急造コンビ、ルシエラ&テオドール
「…………行ってしまわれましたね。シャルロット様……」
「そうみたいだねー」
シャルロットさんを見送った先生と私。先生は仕事へと戻り、私は考えを巡らせつつ自室へと歩みを進める。学園に残るとはいえ休み、時間はたっぷりあります。ひとまず今後の立ち回りを考えなければいけません。
「少しの間寂しくなりますが好都合ですね!私が動きやすくなりますから!」
「君もなんか暗躍するつもりなの?本当にこの学園、この頃おかしなことになってるね」
私が疑念を抱いている対象であるシャルロット様がいないのであれば、ある程度派手に動いてもシャルロット様には伝わらないはずです。あなたの身になにが起きているのか探るには絶好の機会…………
…………あれ?先生はもう既に校舎内へ戻られた。ということは、この場にいるのは私一人のはずです。しかし、私の独り言に反応する声がする……?
気になって辺りを見回してみますが、誰もいない。それでも流石に幻聴の類いではないだろうと発言の主を探していると……
「……なんでしょうか、これ」
謎の人形のようなものが肩に乗っていることに気が付きました。腕にはめて使うようなタイプの人形で、真っ白の布に簡略化された目と口が縫い付けてあります。誰かのいたずらで…………
「やっほールシエラ、まだ気付かないの?」
「へっ!?ひっ、ひぃぃぃぃ!変なのが喋ったぁぁぁ!?」
「あー、ちょっと?だから僕だって。テオドールだよテオドール」
「………………へ?テオドール…………?あっ!そっその声は、いっ、いつかの幽霊ではありませんか!」
謎の声、そして肩にいた人形の正体は幽霊のテオドール少年でした。正直言って彼……というか、お化けの類いは苦手なのですが、なにか用があるらしい彼を無視するわけにもいきませんね。
「えっ、えと今日はどのようなご用向きで……というか、その人形はどうしたのですか?」
「あこれ?誰かに話しかける時とかに、僕がここにいるって皆が認識できるようにってあのセビーチェン先生に持たされたんだ。シャルロット以外からは見えないみたいだからね」
「年上相手でしょう!ちゃんとシャルロット様のことを呼ぶ時には何らかの敬称をつけてください!」
「オカルト苦手っぽいのにこういう時だけ圧を出せるんだ……」
しまった、少しばかり冷静さを欠いたようです。要するに、こちらの人形はテオドール少年の存在を示すサインだったというわけですか。しかしいつの間にセビーチェン先生と接点を……?
「それで用件なんだけどさ。確かルシエラって僕の報告聞いてないよね。怪しい生徒を探すってやつ」
「そっそういえば、プラシドさんから“これ以上関わらせるわけにはいかない”と言われまして……!」
「ふーん?あのシャルロットはがっつり絡んでるのに、ルシエラは置いてけぼりなんだ」
「だから敬称!…………で、あなたは私にもその報告を聞かせてくれようとしているということですか?」
「うん、そういうこと。シャルロットが行っちゃって僕もしばらく出番なさそうだし、よくわかんないけどなんかハブられてる君と組んでいろいろ調べた方が楽しそうだと思ってさ」
「そっ、そんな理由で巻き込まないでください!」
「そんなこと言って……本当は巻き込んで欲しかったんじゃないの?」
「うっ!?」
それに関しては図星です。元々私はシャルロット様たちの最近の動向について調べるつもりだったし、その上であの幽霊探しについても深掘りすべきと考えていました。
彼に面白がられているだけという気もしなくはありませんが……まったく、なんの因果でお化けと共同戦線を組もうという話になろうとしているのでしょうか。私そういうの不得意なのに。
「(一応約束は守ってあげるつもりだけど、親友っぽいルシエラに隠し事をしてるシャルロット……本当はナギサなんだっけ?はあんまり気に入らないとも思うし、こんくらいは勝手にやらせてもらっちゃおう)」
「……なにか仰いましたか?」
「なんにも」
しかし、プラシドさんたちが私に詳細を話す気がない以上、彼の存在を頼るほかありませんか。不本意ではありますが…………!
「わっ、わかりました。シャルロット様の安寧のため、この学園に潜む闇に共に斬り込んで参りましょう!」
「あ、本当?それじゃあよろしくねー」
この世にシャルロット様ある限り戦う女ルシエラ・アイトーン。なんとまさかの、幽霊とタッグを組むことになってしまいました…………。
この回から渚視点の里帰り編とルシエラ視点の学園編を平行して展開します。わかりづらくなっていたら改善するのでバンバン文句言ってください。あと感想もほしいです。




