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第一話 出港準備

2032年 9月7日

東京港 有明埠頭3番バース


今年4月に就役したばかりの最新鋭大型帆船飛鳥が出港準備を行っていた、船倉には食料、衣類、燃料や武器・弾薬、さらに補充用の資材を満載し、給水車を通して貯水タンクに真水1050tを積み込む。


船橋甲板から上層甲板の物資積み込みの状況を見下ろしていた二人の男の姿があった・・・


一人の姿はもう日本国内で知らない者がいないと言われるほどの有名人であった、西九条宗源・・・帝国重工業株式会社会長であった


もう一人は若い容姿をして着ている制服の袖章には船長の証であるラインが4本あった・・・彼は西九条祐司、年齢は22歳である、きちんとした国家試験を受けて航海士になっており、決して企業の力を借りていない、つまり実力で上り詰めた階級である、実際に船に乗り始めたのが14歳の時ですでに8年のキャリアを積んでいる、と言っても今まで乗ってきた船は1000トン前後の内海用の貨客船で3000tクラスは初めてである


「今回は、最近連絡が取れない、アメリカ合衆国との連絡役と行方不明になった日精丸の捜索が任務だ、特にアメリカ合衆国は何があったのか知りたい、ここ最近は電離層の異常で無線通信が全く役に立たないからな」


先の第三次世界大戦以降、太平洋の中央部、具体的に言うとマリアナ諸島とジョンストン島、ソロモン諸島を起点にして囲んだ中の海域である、この海域の中は超常現象や異常気象が多発し、中に入ってしまった艦船は二度と無事に帰ってくることが出来ない海域でもある、かつてアメリカを始めとした列強各国はこの海域の謎を解明するために大艦隊を編成したが、その大艦隊は駆逐艦とフリゲート艦数隻を残して全滅し、列強各国は二度と艦隊を派遣しなくなった・・・


更にここ最近は電離層の異常が活発化し無線が使えない状態が続いている、これにより長距離通信がほぼ役に立たなくなった


「日精丸・・・あぁ一か月前に太平洋で消息を絶った5000tクラスの大型貨物帆船のことか」


祐司は思い出したように答える


「そうだ、日精丸の船長は私と大学は同期でな、友人でもあるんだ」


「了解・・・今回は長くなりそうだな」


「それと・・・こちらの御嬢さんも連れて行ってほしい」


宗源が連れてきたのは身長が160センチ前後の女の子であった


「・・・・会長・・いや・・・父さん、まさかこの子を俺の船に乗せて帰ってこられるか分からないたびをしろと」


「うん?そうだが・・・あぁこの子は日精丸の船長の一人娘の万里朱音だ、母親も亡くなっていてな、私と母さんがあずかって面倒を見ている」


「でっ、どうして俺の船に乗せないといけないんだ」


「いやぁ・・・朱音ちゃんがどうしてもとね・・・それから一応士官候補生として国に登録してある」


祐司は無言で朱音を睨む


そうすると朱音も負けずと睨み返してきた


「・・・万里朱音と言ったか」


「ええ、そうよ」


「航海経験は」


「ないわ、でも航海士の訓練は一通り受けてきたわ」


「そうか・・・航海長!」


祐司はしばらく考えるそぶりを見せて上層甲板で物資の積み込み作業を指揮している、航海長を召還した


「はい、船長!お呼びですか!」


「あぁ、呼んだ・・・朱音、こいつは航海長の天上院瑚太郎だ、航海長新入りの万里朱音だ、よろしく頼む、確か士官室が数室空いていたな、そこに案内してくれ」


「了解です!・・・こっちです」


「分かったわ」


瑚太郎と朱音は階段を下りていき、士官室のある下層甲板に向かう


「これでいいだろう、後は瑚太郎が何とかするさ」


「感謝する」


「・・・さて次の航海は何か嫌な予感がするな」


「武装を増やすか?」


「・・・自動小銃を20挺ほど追加してほしい」


「・・・うむ、分かった手配しておく、之だけでいいのか」


「あぁ、大丈夫だろう・・・」


そう言って、祐司は船橋甲板から、上層甲板の様子を見下ろしていた



飛鳥出港まで、残り3日


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