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魔物喰いの境界線 〜俺が魔物を喰うたび、ヒロインは最強の神装を纏い戦女神へと覚醒する〜  作者: ヒデまる


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異世界の珍味と、暴走する食欲(ルナ)

ゼノスが持っていた執行部の秘蔵魔導具――『次元の羅針盤』。

 それを一口で噛み砕いたルナの周囲で、空間がガラスのようにひび割れた。

「……あ。……これ、硬い。……でも、中から甘い汁が……」

 ルナが漆黒の翼を羽ばたかせるたび、亀裂から見たこともない極彩色の触手や、結晶化した羽を持つ魔物たちが這り出してくる。学園の演習場は一瞬にして、異界の生態系へと塗り替えられた。

「ちょっと、ルナ! 何食べてるのよバカ龍ーっ!」

 エレインがエルフ耳を逆立て、魔導重弩を構える。

 フィオナもまた、ドレスの裾を翻し、シュウの背中を守るように剣を抜いた。

「シュウ様、あれは……この世界の魔物ではありませんわ。魔力波長が、あまりに不気味です」

「……ああ、分かってる。……でもな、フィオナ。……いい匂いがするんだよ。今まで嗅いだことがない、最高に『美味そう』な匂いだ」

 シュウの【鑑定】が、異界の魔物を捉える。

【対象:次元を喰らう大口ボイド・イーター

【属性:虚無・空間】

【味の評価:未知(星五つの可能性あり)】

「……シュウ。……ミーニャも、あのアメーバみたいなの、食べたいにゃ」

 黒い猫耳を興奮で震わせ、ミーニャが影から飛び出した。

 シュウは右腕を突き出し、龍の魔力とシャドウ・レオパルドの概念を再合成する。

「よし、全員。……今日は『異世界バイキング』だ! ルナが広げた風呂敷は、俺たちが食い尽くして畳むぞ!」

「……はぁ!? 全く、あんたって男は……。分かったわよ、援護してあげるから、さっさとその『珍味』を仕留めなさい!」

 エレインが放つ光弾が、ボイド・イーターの外殻を砕く。

 すかさずミーニャがその隙間に潜り込み、光の爪で核を露出させた。

「【魔物喰い:次元捕食】!」

 シュウの右手が魔物の核に触れた瞬間、演習場を覆っていた異界の魔力が一箇所に凝縮され、掌の上で「虹色のゼリー」のような塊へと姿を変えた。

「ルナ、口を開けろ! これがメインディッシュだ!」

「……んっ。……あ、ふ……。……美味しい。……世界が、回ってる」

 ルナが虹色のゼリーを飲み込むと、彼女の漆黒の翼に黄金の紋様が刻まれ、その瞳がさらに深く、知的な光を宿した。

 空間の亀裂が吸い込まれるように閉じ、演習場に静寂が戻る。

「……ふぅ。……ごちそうさま。……シュウ、大好き」

 ルナが満足げにシュウに抱きつく。

 その光景を、悔しそうに見つめる敗北者ゼノスと、呆然と立ち尽くす生徒たち。

 

 執行部を倒し、異界の脅威すら「食料」に変えてしまった編入生。

 その噂は、瞬く間に学園中に広がり、シュウは意図せずして学園の「頂点」へと担ぎ上げられることになる。

「……さて、片付けが終わったら、次は学園の『食堂』を制圧しに行くか」

「……にゃん! ……お肉、いっぱい食べたいにゃ!」

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