現場に臨んでは犯人をボコボコにせよ
満を持してやって来たレオン襲来の日。今日の成績発表で私は314人中14位だったとかそういう話はこの際置いておいて、状況が動くのをじっと待つ。
憲兵隊は侵入経路から予測された進路とは被らない場所で待機中。この辺りにも見えないけどいるらしい。彼らには私のことを、“囮役に別の部署から来てもらった女性隊員“と説明してもらっている。なんとか誤魔化せたようでなによりだ。
……………そんなことを考えていると、背後に気配を感じるようになった。顔で本人でないとわかるといけないので振り向いて確認ができないが、おそらくその時が来たのだろう。
「……やぁヴィルジニー、一方的な呼び出しに応じてくれてありがとう。色々あって追われていてね、君の顔を見ておきたかった」
「…………今日は一体どんなご用で?」
あらかじめ考えておいた、それらしい返答で応える。
「会えるのも最後になるかもしれないからね。ひとつ君の助けになれればと思って……とりあえず、背を向けていないで顔を見せておくれよ」
そう言うとレオンは肩に手を乗せ顔を向き合わせようとしー………
「ヴィルジニー……じゃない!お前は……!」
「気がついたっすね……さぁ、」
「往生するがいいっす!ハチスカ☆シューティング!!」
「ぐはぁ!?」
大声で叫びながら胸ぐらを掴んで引き寄せ、顎に弾幕をぶちこむ。モロに受けたレオンは大きく後ずさり、膝を突いたところで現れた憲兵に取り押さえられた。
カッコつけて往生しろとは言ったが、実際に死なれると困るので自分なりに威力は抑え目にしてある。初心者だから加減は下手だし、ほぼゼロ距離だったからだいぶ痛い目見たと思うけど。
「……なるほど、とっくにバレて対策をとられていたわけか。こんなに対応が速いとは驚きだよ」
「仮にも古巣に対してずいぶんな言い種だな、レオン」
レオンの言葉に、憲兵隊を先導していたセビーチェン先生が応える。会話の裏では、取り押さえたレオンを更に拘束しようと憲兵がこそこそ動いていた。
「驚きもするさ。あんな誘拐を成立させられる程に綱紀の乱れた実態を知っていれば…まぁ僕がいた頃と既に人員もだいぶ変わっているみたいだけれどね」
「とにかくもうここらで大人しくしてくれや。どんな動機か知らないが、今なら極刑ぐらいは避けてやれる」
「………………無理な相談だ」
「!?おい、何を……!」
不穏な気配を感じ取った先生がレオンに近づいたその瞬間、周辺一帯に閃光が放たれーーー




