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そういえば勉強会って初めて

「いやぁ、本日はお招きいただきありがとうございます!シャルロット様の頼みとあらば対価がなくともやる所存ではありますが、折角のご好意ですしいただきますね!」


 そう言いながらコーヒーをすするルシエラ。やっぱりいちいち大袈裟だ。


 どうにも明後日が不安なために彼女を招いて勉強会をしようとその場の思い付きで決めたわけだが、さすがルシエラというべきか、すぐさま必要な教材やノートをまとめて寮にやってきた。


 あんまり早いものだからもてなす用意が間に合わなかったぐらいだ。コーヒーの淹れ方もシャルロットさんになりすますために急いで身に付けたものだから余計に時間がかかったのもあるが。


「それでシャルロット様、みていただきたい範囲とは休まれていた期間に習う分野でよろしいんですよね!」

「そうね。よろしく頼むわ」


 景気づけにマドレーヌを一つ頬張って、勉強会がスタートした…







───────────────────────


「そういえば先程は聞けずじまいでしたが、プラシドさんと何を話してらしたんですか!」

「!」


 勉強会を始めて数時間、思い出したかのようにルシエラに質問された。ついさっきまでは話題というと誤答の指摘とかだったのだが、世間話をしたい気分にでもなったんだろうか?


「あー、えーっと…その、失くし物を見つけていただいたのよ!それで感謝を伝えていただけ」

「なるほど!まぁプラシドさん良い人ですしそのくらいはするでしょうね!」

「あなたの方は彼と親しいの?兄の元同僚とは言っていたけれど」

「顔を合わせる機会は少ないですが、兄に近況を聞くとよく話題に上りますね!真面目ですがうっかりした方だと!」


 真面目なのはそうだろうが、そんな一面があるのか…まだ大して関わっていないからなんとも言えないけども。


「元々あなたは守衛に顔が広かったけれど、プラシドさんとは特に関わりが深かった感じかしら」

「そうなりますね!そういえば以前兄が大笑いしながら教えてくれたことがあったのですが!」

「え、なに、恥ずかしい話とか?」

「『後輩気質でも威圧感を出せる20のメソッド』という本を外部で借りた際に、読んだ後の本をうっかり憲兵隊の備品に混ぜてしまったことがあったそうです!兄は面白がって指摘しなかったそうなので、未だにそのままなのだとか!」

「なにやってんのあの人…w」


 笑いを堪えようとしたら思わず素が出てしまった。


 確かにうっかりさんらしいエピソードだけど、登場人物全員に突っ込みどころがあるのはズルいと思う。ルシエラの兄貴はわざとやってるみたいだし…


 そういえば、初めて会った時の言葉遣いは普段のプラシドさんとは大きくかけはなれていたが、もしかするとその本を参考にしたんだろうか。


「しかし本当に何故こちらにいるのでしょう?兄も最近はかなり忙しくしているようですし、何かの異変の気配を感じます!」


 これまで聞いた話的にルシエラの兄貴はこっちに異動になってはいないみたいだが、それでも何らかの形で捜査に関わっているとみた。


 正直不祥事ばかり私の耳に入ってくるから忙しいとか言われてもあんまり同情できないけど。


「異変ねぇ…まぁわたくし達が論じたところで答えはでないと思うわ。何か起きているにしろ起きていないにしろ」

「それもそうですね!」


 なんで渦中の人間である私が隠蔽に加担しなくちゃならないのかとは思いつつ誤魔化す。



「そういえばもう夕食の時間ですかね!」

「そうね、この辺りで切り上げましょうか。今日はありがとうね、ルシエラ」


 最後の方は雑談ばかりになってしまったが、それなりに助かった。補習がない教科は彼女らを頼るしかないし…。正直こんな直前じゃなくてもっと前から頼るべきだった気がする。


 とりあえず明日も頼んでみて、それで明後日に臨むかな…。

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