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Sideルシエラ 騒がしい師弟と共に

「実は、ジャック様の知見をお借りしたいことが……」

「いや、みなまで言わなくとも察しはつくさ。シャルロットのことだろう?」

「わ、わかるのですか!?」


 話が早いのは助かりますが、元々シャルロット様が興味の対象だったとはいえこの状況を見透かされていたとすればいっそ恐怖すら感じます。


「シャルロット?ああ、うちのナルシスト弟子が粉かけてた娘っ子か」

「次似たようなこと言ったらぶちのめしますからね師匠」


 ご自身の実力に多大なる自信を持ち、いつ見ても余裕に溢れていたジャック様には珍しい怒りの表情をみせながらアンジュ様を睨み付けていらっしゃいます。これについてはアンジュ様が悪いとは思うものの、当たらずとも遠からずといった感覚になるのは気のせいでしょうか?


 しかしシャルロット様に手を出すおつもりならたとえジャック様であっても……


「師匠はいい加減なことばかり言うから本気にしないでくれたまえよ。本題に戻るけど、君もシャルロットになんらかの違和感を抱えている。そうだね?」

「ええ、そうなのです!病から復帰されて以来様子が変……というか。裏で何やら怪しげな行動をなさっているようですし……」


 仮説すらたてられないような漠然とした違和感。それでもシャルロット様の行動に表れている以上何かが起きているのは間違いないでしょう。


「つまり、彼女の身に何が起きたかを知りたいということだね。奇遇なことに今僕も似たようなことを考えていてね……君も見ただろう?彼女の魔法」


 シャルロット様の魔法。元々炎を代名詞としていた方ですが、おそらくここで言われているのは最近になって使い始めた謎の弾幕のことでしょう。


「シャルロットの魔法ってどんなやつ?気になるから教えてよ。僕が見たことあるのは僕を捕まえる時に使ってた壁となんか跳んでくるやつだけなんだよね」

「あの時そのようなことがあったのですね……」

「その跳んでくるやつというのはわからないけど、多彩な防御壁と弾幕をぶつけてくると言えば伝わるかな?その分だとまだまだ隠し球がありそうだけどね」

「それって弟子が前に満面の笑みで話していたあれか?魔法学が興った直後の時代に使われていた、圧縮した魔力をそのまま使った攻撃手段。あの時は面白いものを見れたとまるで自慢するかのようにベラベラと……ずるい。ずるいぞ。なぜ私はそれを間近で見られていないんだ。今度セビの字に頼んで授業見学でもしようかな。いや、私に仕事を寄越した見返りだ、いいえと言っても押し掛けてやる」

「ルシエラ、多分だけどだいぶ迷惑な大人だよこいつ」

「聞こえるように言わないでくださいよ!」


 かなり話が脱線しかかっているが、つまりジャック様は、シャルロット様が突然そのような特殊な魔法を扱い始めたために、シャルロット様に注意を向けていたということなのでしょう。


「戦い方も、バリエーションが増えた代わりに精彩を欠くようになった感じがあってね。ブランクで調子が狂った……では説明が付かないところまできている」

「確かに言われてみれば……」

「面白そうだから調べてみようと思って、本人にも打診したけど遠慮されてしまってね」

「遠慮じゃなくて、胡散臭かったんじゃないの?」

「幽霊君は僕に敬意とかないんだね」

「テオドール、それわざとやっているんですか?」


 仮に私が声をかけられていた場合でも嫌な予感がしていた気がするので、彼の意見を否定できないのが嫌なところです。それにしたって、相手を選ばずに物を言いすぎです。


「近頃は憲兵も騒がしいし、余計に何かある予感がしていた。シャルロットの忠臣の君もいずれ気がつくだろうなと思っていたら、君の方から来るとはね」

「ちなみに、仮に私があなた様を探していなかった場合、そちらから接触する予定はあったのですか?」

「どうかな。あくまで気になるのは彼女の魔法のことだけだから。けど、どこに手掛かりが転がっているかもわからないものだろう?そうなったらどうしていたのだろうね。まぁ考えるだけ無駄さ」


 それもそうですか。しかし、憲兵が騒がしい……というのが気になります。よくよく考えてみれば、プラシドさんのことといい何かと動きの多い1ヶ月でした。シャルロット様が影で何かを探っているのと何か関連があるのでしょうか……?


「……………………ナギサの奴、結構バレてんじゃん。どうすんだろこれ」

「てっ、テオドール?何か言いましたか?」

「なんにも」


 なんなのでしょうかね、テオドールは。違和感といえば、彼の反応も時々気になります。シャルロット様とも出会ったばかりの、野良?の幽霊のはずなのですが……


「というか、さらっと流してしまいましたが、ジャック様はテオドールのことをご存知なんですか?先程は知らなそうなそぶりを見せておりましたが」

「前に師匠が話していたのを思い出したのさ。確か、“セビの字が今度幽霊に会わせてくれるらしい!上手く行けば魔力と魂の関連性に関わる研究に進展があるかもしれないぞ!ああ、あいつさっさと連れてきてくんないかな!特別手当代わりに!仕事増やしたお詫びの印とかで!”……だったかな?もちろん彼の姿は見えてるよ。僕がこれでもやんごとない身分の生まれだからかな?」

「ああ、そんなこと話したな。よく覚えてたなナルシスト弟子」

「後で表に出てください」


 流石は師匠と弟子、魔法への好奇心という点であまりに似た者同士です。血筋からいってジャック様が師事できるような実力を持つ魔法使いがいるのかと疑問でしたが、実力はまだわからないとしても気質の面では納得です。


「とりあえず、共にシャルロット様について探るということで合意でよろしいでしょうか!」

「もちろんさ。あ、師匠も一枚噛みますよね?」

「おお、私も興味あるからな。ただまあ、私は悪しき公僕の手によりとっても忙しい。その合間を縫ってちょっとばかし意見を聞いてやる程度になるかもだ。しっかし最近の学園は事件ばかりで可哀想になるな。お陰でセビの字からの鑑定依頼が後をたたん」

「それは大変ですね……」




「ん?事件?それにセビーチェン先生?」

シャルロットの忠臣というところは否定しないルシエラが可愛い。

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