奴を迎え撃て!
「……それで経路は絞れたみたいですが、明日はどのように動くおつもりなのでしょうか」
「レオンの侵入が確認され次第、今回見つけた侵入経路を片っ端から押さえて袋のネズミにする。最初から待ち伏せるよりも学園内に閉じ込めちまえば、向こうもなす術ないだろうさ」
「けれど正確な時間は分からないのでしょう?」
「例の待ち合わせ場所でレオンが確認され次第動く算段だ。その場で捕らえられなくても逃げ道でお縄だな」
なるほど…。レオンの実力の程は知らないが、二段構えで臨めばさすがにどうしようもないだろうという魂胆か。憲兵隊としては本来侵入を防ぐべきな気もするが……まぁ私も背に腹は代えられない。レオンも、可愛い姪が在籍する学園内で大立ち回りを演じて設備をめちゃくちゃにしたりはしないだろう。うん、きっとそうに違いない。
…………ん?姪……?
「あら?よく考えると、ヴィルジニーさん御本人はこの件に一切関与していないのですよね」
「手紙は回収したわけだし、そりゃあな」
「本人がいないことがバレて、姿を表す前に切り上げられたら不味くありません?」
「………………………痛いところ突くなお前」
「はれぇ!?」
わりと肝心なところでノープランかい!
「どっ、どうするんですの!?ただでさえ向こう依存の作戦なのですから、変に警戒されればもう捕まえる機会がないかもしれませんわよ!」
「やっぱそうだよな…」
「一応我々もそう考えて、ヴィルジニー嬢になりすました囮を待ち合わせ場所に用意しようと思ったのですが、どうにも適任がおらず…」
「うちにも女性はいるにはいるが、皆鍛えていたりで体格が全然似てないってことで頓挫したんだよな」
「それにしたってもう明日に迫っていますのに……」
「…………あ、それわたくしがやればいいのでは?」
「「はぁ!?」」
「はやまらないでくださいよシャルロット嬢、そもそも、以前にも言いましたがあなたを大っぴらに捜査に関わらせるわけにはいかないんですよ?」
「そこはほら、お二人に上手く誤魔化していただいて」
「無茶ぶり前提じゃねぇか!!」
まぁ自覚はあるけども、時間もないから受け入れてほしいところだ。囮を用意できていないそっちサイドの問題でもある気がするし。
「勝算もありますわ。何度か彼女のストーキングをしておりましたから、背丈や体格が似ているのは確認済みですし」
「いやいや、確かに囮の適正がありそうなのは認めますが流石に駄目ですって。今回は大人しくしていて下さいよ」
「プラシドさんプラシドさん……」
「なんです?」
(同意していただければプラシドさんが借り物を備品に混ぜて返却しないまま放置しているのは黙っていてあげましょう)
(借り物…?備品に混ぜ…………あっ!)
「シャルロット嬢に任せるべきです!」
「お前何吹き込まれたんだよ……」
「では2対1で採用ということで」
「わかったわかった!じゃあもうそういうことで段取り決めちまう!これで満足か?」
「上出来ですわ!」
「お前本当に事件の前後で人が変わったよなー…」




