~イントロダクション~
シャーウィン(以下シャー)「では、改めて、シャーウィン・リシェル・スウェールと申す。一応、これでも大臣職にある者だ。それで――」
癒璃亜「まあ、シャーウィン殿。作者からのご伝言ですけれど、『さっさと進めろ』、だそうですわ」
シャー「ゆ、癒璃亜女王陛下……!」
双葉 「ちょっと小父さん、ぐちぐち言わないでよ? 私の出番が少なくなるわ」
シャー「ぐっ……。――仕方あるまい。宗賽大臣がいないだけでも幸いか……。はあ。……昔のことだ。とある国に、王と王妃がいた。そして、――」
癒璃亜「ああ、シャーウィン殿。次はわたくしの台詞ですわ。……ふふ、やっぱり縫い物は楽しいですわ。……あら? 指に針を刺してしまいました。失敗ですわね……」
シャー「へへへへ、陛下ぁっ!」
癒璃亜「まあ、役外なのに、騒がないで下さいな。見苦しい」
シャー「み、みぐっ……」
癒璃亜「ああ……布に垂れなかったのは幸いですけれど、雪の上に血が……。でも、何て美しいのでしょう。そうだわ、この雪のように白い肌と、血のように真っ赤な唇と、黒檀のように美しい髪を持った姫が欲しいわ。ふふ、早速、陛下にご相談を。ふふ……」
早宮 「た、楽しそうですね……」
癒璃亜「ああ、陛下。早宮陛下ではないですか。もしや……聞いておられましたか?」
ズイッ
早宮 「うあ、ああ、は、はい……」
癒璃亜「まあ、うふふ……」
シャー「…………」
癒璃亜「……?」
早宮 「……? ……! ……??」
シャー「…………あの、何か?」
早宮 「お、お次は、えっと、スウェール様、だとっ……!」
シャー「ああ、そうか。あ~、何だったかな?」
癒璃亜「お歳ですか? シャーウィン殿」
シャー「そ、それはっ……!」
双葉 「あ~、やだやだ。だから変にプライドがある小父さんって嫌いなのよねぇ~。私の出番が削られるっての。ねえ、紺城さん?」
早宮 「や、え、えっと、その……。って言うか、どうして双葉内親王殿下がっ?! まま、まだでしょう、出番!」
双葉 「だって、突っ込める格の人っていないんだもん。だからって、千紗を引っ張り出して来るのはもっとやだし」
早宮 「…………」
双葉 「じゃ、小父さん。次のシーンは、私が産まれた後だから、そこんとこ宜しく」
シャー「あ、ああ……了解した(何だ、この小娘は!)。やがて、王妃は身篭り、願い通りの子を出産した。しかし、産後の肥立ちが悪かった為、亡くなってしまった。よって、王は後妻を娶った」
双葉 「あの……はじめまして。ふたばです」
千紗 「………………あのさぁ」
双葉 「なんでしょうか? えっと……おかあさま」
千紗 「双葉……何であんた、やけにちっさいの?」
双葉 「~~~~よんさいだからよっ! だれがのぞんでちっちゃくなりゅっておもってるの?!」
千紗 「『なりゅ』って……『なりゅ』ってっ! くくっ……あんた、舌回んないのっ?!」
双葉 「しょうがないでしょっ?! ほんとうは、さんさいになるのをくいとめたんだからねっ!」
千紗 「……つうか、その年齢基準って何?」
双葉 「てきとー」
千紗 「ブフっ! ほんっと、いい性格してるよね~、作者って。んじゃ、ちっこい双葉を愛でまくりますか~!」
双葉 「むむ~」
千紗 「……双葉、あんた、それ逆効果だから。滅茶苦茶可愛いから」
双葉 「しらないっ!」
千紗 「ちょっと、転ばないでよ~!」
早宮 「……それ、いいんですか? 継母と白雪姫が、仲良しって……」
千紗 「いいんじゃない? 最初だし」
早宮 「…………」
千紗 「第一、向こうはあんだけ原作崩壊しまくってんだからさ、こっちだってちょっとくらいの融通は利くでしょ。ああ、そこの貴女。この鏡をあたしの私室まで運んでもらえる? 大事な物だから、割らないように、傷も絶っ対に付けないように、丁寧に運んでね」
ミア 「畏まりました、妃殿下」
千紗 「……えっと……貴女、お付きその一よね?」
ミア 「はい」
千紗 「えっと、何でここにいるのかな……?」
ミア 「天の采配です。後でも再登場の予定があるとのことで……」
千紗 「……そ、そう。なら、いいんだけど……」
ミア 「では、鏡をお運び致しますね」
千紗 「あ、お願い……」
シャー「……そうして、継母となった本条千紗は、与えられた私室へと急ぎ、うっとりと鏡を見詰めた」
千紗 「ちょっと待って。何であたしがうっとり見詰めなきゃなんない訳?」
シャー「それこそ、役なのだから仕方あるまい。第一、この鏡は其方の友ではないか」
千紗 「そりゃ、そうだけどさ……。あ~、鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰……。うう、言ってて小っ恥ずかしい」
素香 「……ソレハ、オ后様デスガ?」
千紗 「……ちょっと素香、何なのその棒読み」
素香 「イイエ、私ハコレガ普通デス」
千紗 「嘘言えっ!」
素香 「…………」
千紗 「あ、黙った。……ったく、でもまあ、面白いことになりそうじゃん? よっしゃ! 由梨亜達だって原作崩壊しまくったんだし、あたしも双葉から主人公の座を奪取してやるっ!」
シャー「……これでいいのか、これで……」
双葉 「あったまかたいなぁ~。たのしけりゃそれでいいの! じかいは『王宮からの追放』です! よろしくおねがいします!」
千紗 「双葉……あんた、そこまで平仮名表記なの? 何か憐れ……」
双葉 「う、うるさいなぁ、もう!」
千紗 「でも、タイトルだけは普通に言えてたよね? 何で?」
双葉 「しらない! でも、ひらがなでかいちゃったら、よんでるひとがわかんにゃっ――くっ!」
千紗 「噛みまくりねぇ、双葉」
双葉 「うりゅしゃ~いっ!!」
これ以降の出番がない人達による座談会
癒璃亜「まあ……どう致しましょう。初回ですから、わたくし一人だけですわ」
レイシャ(以下レイ)「しっつれいしま~すっ!」
癒璃亜「まあ、貴女は……由梨亜妾の所に下宿している……」
レイ 「はい! レイシャで~すっ! 王様の曾お祖母さんの、花雲恭癒璃亜さんですよねぇ? ちょっとぉ、これに魔法掛けて欲しいんですよぉ~」
癒璃亜「これは……網?」
レイ 「はい! これでユリア達を捕まえようと思ってるんでぇ、魔族の体力と魔法を使っても破けないように魔法掛けて下さ~い!」
癒璃亜「まあ、しょうがないわねぇ……。面白そうだからいいわ。……それにしても、どうして過去からここにやってこれたの? ここは、貴女にとっては未来でしょうに」
レイ 「このレイシャ様にできないことはないっ! ってことで、網ありがとうございます! お邪魔しましたっ!」
癒璃亜「まあ、忙しない子……。でも、まあいいかしら? 丁度、この欄も埋まったことだし……」