Sideルシエラ ターゲットは変人王族
「そのお三方が犯人だと?」
「うん。でもなんかみんなの反応悪かったんだよねー。そいつらなのは間違いないとは思うけど」
テオドール少年との同盟を組んだ私は、早速彼が見つけ出したという不審者の正体について聞いてみました。それに対するプラシドさん達の反応についても。
確かに、決して親しい訳ではないものの、私から見てもこのような問題を起こすとは到底思えない方々です。
「しかしヴィルジニーさんも含まれているなんて……」
「あれ、ルシエラもそいつのこと知ってるの?」
「えっ、ええ、まぁある意味有名な方ですからね……」
「ふーん……ま、僕にはよくわかんないけど。ていうかいつまでビクついてるの?」
「へっ!?き、気にしないでください!仕方がないでしょう!?ただでさえ苦手な幽霊と行動を共にしているんですから、そう簡単には慣れませんよ!」
「なんでそんなに苦手なんだか」
彼には失礼な態度でしょうし申し訳ないとも思っていますが、三つ子の魂百までというように幼い頃からの苦手意識はそうそう消せません。
そういえば、同じようなことを昔お兄様にも言われましたね。“なんでお化けが怖いんだ、魔法の方がよっぽど不思議だし危険だろう”と。こっちが聞きたいくらいです。
「で?どう動くつもりなの?僕もたまにプラシドたちの方からお呼びがかかるけど大したこと教えてもらえないし、ルシエラは混ぜてもらえないんでしょ」
「えっ、ええ。ですので彼らの目の届かない、かつ学園周辺に起こる異変に詳しそうで権威のある……そんな方に接触する必要があります!」
「そりゃそうだろうけど、いるの?実際そんな都合よく」
「いますよ…………私たちの学年に」
権威という点ではある意味で不安もあるけれど、一人だけ思い当たる節があります。
「……ジャック様に協力を仰ごうかと思っているのです」
「へー、ジャック……なんか聞いたことがあるような…………って、え!?ジャック!?それって第二王子じゃないよね!?えっ、大丈夫なのそれ」
「元は貴族令息、流石にご存知でしたか!」
「バカにしちゃダメだよ。あれでしょ、噂じゃ自分は王位を継がないのをいいことに魔法研究にのめり込んでる変人っていう」
「こ、この場にいないからといって不敬ですよテオドール!否定はしませんけどね!」
「しないんだ」
あの方は授業に出席せず研究所に入り浸ったり、逆にシャルロット様と競うためだけに学園に来たりするような不真面目な方なので、そういった評価も致し方ないと私は思いますね。
それでも魔法学という分野においては実力も実績も兼ね備えているので、敬意自体は払われているのが不思議なところです。今の奔放さを国王陛下に黙認されているのもそれ故でしょう。
「あれでも王族ですからなにか異変があれば耳に入っているかもしれませんし、ジャック様の好奇心を思えば自ら首を突っ込んでいてもおかしくありません!」
「あれでもって、ルシエラも人のこと言えないんじゃないの?でもさ、素直に手伝ってくれるのかな?優しい僕じゃあるまいし」
「以前シャルロット様の魔法について興味を持たれていたので、断るとは思えませんが…………もし、対価を求められたりした場合は」
「した場合は?」
「……………………じーっ」
「えっ、ちょっ、なんで無言でこっちを見つめてんの?…………おーい、ルシエラー?」




