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シアトリカル―素人(?)劇団  作者: 琅來
白雪姫~時と宇宙を越えてver.~
13/13

~アウトロダクション―王子様~

わか 「あ、ふたっ……て、ちょっと双葉? もう死んじゃったの?」


「では、仕方ありませんね……。確か、そこにガラスの棺がありましたわよね? 若葉」


若葉 「え? あったっけ?」


「ああ、ありましたよ、富瑠美異母姉上(あねうえ)


富瑠美「ありがとう、柚希夜。では、ノワール様、こうさん、そうさん。柚希夜と共に、双葉さんを棺に入れて外に持って行ってくれませんか? 若葉さん。わたくし達は、御花を持って参りましょう」


若葉 「ええ。分かったわ」


「……ちょっと、わたくしは無視ですのっ?!」


富瑠美「おお、嫌だ……。本当に煩い方が、御騒ぎになること……」


深沙祇「何ですってっ?!」


若葉 「えっと…………小母さん、誰?」


深沙祇「な、何と無礼な! わたくしはうんきょう深沙祇ですわ! 富瑠美! 貴女も黙ってないで何かいいなさい! それでもこのわたくしの娘ですかっ?!」


富瑠美「御生憎様。わたくし、貴女を母だと認めておりませんわよ? 第一、わたくしが貴女に仕事を頼んだとして、やりますの? やらないでしょう?」


深沙祇「それは――」


富瑠美「ですから、言うだけ無駄なのですわ。……あら? 若葉さん?」


若葉 「あ、もうお花持って来たわよ? 何か、男衆達も手伝ってくれて」


富瑠美「まあ、皆さんありがとう御座いますわ」


香麻 「いや、別に、なあ?」


奏谷 「ああ、だって、そういう仕事だし? 何より、俺らってこういうことでしか動けねぇからな。ただ……」


富瑠美「何ですか?」


柚希夜「御祖父様、大丈夫ですか?」


ノワール(以下ノワ)「あ、ああ……大丈夫だ。全く……この歳になって、無理な力仕事はすべきではないな」


富瑠美「ああ……腰をやってしまいましたのね……」


シャーウィン(以下シャー)「あ~、その、棺を見に行かなくてもよいのか……?」


柚希夜「あ、そうですね、伯父上。では、参りましょうか」


富瑠美「ええ、そうですわね。…………まあ。綺麗ですわ……」


香麻 「ま、俺らの会心の作だからな。これで、王子がいつ来ても問題ねぇぞ」


奏谷 「お、噂をすれば」


「……おい、もうここまで来たんだから、そろそろ覚悟を決めろ」


「そうよ、杜歩埜の言う通り。男なんだから覚悟を決めなさい?」


フォリュシェア(以下フォ)「いや、その……先王陛下。それは、あまりにも酷ではないかと……」


ミア 「あら? どうして? 先王陛下の言う通りじゃない?」


富実樹「そうよ。ほら、諦めてこっちに来なさい」


よしあき 「……もう、帰りたい……」


杜歩埜「何を言う。富実樹異母姉上ではないが、覚悟を決めるべきだ。義彰親王。貴殿は次期天皇なのであろう?」


若葉 「あ~、義彰~!」


義彰 「わ、若葉姉上……」


富瑠美「ようやく来ましたのね。ほら、御姫様(・・・)が御待ちですわよ?」


義彰 「ちょ、ちょっと待って下さいよ! だ、だって、双葉姉上とは、実の姉弟でっ……!」


富瑠美「あら? それを言うならば、我が王家は成り立ちませんわよ? ここ数百年以上、近親婚をしなかった先祖はおりませんもの」


義彰 「…………」


富実樹「ほら、義彰。さっさと行きなさいよ。はあ……それにしても、本当は私が主人公なのになぁ……。ま、シンデレラで活躍できたからいっか」


ミア 「ほうらあ~! 王子様! お姫様が眠ってるのよ」


義彰 「ぐっ……。…………。やっぱり無理です! たとえこれが姉じゃなくっても、そもそもこんながさつな人間を女として見るなんてっ……!」


富実樹「はあ、意気地なし。ほんと、しょうがないなあ……。シャーウィン伯父様、杜歩埜。やっちゃって下さいな?」


シャー「い、いや、しかし……」


杜歩埜「富実樹異母姉上……いくら何でも、それは……」


富実樹「あ~、だらしがない。さっさとやっちゃって」


シャーウィン&杜歩埜「「はい……」」


杜歩埜「じゃ、やりますか?」


シャー「……そうだな。いくら姪でも、逆らえぬわ……」


富実樹「伯父様? 何か?」


シャー「いや、何も……。では、杜歩埜殿下。参るぞ」


杜歩埜「ええ。せーのっ!」


ドスン!


義彰 「って、あ~! ちょっとそこの二人! 僕の姉上に何すんですか!」


杜歩埜「いや、その……つまり、姉弟だから、口付けをしたくはないのですよね?」


義彰 「あ、当たり前です!」


シャー「……では、呑み込んだ毒林檎を吐き出せばよいだろうという、そういう考えでな……」


富実樹「え? 別に特別なことじゃありませんよ? だって、白雪姫が目覚めるパターンって、王子様にキスされる以外にも、従者が蹴っ躓いて目覚めたり、家来に蹴られて目覚めたり、色々ですもん。それを考えたら、こっちの方がましでしょ? ほら、目覚めた」


双葉 「……、あんたねえっ……!」


富実樹「あら、それって誰のことですの? わたくし、由梨亜ではなく富実樹ですわ。由梨亜とは、わたくしの母の王籍名ではありますが、わたくし自身の名前ではありませんし……」


双葉 「はっ! その顔でしらばっくれても駄目なんだからね! とにかく、私は目覚めたことだし……義彰!」


義彰 「は、はい!」


双葉 「結婚する為に、行くわよ!」


義彰 「あ、ちょっと待って下さい! 双葉姉上! ちょっと、若葉姉上も何か言って下さいよ!」


若葉 「あ、双葉、義彰~、頑張ってね~」


義彰 「ちょ、そんな気のない! えっと、常識人、常識人っ……あ、香麻さん、奏谷さん!」


香麻 「あ~、何だ、その、まあ――頑張れよ」


奏谷 「同じく。悪いな。俺ら、こういう時は逆らわない奴らだから」


義彰 「ちょ、ひどっ……! え、他に……あ、フォリュシェアさん! さっき、結構話しましたよねっ?! それで、僕のこと『孫みたいだ』って言ってくれましたよねっ?! お願いですから助けて下さい!」


フォ 「いや……その、陛下の思し召しだ。どうか諦めてくれ。それに、近親婚の何がいけないのか、私にはさっぱり理解できん。すまない」


義彰 「え、え? え……?」


双葉 「ほ~ら、義彰! 往生際が悪いわよ! ほら、さっさと行く!」


義彰 「嫌だ~っ! 誰か、誰か助けてくれ……」


「……ぷぷ! 義彰、面白~い!」


もと 「千紗……。あんまり笑ったら、皇太子殿下が可哀想だよ……」


千紗 「な~に言ってんの? 素香! 本気で嫌がってるのが面白いんじゃない! しかも、あたしは当事者じゃなくって傍観者だし!」


素香 「……ってかさ、本当は、ここでお后役の千紗が怒り狂って、鏡割って死んじゃうんじゃなかったっけ?」


千紗 「へ? ……嫌だよ、あたし! 死にたくないよ! ねえ、シンデレラがあんなに改変しちゃったんだし、こっちも変えちゃっていいよね?! だってこっち、セオリー通りに『王子様とお姫様は結婚しました、めでたしめでたし』なんだよっ?! ちょっとぐらい変えてもいいよね!」


素香 「んまあ……いいんじゃない?」


シャー「そ、それでいいのか……?」


千紗 「いいの! どうせあたしが主人公なんだから、あたしが好きなようにやってもいいでしょ? ってことで、双葉姫は、嫌がる義彰王子を連れて、城に戻り、みんなで幸せに暮らしました! めでたしめでたしっ!」


素香 「わ~。ぱちぱちぱち~」


シャー「ん……? ちょっと待て。城に、戻って来る……?」


千紗 「そう。戻って来る!」


双葉 「千紗~っ! 戻って来たよ~」


千紗 「あ、お帰り~、双葉。どうだった?」


双葉 「いやあ、大変だったよ。義彰が嫌がって嫌がってさあ。でも、何とか引っ張って来た」


千紗 「やるじゃん、双葉」


富実樹「あら、千紗」


千紗 「あ、由梨亜! そう言えば、由梨亜って今回富実樹だったんだよね。何か、すっごい違和感。髪ふわふわだし、色薄いし、背ぇ高いし、目はピンクだし」


富実樹「あはは……。それは、しょうがないわ。私が産まれた時、本当はこっちだったんだもの。でもね、正直、私もこの姿を鏡で見ると、とっても変な感じがするのよねえ……」


千紗 「そうなんだ。やっぱり? ……って、あれ? 香麻は?」


富実樹「あ、これから、シンデレラの方に移行して、私と結婚式ね。ま、そっちは富実樹じゃなくて由梨亜だけど」


千紗 「ふ~ん、いいなあ……。あたしも、旦那役はみやじゃなくって睦月むつきが良かったなあ……」


富実樹「じゃ、後で呼び寄せてすれば? 睦月だったら、やってくれるでしょ」


千紗 「そだね。じゃあ後で頼んでみる。んじゃ、本編主役の二人で締めますか」


富実樹「そうね。ここまで読んで下さり、ありがとうございました!」


千紗 「できれば、本編や番外編の方も宜しくお願いします!」


千紗&富実樹「「本当に、ありがとうございましたっ!」」



(終)

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