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学園でのやらかしがバレてませんように

 学園から持ち帰った勉強道具だったり例のお土産だったりの整理を終えて、父の書斎に招かれていた。どうも私を出迎えるためにかなりの量の仕事を持ち帰ってきたらしく、せっかくの家族の会話も片手間にならざるを得ないらしい。


 とはいえ、忙しい中で時間を割いてくれているということなのだからむしろ好感が持てる。私のお父さんもそんな感じだったし。


「しかし一体どういう風の吹き回しだ?自ら帰郷を申し出るなんて、以前はそうなかったが」

「事件の直後、それも記憶喪失ということもあっていろいろ心配を掛けているだろうから、直接元気な姿を見せておくべきと先生に言われまして」

「ああ、そういうことだったか。てっきり成績不安のことでなにかあるのかと思っていたが……」


 げ、知られていたのか……。


「言っておくがお前を責める気はない。無論以前のお前がこの体たらくであったのなら不出来を嘆いただろうが……状況が状況だけによくやったと言うべきだろう」


 ありがたい話ではあるが、あの成績で不出来呼ばわりされるあたり求められる水準があまりに高すぎる。……まぁ、多分忖度というかいろいろな配慮込みの成績だっただろうし、実際はもっと低いとは思うけれど。


 そうなると、いつか噂されていた話も根も葉もない訳ではないということになるのか?


「それで、この休暇はどう過ごすつもりでいる?私はそう付き合う余裕はないが」

「そうですわね……」


 健在を示す以外の目的は実家に異変が起きていないかの確認だが、彼らにそれを表沙汰にするわけにはいかない。というか、発端が先生だから自分自身は大してどう過ごすかの計画を立てていないのである。はてさてどうしたものか…………


「決まっていないのなら、良い機会だから元々の自分自身について探ってみるのはどうだ」

「ぽぺ?」

「手段はなんでもいい。外へ出るでも、使用人と交流するでも……。記憶を取り戻す助けになるかもしれんし、無理は禁物といっても私は現状のままで良いとも思っていないからな」



 ……ふむ、確かに良い考えかもしれない。記憶喪失は嘘でもしばらくは私がシャルさんとして生きなければならないのだ。伝聞だけでなく、シャルさんの過去について直接体感した上で知識を身につけることは、成り済ます上で必要かもしれない。


「ではそうすることにいたしますわ。わたくしも気になりますし……出歩くとなったら、また護衛の算段をつける必要があるでしょうが」

「その通りだ。とにかくこちらでの立ち回りは決まったようだな。さて、流石のお前も移動もあって疲れているだろう。もう下がっていいぞ」


 あれ、父子の水入らずの会話というにはかなり淡白な切り上げ方をするな。好感度が若干上がっていた分拍子抜けだ。


 とはいえ今後の方針を示してくれたのはありがたい。シャルさんの身辺を探っていれば異変があれば気付けるだろうし、ひとつやってみるか…………。













──────────────────────






「…………結局、事件のことは話題にしなかったのですか?」

「ああメリッサ。必要ないだろう。どうせ大体の事情は知っている」

「それはそうでしょうけど……。まさか規律を重んじるシャルロットが、無理を通すような形で事件に関わろうとしているなんて…………」

「記憶を失って多少性格に変化が出たか、単純に今回の事件への憤り故か……。もっとも、今回の誘拐については憲兵にも責任がある。だからかつてのシャルロットであっても奴らの顔を立てる必要もない、と判断しても違和感はない」

「その点では同感です。しかし止めなくてよいのでしょうか?」

「我が家の名誉に傷が付かない範囲でなら好きにやらせる。シャルロットは私の次にこの椅子を任せる存在だからな。身にかかる火の粉は自ら振り払うべきだろう?」

「…………あなたがそう言うのであれば、それに従います」

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