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シアトリカル―素人(?)劇団  作者: 琅來
白雪姫~時と宇宙を越えてver.~
11/13

~小人達との出会い~

ふた 「う~ん……逃げろって言われたってねぇ、正直道分かんないし……。とにかく、進めばいいのかな? どう思います? シャーウィンさん」


シャーウィン(以下シャー)「…………知らぬ」


双葉 「ちぇ~。……あ、あった! あの家だわ!」


シャー「あ、おい、ちょっと待てっ……!」


双葉 「うっわ~、凄~い! 今の私にも、それなりに小さく見えるわ。元の身体のサイズだったら、超ミニマムじゃない! うっわ~! 楽しい! あ、奥にベッド発見~! よ~し、眠かったから寝よ!」


シャー「おい、勝手にっ……!」


双葉 「ふぁ~あ~。お休みなさ~い」


シャー「……寝た。本当に寝た。信じられぬ……」


わか 「しょうがないですよ。双葉は自由人ですから」


シャー「き、君は……?! 何故、同じ顔がっ……!」


若葉 「え、えっと、小人その七役の若葉ですけれど……?」


「違いますわ、若葉さん。おうこくにはほとんど双子がいないので、それにいたとしても、二卵性双生児がほとんどですから、貴女方のように、一卵性の双子という方に、シャーウィン殿は御会いした事がないのです」


若葉 「なるほど……。そういう意味かぁ。にしても、双葉、ぐっすり眠っちゃってるなぁ……阿呆面で」


双葉 「若葉っ! 人が寝た振りしてるっつうの分かってるくせに、何抜かしてんのよ!」


若葉 「あら? 何のことかしら?」


双葉 「こんのぉ……!」


富瑠美「あの、姉妹喧嘩も宜しいのですけれど、進めませんか?」


双葉&若葉「「…………」」


双葉 「……ああ、よく寝た! って、ああ、あ、貴方達は、この家の人ですかっ?!」


若葉 「わざとらしい」


双葉 「あ~ん……? 今、何てっ――」


若葉 「進めたら?」


双葉 「くっ……! ああ、もう! 貴方方は、一体どなたですかっ!」


富瑠美「まあ、ふふ……。わたくしは、小人その一こと、先生(ドク)の富瑠美ですわ」


ノワール(以下ノワ)「私は小人その二、怒りんぼ(グランビー)のノワールだ。……それにしても、無様なやられようだな、我が息子よ」


シャー「……煩いですよ、父上……。父上だって、あのしゅうさいだいじんにまんまとしてやられたじゃないですか……」


ノワ 「それはそれ、これはこれだ」


シャー「…………」


「全く、野蛮人共の会話は聞くに堪えませんわ。本当に、見苦しく聞き苦しいこと」


富瑠美「あら? でしたらさっさとどこかに行ってもらえませんか? 小母様。いいえ、御婆様とでも御呼び致した方が宜しかったかしら?」


深沙祇「何なのです、その口の利き方は! 仮にも実の母親に向かって、そのような暴言っ……!」


富瑠美「ええ。『仮』、ですもの。わたくしが育てて頂いたのは貴女では御座いませぬし、長じてからも、何かと気に掛けて下さったのも別の方ですわ。貴女はただ、自らの血を引く人間が王位に即けば、それでよいのですもの。わたくしを見ていた、わたくしを気に掛けていたとは、到底申せませんわ」


深沙祇「なっ……!」


「え~っと、富瑠美異母姉上(あねうえ)? ……どうやら御取り込み中のようですので、進めさせて頂きますね。先程の御方は、小人その三にして幸せ(ハッピー)です。私は小人その四にしてねぼすけ(スリーピー)の柚希夜と申します」


双葉 「ええっと……ノワールさんと深沙祇妃って、性格が逆なんじゃないの? 『ハッピー』って言う割には、すっごく怒ってるように見えるんだけど……」


柚希夜「それは性格ですから、役とそぐわないのは致し方ないことかと。それに、深沙祇妃と富瑠美異母姉上の仲が御悪いのは、昔からですし」


双葉 「あ、そう……」


こう 「え~っと、俺は小人その五、照れ屋(バッシュフル)の香麻だ。宜しくな」


双葉 「……その堂々とした態度の、一体どこが照れ屋なの? ちょっとは役に合った性格と言うか、雰囲気を出してもいいんじゃないかな?」


香麻 「いや~、ちょっと面倒臭いから、遠慮させて下さいよ、内親王殿下」


双葉 「……そこでわざわざ『内親王』って言う所に、そこはかとない悪意を感じるんですけど」


香麻 「気のせいじゃないですか? な、そう?」


奏谷 「(ヒッ!)あ、いや、そのぉ……た、多分?」


香麻 「何だよ、多分って」


奏谷 「い、いやぁ……何となく、って言うか? ……っつうか、俺にも自己紹介させろよっ!!」


香麻 「ああ、どうぞ」


双葉 「ご自由に、ご勝手に?」


奏谷 「何だよ、こいつら……。普通人の俺には、理解できねぇ……。はぁ。俺は小人その六で、くしゃみ(スニージー)の奏谷だ。宜しく……」


若葉 「それで、最後が私ね。さっきもしたけれど、私は小人その七でおとぼけ(ドーピー)の若葉よ。宜しくね、お姉様?」


双葉 「うっわ、そこで言う? お姉様って。双子の姉妹のくせして」


若葉 「あら? 私達には戸籍がないけど、間違いなく、お父様とお母様の第一子は双葉という女の子で、第二子は若葉っていう女の子よ?」


双葉 「何ですってぇ……?」


若葉 「何よぉ……?」


柚希夜「ああ、落ち着いて下さい。双葉さんも、若葉さんも」


双葉&若葉「「でもぉ……!」」


柚希夜「こういうことは、さっさと終わらせるのが吉ですよ?」


若葉 「そうね……確かに、それもそうだわ」


双葉 「え~……。つまんないのぉ」


若葉 「ちょ、双葉! ごろごろしないの! ほら、皺くちゃになっちゃったじゃない! ああもう!」


双葉 「え~、別にいいじゃん……」


若葉 「駄目! あ、香麻さん、それと、奏谷さんだったかしら? この馬鹿の下でシワシワになったシーツを引っ張り出すの、手伝ってもらえない?」


香麻 「あ~、えっと、別にいいけど……?」


奏谷 「いいけどって、いいけどって香麻、お前なぁ! よくも内親王殿下にそんな口が利けるよなっ?!」


香麻 「いやぁ~、だって、俺にとっちゃあ『お姫様』って言うよりも、の幼馴染みだし……?」


若葉 「まあ、話が早いわ。じゃ、そっち引っ張って」


香麻 「はい。せ~のっ!」


双葉 「ふぎゃっ!」


奏谷 「こ、ここここ香麻ぁぁっっ!!」


香麻 「鶏かお前は」


奏谷 「ななななな、な、なっ……!」


香麻 「今度は何だよ……」


奏谷 「おおおお、お前はぁ! 人を床に投げ飛ばしといてそれかぁっ!」


若葉 「いいのよ。だって、双葉だもの」


富瑠美「ですが、この後双葉さんの台詞があったのではないですか? 継母に城を追い出された為、ここに逗留する代わりに、家事をするとか……」


若葉 「う~ん、私達が分かっているからいいんじゃない? カットよ」


柚希夜「いいですね、それ。何だかんだあって、結局収まりました、というような感じでしょう?」


若葉 「ええ。分かってるじゃない」


柚希夜「それは勿論?」


ノワ 「……強くなったの、柚希夜……」


柚希夜「御誉め頂き光栄です、御祖父様」


ノワ 「ふう……やはり、最早このような老いぼれは用なしか……」


柚希夜「いいえ。用なしという訳ではありませんよ? ただ、御祖父様にはゆっくりと御過ごし頂きたいのです。その為には、私達若い世代が強くなるしかありませんではないですか」


ノワ 「ふむ……まあ、一理あるな」


柚希夜「ええ。ですから、ごゆっくりと隠居なさって下さいませ。全く……御祖父様のように、ゆっくりして頂きたい御方もおられるのですけれど、ねぇ……?」


富瑠美「ええ。そうですわ。少しは大人しく(・・・・)慎ましく(・・・・)、して頂きたいものです」


シャー「ええ。全くその通りですよ、陛下。昔からですから、言っても通じるかどうかは分かりませぬが、少しは我が異母妹いもうとのように、謙虚さという物を学んでほしいものです」


ノワ 「確かにな。彼女(・・)のせいで、一体私とフォリュシェア殿ととうれん陛下が、どれほど苦労したことか。財源には限りがあるというに、彼女の浪費の激しさには、ほとほと呆れ果てたわ。せいざいだいじんであったフォリュシェア殿はともかく、分野違いの私までもが駆り出されたほどだぞ」


深沙祇「……何ですの、貴方達はっ! 寄ってたかって、か弱い女をいじめるなんてっ!」


富瑠美「か弱い? 図太いの誤りではありませんの?」


柚希夜「それに、私達は何も、この会話の主が深沙祇妃だとは、ただの一言も申し上げてはおりませんが?」


シャー「そうですよ? 全く、自意識過剰にもほどがある。私達が話していたのは、浪費癖の激しい、自意識過剰で無理な若作りを続けている、派手な御婦人のことです」


ノワ 「そうとも。それとも其方には、それが自分だという心当たりが山とあるのではないか?」


深沙祇「このっ…………!」


奏谷 「……あ~、香麻。これ、どうしよう?」


香麻 「……ほっとこう。俺らは俺らで進めよう」


若葉 「そうね。それが一番いいわ。じゃあ、次回予告は双葉の代わりに私がやります! 次回は『毒林檎と死と』! まんまのタイトルだけど、宜しくお願いします!」


双葉 「う~ん……て、ちょっと若葉! 何やってんのよ!」


若葉 「何って、双葉が起きて来ないのが悪いんでしょう?」


双葉 「何……? 私を気絶させたのはあんただってのに、私が悪いってぇ……?」


奏谷 「こ、香麻……みんな、口喧嘩が始まっちゃってるよ……。ど、どうしよう?」


香麻 「……ほっとけ、もう。俺らみたいな小市民には関係ねぇよ」


奏谷 「そ、そうか……関係ない、関係ない、俺には関係ない……」


香麻 「……最早暗示だろ、それ」

これ以降の出番がない人達による座談会



みや 「……って、前回とメンバーが変わってないんじゃ……?」


「まあ、よくお気付きになりましたね、早宮さん」


早宮 「いや、その、これって……相当の馬鹿でもなければ、気付くんじゃあ……?」


「まあ、曾御祖母様。そいつにこれ以上の情けを掛けてやる必要なんてありませんわ」


癒璃亜「何故です?」


些南美「だってそいつ、あの御姉様の、婚約者候補でしたもの。まあ、のちにはさんも、でしたようですけれど……」


癒璃亜「まあ……うふふふ。これは、真によいことをお聞きしましたわ」


早宮 「ひ、ひぃ! だ、誰かっ……って、誰もいない! ちょ、どうしてここに、地球人がいないんだっ……!」


些南美「まあ、面白そう……ふふ。ああ、それにしても、ずるいですわ、富瑠美御異母姉様も、柚希夜も、ノワール御祖父様も、シャーウィン伯父様も。あの深沙祇妃をやり込める、絶好の機会に、わたくしが参加できないなんて……。日頃の鬱憤や、恨みつらみを、少しは晴らさせて頂いたって、ばちは当たりませんのに……ねぇ?」


早宮 「うわぁ~~っっ!! 誰か~ぁっ!」

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