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本当に怖いのはいつも人間の方

「こんなになってからは生身の時より夜目が利くからさ、夜中も一人で探検したりしてたんだよ。そしたら近頃は守衛以外の人影を見るようになって、変だなーと思ってたんだよね」

「人影ですか。どんな姿でした?集団?それとも一人?」

「大体一人でいるんだけど、毎回同じ人じゃないみたい。みんな制服姿だったけど、男だったり女だったり……でも君らの言う執務室でなにかコソコソやってたのは間違いないね」


 どうにも妙な行動をとる不審者達だな。私たちが探していた犯人はそっちの方で当たっていそうだが、複数いるのに日を跨いでそれぞれ単独行動しているだなんて。


「そ、その方々はいったい何をしてらしたんですか!」

「わかんない。多分探し物とかだと思うよ。なんか資料みたいなものを持ち去ったり戻したりしてたし」

「……そういえば前に教師の方と話した際、最近事務仕事の時に資料を失くしがちだと聞きました……。いつも何日かすると見つかるので守衛に届け出たりはしなかったそうですが、その話を踏まえるとただの失くし物ではないかもしれませんね」

「ですが、わざわざ戻すのはなぜなのでしょう?」


 たしかに。戻さずそのままパクっちゃえば良さそうなものだ。戻しに来るのだってかなり危ない橋を渡っているだろうに。


 動機に関しては今考察してもどうしようもないとは思うけど。


「そしたらさ、僕が昼間探しとこうか?その不審者。全員は無理かもしれないけど、覚えてる範囲でなら見つけられると思うよ」

「それはありがたいけど……当てはあるの?」

「当てもなにも、制服姿ってことはここの生徒でしょ?しかも前に見た限りじゃ皆生身の人間だったし。大丈夫なんじゃない?」

「是非頼みたいところですが、急にすごく協力的になりましたね。理由をお聞かせいただいてもよろしいですか?」

「だってさっきはいきなり話しかけられて驚いたから逃げただけで、別に嫌ってるとかそういうわけでもないし……。それに流石にそろそろ暇してきたからね。別のことがしたかった」


 あぁ、すごいわかる…………刺激があまりに少なくて時間の流れがかなり遅く感じるから、暇潰しの手段がマンネリ化しがちなんだよ……。協力するのも納得だ。


「それではなにかわかり次第情報を共有していただくということで……シャルロット嬢、申し訳ありませんが、テオドールさんのことはあなたにお任せしてよろしいですか?」

「良いですわよ。この中では彼を視認できるのはわたくしだけみたいですもの」

「こればかりはシャルロット様に頼りきりで申し訳ありません……!力になれればよかったのですが、私はちょっと…………!」


 ルシエラ、さっきからずっと思っていたけれど、実はオカルト方面苦手なのね。わりとファンタジーな世界でもあるんだそういうの。


 ひとまず今回は協力者が増えたことを成果として、後の事はテオドールの調査待ちということにしておこう。


「話もまとまったところで、我々はこの辺りで切り上げましょうか。お二人とも、寮まで送りますよ。閉まっている筈ですし」

「そうですね!流石にもうこの場を離れたいです!」

「ではお任せして、わたくし達はここで帰りますわ。また会いましょう、テオドール」

「それじゃあねー」







──────────────────────





 シャルロット様を追っていて巻き込まれた深夜の学園探索も終わり、自室に帰ってきた私は一人思考を巡らせていました。


 近頃学園内で感じるざわめき……プラシドさんとシャルロット様の繋がり……不思議なことが多いけれど、なによりも、


「最近のシャルロット様にはなにか大きな違和感を感じます……大まかにはいつも通りですが、雰囲気や細々とした所作や言動…………」


 なにか掴めればと思って近頃はいつも以上にシャルロット様のことを見守り、深夜に寮を抜け出すまでしましたが、わからずじまい。むしろ、なぜシャルロット様があのような噂の真相を探る必要があるのかと、謎が増えてしまいました。



 …………ただ、


「今のシャルロット様には違和感がありはしますが……それでも悪い予感は感じません…………」


 ……シャルロット様、あなたの身には一体何が起きているのですか?

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