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世界観説明のターンって大事っすよね

 自称女神曰く、私が連れ拐われた先は『アルメリア王国』なる異世界の大国なんだとか。

 この国の公爵令嬢であるシャルロットさんは貴族達の通う学園で何者かに襲われ、気付いたときには世界を越え自称女神の所に来ていたらしい。


「学園なんてあるんすね」

「ええ。寄宿制の…貴族に限らず、我が国は国民皆学が義務ですわ」


 ありがちな中世辺りの世界観だが、思ったより進んだ価値観を持つ国なようだ。


「しかしこちらの世界は祖国とは文化も技術も大きく違いますわね…異世界というだけあります」

「そうなんです。そしてこの文化の違いを生んだある1つの要素が…」


「魔法の有無です」


 ラノベのような世界観だが、こちらには魔法が現実に存在するらしい。人々は生まれながらに魔力を扱うことができる代わりに、科学技術の発展は微々たるものなのだという。

 詳しい理屈は理解できなかったが、酸素などと同じような感覚で大気中に魔力なるものが満ちていて、それを取り込むことで魔法を使うことが出来るのだとか。まったく、どれもこれもどこかで聞いたような概念である。


「魔法の実力は遺伝するようで、建国期に高い実力を持つ魔法使いが支配階級となった関係上平民と貴族では実力に大きな隔たりがあるのです」

「特にその国では王族が群を抜いて強力な力を持つらしく、王政の裏付けとなっているそうですよ。まぁ今は平和な時代となっているらしいので昔ほど重要視されてはいないようですが…」


 魔法の存在ゆえに貴族が権力を持つ体制が続いているものの、絶対王政レベルで権力が集中してはおらずある程度分散しているお陰でそれなりに平穏なのだとか。

 貴族令嬢が誘拐されている時点で平穏もなにもない気はするけども。


「アルメリア王国についてはわかったっすけど、じゃあこの事件の原因って何なんすかね?」

「現状わかりません…そもそも世界を越えるという行為自体、我々の手でできないようにしたはずなのですよ」

「へ?」

「神様業界の話になるんですが…」


 曰く生物の魂は有限で、その世界の中で循環させることで生態系を成り立たせているらしい。命の総数は変わっていくものだが魂の総数は不変なのだと。


「ところがです。そちらの世界に魔法の力でもって他の世界にアクセスしようとするものが現れまして…他所の世界の住人を拐ったりといろいろやらかしてくれまして」


 そうして拐われた人間が死んだりした結果不変であるはずの魂の総数が変化してしまい、輪廻転生のシステムが狂うことになってしまったとか。

 

「事態を重く見た我々はすぐにデバッグを行い、他の世界へのアクセスが不可能なように修正しました」

「なんかサイバーセキュリティみたいっすね?」

「実際バグみたいなものでしたから」

「わたくしは存じ上げない概念ですが…とにかく本来あり得ないことが起きたということですわね」

「その通りです。そしてそれが再び起きてしまったと…」


 それ神様業界的にかなりの不祥事なのでは…?


「ホントですよ。しかも今回の件早めに対応して蜂須賀さんを連れ戻そうと思ったのに、許可が下りたのはあなたに連絡を取ることぐらいなんですよ?酷いですよねぇ」

「えそれって例えば、女神様に迎えに来てもらって元に戻してもらったりとかできないってことすか?」

「それすると服務規定違反で私がお縄なんですよ」

「えぇ…」

「一応断っておきますが隠蔽とかじゃないですよ?二次被害を防ぐために介入の度合いを抑えてるだけで」

「まぁわかるっすけど…」


 スケールが大きすぎて何とも言えないが、ここは飲み込むしかなさそうだ。


「もっとも、原因がわからない今女神様のお力で無理に解決しても結局どこかで同じことが繰り返されてしまうでしょう。元凶を叩く必要があるのではなくて?」

「あー確かにそれはあるっすか」

「ええ。実はそれも理由の一つなんです。原因不明のままでは色々どうしようもないんですよ。ただ、私から情報を提供するのはアリなので蜂須賀さんに指示を出して動いてもらうことは可能なのです」

 

 …私に動いてもらう?もしかしてこの流れ、私に面倒くさい役割が回ってくるのでは?


「なので蜂須賀さん、あなたにはそちらの世界で誘拐犯をとっちめていただきたいんですよねぇ」

「!?」

「ついでにこっちの世界と繋げて戻ってくる所までしていただきます」

「????????」


 なんつー大役任せてくれてんの?

 


 

 

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