Sideルシエラ 轟音小娘とナルシスト弟子と幽霊の坊やと愉快犯
「……先ほどからセビーチェン先生の名前を出していらっしゃいますが、何か関係があるのですか?」
「あ、やっべ」
「!?」
やばいと仰いましたかこの方は。雪崩のようになにかの愚痴を言っていたように思われましたが、もしや無自覚だったのでしょうか?
「セビーチェン先生といったら元憲兵の教師だったかな?異変の影にそういった来歴の人間が関わっているとなるとますます怪しいね。幽霊君はどう思う?」
「へっ!?なっ、何も知らないよ!」
「「!!??」」
テオドール!?その反応は何かあるといっているようなものですよ!?
「テオドール?何かご存知ならちゃんと話してもらえませんか?話を持ちかけたのもあなたなのですから、ちゃんと情報共有しませんと!」
「えーだってしょうがないじゃん。僕約束を守るいい子だし」
「…………?」
咄嗟に隠そうとしたわりには意味深なことを言いますが、要は口止めされているということでしょうか?
協力したいという意思はあるものの、出せる情報に制限がある。ということなら腑に落ちますが……味方としては少し信用できなくなった感じはあります。
「ジャック様は第二王子の立場的になにかご存知だったりしないのですか?」
「生憎兄上と違って政治的なあれやこれやには関わりがなくてね。そういうのが直接耳には言ってくるような立場じゃないんだよ。師匠は何か話せないんですか?腐れ縁だって噂ですけど」
「どこでそんな話を仕入れてくるんだかねナルシスト弟子よ。しかし答えはノーだな。若人の切実な願いに応えてやれないのは悲しいが、これでも私は規律の下に生きる大人。面倒臭い守秘義務があるんだよ。あの悪逆非道の公僕め、情報統制は悪政の第一歩だぞ!」
「その反応、関係あるって言ってるようなもんだよね」
「テオドールがそれを言いますか……」
しかしその意見には私も全面的に同意します。そのセビーチェン先生が抱える事件とシャルロット様に何らかの関係があるとするなら、詳しい話を聞きたいところなのですが……。
なぜ今はただの教師であろう先生が事件を抱えているのかという疑問はありますが、それは置いておいて。
「シャルロット様は最近度々セビーチェン先生の下を訪れているなど、いろいろ符合する点はあるのですが、やはり話せませんか」
「……………………」
動きとしては学園で起きたという事件が何かを知るべきという意見で固まっている気配はありますが、具体的にどう動いたものか…………
「よしわかった!」
「「「!?」」」
「急にどうしたんですか師匠?」
「セビの字にはこの頃フラストレーションがたまってたんだ。この際ちょっくら困らせてやるわ!ナルシスト弟子に轟音小娘、それから幽霊の坊やよ。そのシャルロットって娘と私んところに来た仕事の関連を私に証明して見せれば、情報を横流ししてやろう」
「ちょっと待って下さいなんですかその呼び名は!」
声のでかい娘から悪化している!
「はいはーい、質問質問」
「なんだい坊や」
「アンジュの仕事の内容ちっとも知らないのにどうやって証明しろって言うのさ?」
「知らん自分らでなんとかしろ」
「さては師匠思い付きで喋ってますね?」
……やはり、味方として信用できるかは怪しい方かもしれませんね。
この愉快犯的女性にどこまで付き合ってさしあげられるのか、今の時点でとても不安です…………。




