表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物喰いの境界線 〜俺が魔物を喰うたび、ヒロインは最強の神装を纏い戦女神へと覚醒する〜  作者: ヒデまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/32

第2話:海底王国の「真珠の涙」と、影に潜む熱情

エルフの里を後にしたシュウ一行が辿り着いたのは、大陸南端に位置する『白砂の聖域ルビナ・サンクチュアリ』。かつてフィオナの祖国が統治していた、世界で最も美しいと言われる珊瑚礁の海だ。

「……ふふ、見てくださいシュウ様。この海の青さ……まるで、あの日あなたがわたくしにくださった『魔石の欠片』と同じ色ですわ」

 フィオナが海風に白銀の髪をなびかせ、眩しそうに目を細める。彼女は今、シュウが「水龍の脱皮殻」と「氷晶アメーバ」を合成して作り上げた、透き通るような白銀色の水着を纏っていた。それはフィオナの白い肌をより強調し、王女としての神々しさと、一人の女性としての危うい色香を同居させていた。

「……あつい。……海、嫌いじゃない。……でも、水は、苦手。……シュウ、抱っこにゃん」

 黒い猫耳をぺたんと伏せ、ミーニャがシュウの背中にしがみつく。彼女は水に濡れるのを嫌がり、シュウの影の中に半分溶け込むようにして涼をとっていた。だが、その瞳は時折、海面を跳ねる魔導魚マナ・フィッシュを鋭く射抜いている。

1. 聖域の海底散歩

 今回の目的地は、水深300メートルに沈む伝説の海底都市『アビス・パレス』。そこには、数千年の時を経て熟成された『神殻カニ(ゴッド・クラブ)』が眠っているという。

「フィオナ、お願いできるか?」

「はい、お任せください。――『神装:白銀の聖域・水鏡のアクア・ドーム』!」

 フィオナが細剣を水面に突き立てると、海水が割れ、シュウたちを包み込む巨大な空気の球体が出現した。一同はそのまま、幻想的な青の世界へと沈んでいく。

 海底都市に足を踏み入れると、そこには宝石のように輝く魚たちと、古代の魔法が息づく静寂があった。

「……いたぞ。あれが、今回のメインディッシュだ」

 シュウが指差した先には、真珠のような光沢を放つ巨大なカニが、岩棚に鎮座していた。

「あはは! 美味しそう! シュウ、私が焼き上げてあげるよ!」

「……待て、リィネ。こいつは火を通しすぎると身が溶ける。……ミーニャ、影で動きを止めろ!」

「……了解。――『影縫いの乱舞』にゃ!」

 ミーニャが影から影へと音もなく転移し、カニのハサミを封じる。その隙にシュウが右腕を突き出し、カニの核に直接触れた。

「【魔物喰い:低温精製コールド・クッキング】――メニュー名は、『海底の真珠蒸し・フィオナの涙を添えて』だ!」

2. 影の中の熱い誘惑

 その夜。海底都市の一角にある、魔法で守られた豪奢な寝室。

 シュウが調理したカニの身は、口に入れた瞬間に濃厚な潮の香りと共に甘くとろけ、全員の身体を芯から熱くさせていた。特に『神殻カニ』の持つ強烈な生命力は、食べた者の情動を激しく揺さぶる副作用がある。

「……シュウ様。……わたくし、今日ほど、自分が『王女』であることを脱ぎ捨てたいと思ったことはありません」

 フィオナが、しどけなくはだけた寝衣のまま、シュウの手に自分の手を重ねる。その碧眼には、隠しきれない情熱が宿っていた。

「わたくしのすべてを……この海の底で、あなたに喰らっていただきたいのです」

 フィオナの唇がシュウの耳元に触れようとした、その時。

「……ずるい。……フィオナ、ずるいにゃん」

 シュウの影がゆらりと揺れ、ミーニャが這い出してきた。彼女の黒い猫耳はピンと立ち、瞳は獣のような金色の光を放っている。

「……ミーニャも、あつい。……影の中、もっとあつい。……シュウ。……ミーニャのこと、ちゃんと見てほしいにゃ……」

 ミーニャがシュウの首筋に顔を埋め、鋭い牙で甘噛みをする。

 フィオナの気品ある誘惑と、ミーニャの剥き出しの独占欲。


「……はは、二人とも、そんなに腹が減ってるのか? ……いいぜ。夜はまだ長い。……二人の話を、ちゃんと聞いてやるよ」


 翌朝、ガストンが「おい、いつまで寝てんだ新婚ども!」と部屋の扉を叩くまで、海底の宴が止むことはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ