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魔物喰いの境界線 〜俺が魔物を喰うたび、ヒロインは最強の神装を纏い戦女神へと覚醒する〜  作者: ヒデまる


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乙女たちの防衛線(ライン)と、白銀の覚醒

上空でシュウとガストンが旗艦へと殴り込みをかける中、地上に残されたヒロインたちは、かつてない軍勢の圧力を受けていた。

 墜落した戦艦から這い出してきたのは、帝国の精鋭――重装魔導騎士団。全身を魔法耐性のある鋼鉄で包み、機械的な無機質さで学園の校舎へと迫る。

「……チッ、数だけは多いわね! 私の矢が尽きるのが先か、あんたたちが土に還るのが先か、試してあげるわ!」

 エレインがエルフ耳を鋭く後ろへ伏せ、魔導重弩を連射する。彼女の放つ光弾は、シュウから分け与えられた「キラーベアの剛力」によって強化されており、重装騎士の盾ごと肉体を粉砕していく。だが、敵の数は千を越えていた。

「あはは、エレインちゃん、右が疎かだよ! ――『焔狐の舞』!」

 リィネが炎の尾を三本に増やし、空中を自在に舞いながら火炎放射を浴びせる。彼女の炎は今や、シュウが抽出した「爆炎トカゲ」の油分を概念合成しており、一度燃え移れば水魔法でも消えない地獄の業火となっていた。

「……リィネ、助かる。……でも、影が……足りないにゃ」

 ミーニャが黒い猫耳をピンと立て、地面を這う影から影へと転移する。彼女は「シャドウ・レオパルド」の概念を極限まで引き出し、敵の足元から心臓を一突きにする。音も立てず、返り血すら浴びないその暗殺術は、帝国兵たちにとって「見えない死神」そのものだった。

 しかし、戦況は過酷だった。帝国の指揮官が、巨大な魔導大砲を地上に設置し、学園の時計塔を狙い定める。

「……あれを、通すわけにはいきません」

 最前線に立つフィオナの碧眼が、冷たく澄み渡る。

 彼女は亡国の王女として、常に守られる立場だった。だが、シュウと出会い、魔物を喰らい、泥にまみれて旅をしてきた今の彼女は、もはやか弱い花ではなかった。

「フィオナ、無理しちゃダメよ! まだその『神装』は負担が――」

 エレインの制止を、フィオナは静かな微笑みで遮った。

「いいえ、エレインさん。……シュウ様が、わたくしを信じて『一番美味しいところ』を託してくださったのです。……それに応えないわけには参りません」

 フィオナが細剣を天に掲げる。

 その瞬間、彼女の背後に、巨大な白銀の翼を広げた聖母の幻影が浮かび上がった。

「――【神装:白銀の聖域アヴァロン・ブレス】。……この光に触れる不浄な意志を、すべて浄化いたします!」

 シュウがかつて彼女に与えた「銀嶺草」と、ルナから分け与えられた「龍の生命力」、そしてフィオナ自身の「王族の血」が、三位一体となって爆発した。

 演習場全体が、目も眩むような白銀の光に包まれる。

 光に触れた帝国兵たちは、殺意を奪われ、その場に力なく膝をついた。魔導大砲は結晶化して砕け散り、傷ついていた学園の生徒たちの体は、温かな光によって瞬時に癒やされていく。

「……すご……。……フィオナ、美味しい匂いがする。……お花畑みたいにゃ」

 ミーニャがうっとりとその光を浴びる。

 フィオナの覚醒により、地上の防衛線は鉄壁の要塞へと変わった。

「……ふぅ。……お待たせいたしました、シュウ様。……地上は、わたくしたちが守り抜きましたわ」

 肩で息をしながらも、フィオナは空を見上げる。

 そこでは、崩壊する旗艦の甲板上で、シュウがアルトリウスと対峙していた。

「……はは、よくやった、フィオナ。……さあて、それじゃあ……こっちも仕上げといこうか。アルトリウス、お前の『聖剣』……どんな味がするか、楽しみだぜ」

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