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よからぬ予感

 期末考査の後は、しばらく特別な行事もない穏やかな日々が続くことになる。そんな私の頭の中を占めていたのは、模擬戦の後に聞いた噂話だった。


 あのジャックの話は妙に気になる。もちろん、私が元々悪霊で怪談に語られる側の存在だったからというのもあるが、事件がたて続いているなかで立った噂だけに何か裏があるのでは、という気がするのだ。


「……様、今回はだいぶ調子を落としたようだけれど……」


 単なる与太話で済めばいいのだが、正直この学園もあまり安全ではない。誰かが再び私を拐おうと行動を始めているとか全然ありそうな話だ。噂についてはちらっと聞いただけだから、根拠のない妄想ではあるのだけど。


 とりあえず詳細を誰かに聞くべきか。こういう時はやっぱりルシエラを頼るのがいいだろう。あるいはセビーチェン先生に聞いてみるのも手か。


「……聞いた話では、本来はあの程度の実力だそうよ。先生方に忖度させていたとか……」


 でも実際何が待ち構えているのだろうか。長くゴースト生活を送っていた身としては久々にオカルト絡みのイベントであって欲しいなーと思う。


 世の怪談の9割は怪談とも言えないような真相だと思うが、母校では学校の七不思議幻の八番目と呼ばれていた私のような例外もある。ない話では……まぁないだろう。その場合は自称女神を頼るべきなのかな?私の時みたく、幽霊絡みのことは向こうも把握しているだろうし。



「……まあ、それが本当なら次期当主としての資質に関わるのではなくって?」

「本当ねぇ」



 ……ていうかさっきから耳に入ってくるひそひそ話は一体なんだ?細かい内容は聞き取れないが、あまり聞いていて気分の良い話ではなさそうだ。


 成績を落とした、次期当主、忖度………………?






 あこれ私の話か!?


「そこの内緒話をしてらっしゃるお二方、そこになおりなさいっ!!」


 話しているのは私のことだと思い当たったと同時に教室を飛び出し、廊下で談笑していた女二人を怒鳴り付ける。


「シャ、シャルロット様!?」

「な、なんのことでしょうか?」

「とぼけるのではありませんわ!このわたくしの地獄耳があなた方の会話を拾ったのです!随分と聞き捨てならないことを話していたようですわね!?」


 悪霊時代から、悪意のありそうな会話には妙に耳が敏感だった。シャルロットさんの身体に入った今でもそれは健在だったらしい。


 そんじょそこらの生徒よりよっぽど身分の高いシャルロットさんに悪い噂を残すわけにはいかない。こういう芽は早々に積んでおいた方がいいだろう。

 ただ内容自体は気になる。大方いつかの考査の話なのだろうが。


「さあ、今なら怒りませんから詳しく聞かせてくださる?わたくしがなんですって……?」

「ひっ……シャ、シャルロット様が今回成績を落とされたのは、そもそも普段の成績自体が作り物で今回は何かの要因で地力を出さざるを得なかったのだと……」

「そ、そういう噂が立っているのです!勿論わたくしどもは信じてはおりませんがね?」

「ほーん、信じてないねぇ……まあ成績を落としたのは事実ですからそれは甘んじて受け入れるとしても、問題は後半ですわね。わたくし(シャルロットさん)の成果にケチをつけるとは……」

「で、では今回は何故……?」

「へ?あー……二週間も熱でうなされたせいで身体の調子は上がらないわ勉強は追い付かないわで遅れを取ってしまったのですわ。言い訳に聞こえるであろうことは重々承知しておりますが」


 とばっちりでシャルロットさんには申し訳ないが、立場を思うと今回の結果で責められる筋合いはあるのだろうとは思う。私的には普通にすごくないかと思うのだが、貴族社会体裁がかなり重要そうだし。点数を見ても大幅に下がっていること自体は事実だからつけ入る隙にはなるのだろう。ただ、前の成績については完全に言いがかりだし、はっきりノーを叩きつけておかないと。


 というか、彼女らの素性は知らないが、シャルロットさんって結構なお偉いさんだったはず。学内は平等との話ではあるが、それでも喧嘩を売るような噂を流すのは、怖いもの知らずもいいとこなのではないか?


「そういうわけで、調子を崩すのは今回限り。これまでも正々堂々と臨んできましたし、今後はまた上位に舞い戻って見せますわ。……それよりも、噂ということは、他にもこんな言いがかりをつけている方々がいらっしゃる……そういうことよね」

「そ、そうです!他の方々も話していたことを話題にしたのみで!」

「言い出したのは誰か、わかりますの?」

「そこまでは…………」

「あらそう。じゃあこの辺で失礼させてもらうわ…………二度とこんな話を外でしないように。ね?」

「「はっ、はい!」」




──────────────────────



 二人のもとを去りながら思考を巡らす。知らない間にシャルロットさんのネガキャンをしようとする輩が出てきたとは驚きだが、あの人の立場と才覚を思えば妬む者、蹴落とそうとする者がいてもおかしくはない。


 正直不可抗力だとは思うが発端は私なのだし、事件が解決してシャルロットさんに身体を返すまでにはなんとかしておきたい所だ。まったく、誘拐だ怪談だと続いて、面倒事を増やさないで欲しい。




 …………そういえば、勢いであの二人組に説教したけど、私ってあんな他人に圧をかけられる人だったっけ……?

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