ!」


「「「「よ~そろ~!」」」」


「せ、船長!見えました!八丈島です!」


船橋甲板で待機していた瑚太郎が船尾操舵甲板まで来て報告する


「そうか!もうひと踏ん張りだ!気合い入れろ!」


「了解だ!船長!おい!お前ら聞いたか!気合い入れろ!」


丁度その頃、飛鳥に搭載された無線機が八丈島港湾管制局からの航海通信を受信した、それは、来船に対する歓迎の言葉と入港手続きであった


祐司は通信室に向かい、音声通信で八丈島港湾管制局に通達した


「こちら、第1級フリゲード艦、飛鳥、船籍は日本国、船籍番号13121029番、私が船長の西九条祐司だ、入港目的は補給及び乗組員の休息」


祐司がそう言うと、雑音に混じり、返答が届いた


『船籍番号13121029番飛鳥、入港許可が下りました、規定入港速度8ノットで進入ルート115に乗ってください、停泊場所は港内第3埠頭7番バースです』


「了解した、管制官感謝します」


祐司は交信を終えて、通信室の伝声管を使用し指示を出す


「機走準備!江坂さん!機関始動準備お願いします!」


『了解した』


飛鳥の船員は機走準備のため動く、船尾操舵甲板から船員が移動する


祐司は操舵室に入り、針路変更を指示する


「航海長!現在針路は220だが、此処から進入ルート115に乗るにはどうしたらいい」


「はい、速度8ノットで、最初の旋回転まで15分!そこで取舵10だと思います」


「うむ・・・上出来だ!航海長、両舷前進微速、速度8ノット」


「宜候!」


瑚太郎は2つのエンジンテレグラフを操作する、飛鳥は2軸推進の為、左舷側と右舷側に一つづつ、エンジンテレグラフがある、何故か外見が古いタイプの物であった(映画タイタニックで出てくるものを想像してくれればいいです)ちなみに舵輪も巨大な物であった。


話を戻す。


瑚太郎はエンジンテレグラフを操作する、エンジンテレグラフはSTAND BYからAHEAD SLOWを指す。


だが機走に変更したとはいえ、まだ横揺れ、縦揺れ、ヨーイングはひどく、祐司自ら舵輪を握っていた


祐司は巧みに舵を取り無事に進入航路に入った、その時、航海レーダーを凝視していた朱音が報告した


「大変よ、航海レーダーが正しければ、左舷に大型船!こっちの針路に割り込もうとしているわ!」


「なんだと!」


祐司は舵を下士官に任せて、操舵室を出て双眼鏡で問題の大型船を見る


「・・・東アジア貿易会社のキングストン級戦列艦・・・」


東アジア貿易会社とは大英帝国のロンドンに本社を置くイギリスインド貿易会社の子会社である、イギリスインド貿易会社の規模は世界屈指を誇り、帝国重工業とはたびたび衝突を繰り返している、東アジア貿易会社はマカオを拠点とし、その勢力を伸ばしている


「ランカスター極東に配備された最新鋭艦だ、如何します船長」


瑚太郎が双眼鏡をのぞき艦名を確認する


「決まっているだろう、針路速度ともに維持せよ、朱音!指揮所に急げ!」


「分かったわ!」


朱音は操舵室を出て主砲射撃指揮所に向かう



「あいては基準排水量7500トンの怪物ですよ、主砲だって本船よりでかいし」


「航海長!弱音を吐くな!たとえ相手が戦列艦だろうと戦艦だろうと優先航路は俺達だ!それより抗議文を送れ!」


祐司は弱音を吐く瑚太郎に激を飛ばす、瑚太郎は慌てて信号灯で抗議文をモールスで送る


「距離1500mを切りました!これ以上接近されると」


「左舷全主砲照準開始、目標ランカスター!何時でも撃てる準備をしておけ」


祐司は伝声管で指揮所と連絡を取る、朱音からの返事はなかったが、下から重厚な機械音が響いた


飛鳥の左舷ケースメイト式に配置されている32式65口径76mm速射砲8門がランカスターを睨む、同時に自動装填装置が起動し主砲甲板の下層にある弾薬庫から徹甲弾が揚げられた、だが揚げられただけで、まだ装填はしていない


飛鳥とランカスターの距離は1000を切り、互いの火器を睨みあう状態であった


だがランカスターは回避行動をとり離れて行った


「ら、ランカスター離れます」


「ふん、まったく連中は自分の意のままに世界が動くと勘違いしている」


祐司は少し機嫌を悪くしたが、飛鳥は針路を維持し、無事に八丈島第3埠頭7番バースに接岸した。


飛鳥は機関を停止し、電力も外部供給に切り替えられる、その間、掌帆長の靖彦が帆の格納を指揮する、全ての帆が格納されたころ港務官が飛鳥にやってきた


入港手続きの為やってきた港務官は船長室に案内され手続きを続ける、だが・・・


「少し高くありませんか?」


「何を言っているんですか此処は太平洋の外縁、地獄の一丁目です料金が高くなるのは当然です」


「だがな・・・」


祐司は法外な料金を請求されていた、内訳すると停泊料金、補給料金、トン数に応じた施設利用料金、出入港手数料、水先案内人手数料・・・言い出すときりがいないが、その金額が他の港より高いのは明らかであった


祐司はあまり使いたくなかったが、自分の名刺と小切手を渡す、それは普段の飛鳥船長の肩書ではなく、帝国重工業の会長相談役としての肩書が掛かれた名刺であった


「や、これは帝国重工業の相談役でしたか、ではこの書類にサインをしてください、これは常連客に対する特別割引サービスですが、今回は私の裁量で書類に細工しておきましょう」


「・・・では宜しくお願いします」


祐司は愛用の万年室で手早くサインを済ませる、そしてやってきた港務官は礼をして船長室を退出する


「買収ね、世の中どんなに綺麗ごとを並べても、結局はこうなるのね」


飛鳥は翔平の傍らに現れる


「世の中そんなものだ」


「悲しい世の中ね・・・」


「まぁ、それだけではないさ」


祐司はそう言い、船長室を出る


「フフ・・・それだけではないさ、ね・・・今回の航海は楽しくなりそうね」


飛鳥はそう言い残し、船長室から消えた・・・


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