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シアトリカル―素人(?)劇団  作者: 琅來
白雪姫~時と宇宙を越えてver.~
10/13

~王宮からの追放~

シャーウィン(以下シャー)「……取り敢えず、そうこうして、姫は成長した。姫は成長するごとに美しくなっていった。そんなある日のことだった」


「……ちょっといいですか? シャーウィンさん」


シャー「何だ? 千紗殿」


千紗 「固い」


シャー「…………」


千紗 「ま、いいけどさ。……あ~でも、若い子の方が良かったなぁ……。固過ぎてつまんない。はあ……まあやるか」


シャー「…………わ、私の自尊心が……」


千紗 「うざ」


シャー「…………」


千紗 「めんどくさ~。仕方ないからやろ。もと~、やるよ~」


シャー「………………泣いてもいいかな?」


千紗 「え~、鏡よ鏡――」


シャー「無視か……そうか、若い子供のことは、よく分からんな……」


千紗 「うっさい黙れクソ親爺」


シャー「…………グスッ」


千紗 「さて、取り直して、あ~、鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰?」


素香 「……ソレハ、フタ姫デス」


千紗 「あ、ほんとだ。双葉が出て来た。……って、ちょい待ち」


素香 「何デショウカ」


千紗 「……双葉、明らかにまだ子供よね?」


素香 「ソウデスネ」


千紗 「……これってさ、『美しい』って言うよりも『可愛い』って言った方が正しいんじゃない?」


素香 「ソウトモ言イマス」


千紗 「じゃあ、もう一回。この世で一番美しいのは?」


素香 「双葉姫デス」


千紗 「……結局そこは変わんないってことかぁ……。じゃあ、仕方ないなぁ。こんじょうみや! ちょっとこっち来い!」


早宮 「は、はは、はい~っ! て、うわぁ……ひ、人が、倒れてる……」


千紗 「ああ、シャーウィン(これ)のことは気にしなくていいから。紺城早宮。あんたの子供の双葉を追い出すから。宜しく」


早宮 「よ、よよ、宜しく、って……え?」


千紗 「あ、それと、この国はこれからあたしの国になったから。つまり、あたしが乗っ取ったの。あたしは優しいから、双葉姫は追い出すけど、あんたは追い出さないであげる。ま、事実上の幽閉になるかな?」


早宮 「はっ……え?」


千紗 「あ~、じゃあ、一応お付きその二役の、ややこしい名前の人~!」


シャー「な、フォリュシェア殿を捕まえて、ややこしい名前とは、この無礼者がっ!」


千紗 「あ、復活した」


フォリュシェア(以下フォ)「これは、これは……驚いたな。あのノワール殿の御子息が、政敵であった私を擁護なさるとは」


シャー「そのようなことは当たり前です。いくら我が父と貴殿が敵対関係にあったといえども、貴殿は大変に有能な大臣であり、その忠誠心をとうれん王に認められた御方でもある。私はこれでも、貴殿を尊敬しているつもりです」


フォ 「そうか……。それは、嬉しいな」


シャー「ですから、その貴殿が、あのしゅうさいだいじんごときに陥れられたと知った時には、大変失笑――いえ、失望致しましたが」


フォ 「……確か、私と共に、シャーウィン殿の御父上も陥れられていたと記憶しているが?」


シャー「ええ。ですが、父は少々間抜けな所が御座いました故、多少は諦めた所も御座いました。例えば、感動癖とか感動癖とか自殺志願癖とか」


フォ 「……それは、確かに否定できんな」


千紗 「いいから進めろ、おっさんども。……ううん、ジジイども?」


シャーウィン&フォリュシェア「「…………」」


フォ 「あ、で、では、こっちだ……」


早宮 「えあ、は、はいっ……!」


素香 「うっわ、ヘタレ。なっさけな~い」


千紗 「……素香、やっぱあんた、普通に喋れんじゃん」


素香 「あ、ばれた?」


千紗 「何で変な喋り方してたのよ」


素香 「え~っと……演出?」


千紗 「……ねぇ、素香。ここでお話、終わらせてもいいと思わない? ここであんたを叩き割ったら、一体どんなことになるのかな?」


素香 「ひっ……!」


「おやめ下さいな、千紗さん。御姉様や御異母姉様おねえさま、それに御異母兄様おにいさまの出番がなくなるではありませんかっ!」


千紗 「些南美……あんたって、ほんとにシスコンでブラコンよね。あと、恋人がだ~いすきって、全身で表現してるし」


些南美「ちょ、ちょっと千紗さん! 恥ずかしいですわ!」


千紗 「だってそうでしょ? 杜歩埜の所だけ、『それに』を付けてるよね? 明らかに強調してるようにしか聞こえないんだけど」


些南美「…………(ボッ)」


千紗 「あ、真っ赤になった。かわい~い!」


些南美「ちっ……千紗さん! お話を進めて下さいな!」


千紗 「あ~、はいはい。狩人の些南美。命令です。双葉姫を殺しなさい。森に連れて行って、え~、か、肝臓……? 心臓だっけ?」


些南美「あ、え~っと、あの、千紗さん?」


千紗 「う~ん、どっちだっけなぁ……。忘れちゃった。じゃ、肝臓と心臓の両方持って来て!」


シャー「そんな、適当な! 原作では肝臓となっているのだぞ! ほら、ここにっ!」


千紗 「ウザッ。黙ってろ、クソジジイ」


シャー「んなっ……!」


千紗 「はい、じゃあ些南美、宜しく頼んだわよ」


些南美「あ、はい……了解致しました、御后様」


シャー「そ、そんな……こ、この私が、あのような小娘に、あ、あんな、あんな……」


些南美「あの……シャーウィン伯父様? 御話を進めなければなりませんので、できるだけ簡潔に御願い致しますわ」


シャー「……グス」


些南美「まあ、御泣きにならないで下さいませ、せんしゅくだいじんともあろう御方が。真に見苦しゅう御座いますわ。それに、大変女々しくも御座います。……いっそのこと、この現状を、伯母様方に――」


シャー「も、もう御止め下さい、王女殿下……」


些南美「では、さっさと御進めなさい」


シャー「了解致しました、殿下……。后の命を受けた狩人は、まだ幼い姫を連れて城を出た」


双葉 「ふう、ようやく私の出番っ……て、何っでこんなに小さい訳っ?! 平仮名だらけからは解放されたけどっ!」


些南美「それは……致し方ないのでは御座いませんか? 原作の年齢だと、白雪姫が御城を出されたのは、たったの七歳の時らしいですし……。まあ、毒林檎を食べさせられたのは、十歳の時のようですけれど」


双葉 「そ、そうなんだ……。って言うか、そんなに小さい白雪姫の、しかも死体を持って帰ろうとするなんて――王子って、ロリコンでネクロフィリアってことになんない?」


些南美「さ、さあ、それはどうでしょう……。ですが、宜しいのではありませんか? どうせ、王子役はよしあきさんなのでしょう? 貴女の弟君の。でしたら、何も問題はないではありませんか。……それにしても、双葉さんは、十歳にしては随分――」


双葉 「いや、私十歳じゃないから。十二歳だから。……さすがにここは、原作じゃなくって夢の国バージョンにしておいてもらって良かったわ……」


些南美「まあ……くす。ですが……そうですわね。この辺りで宜しいでしょうか」


双葉 「何が?」


些南美「双葉姫、残念ですが、貴女にはここで死んでもらいます」


双葉 「え?」


些南美「いいえ、駄目ですわ。わたくしに、人など殺せません……。そうですわ! えいっ!」


バーン!


双葉 「ふぎゃあっ! ちょ、ちょっと些南美! い、今、私の傍を銃弾がかすったよっ?!」


些南美「ええ。成功ですわ。ほら、御覧下さいな。立派な猪ですわ!」


双葉 「それどころじゃないわよっ! ちょ、ちょっとずれてたら、私にっ――て、え? イノシシ?」


些南美「はい。猪ですわ。これの肝臓と心臓を持ち帰れば、御后様も御満足なされるでしょう。さあ、双葉姫。どこへなりとも御逃げ下さいませ」


双葉 「あ、はあ……」


些南美「それでは、さようなら」


双葉 「あ、行っちゃった……。で? 次は? ……は? 今回、これで終了? ……あ~、分かったわよ。役立たずのナレーターの代わりにやれってんでしょ? 次回は、『小人達との出会い』だそうです。次回も宜しくお願いします! ふふ……よっしゃあ! 前半は千紗が出張ってたけど、次回は私の天下よっ!」

これ以降の出番がない人達による座談会



早宮 「ああ……怖かった」


「まあ……確かに、あの千紗さんは少々迫力がありましたねぇ……」


早宮 「少々って……」


些南美「長く生きていらっしゃれば、その分現世に生きるわたくし達よりも経験が増えるのは、自明の理と言うことに御座いましょう? 曾御祖母様」


癒璃亜「まあ、随分と賢いことを仰るのね、些南美」


些南美「まあ、曾御祖母様には及びませんわ。……ああ、いけません。わたくしとしたことが、自己紹介を忘れておりました。わたくしは、第百五十二代()おうこく国王()うんきょうほうきょうの第九子にして第五王女、そのめかけのマリミアン・カナージェ・スウェール、王籍名花雲恭由梨亜の第二子、王位継承権第七位の花雲恭些南美と申しますわ。以後、御見知り置きを」


癒璃亜「ええ、随分と立派な挨拶ですわ。曾祖母としても、鼻が高いですわね」


些南美「まあ、曾御祖母様……」


早宮 「(すっごく、居心地が悪い……。もう、帰りたい……)」

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