FAXの導入を希望するっす!
だらだらやってたら30話です。
「もしもーし女神様、資料の写メ届いたっすかー?」
考査の勉強を本格的に始める前に、例の事件資料を自称女神達と共有した。まだ中身をよく見てはいないが、その辺りは会議しながら確認しようと思っている。
しかしこの大量の紙を写メって送るのはかなり骨が折れた。ちゃんと印刷技術の発達した世界観なので資料自体は活字で読みやすくて良かったが、これでは情報共有だけで30分ぐらいかかる。FAXとか用意してくれないかな。
…無理か。でかいし。
ていうか全然出ないなあの人……
「もしもーし!?自称女神様ー!?」
「あっはい私です!届いてますよメール!!」
「それなら良いんすけど、電話繋がったのに全然出ないから心配したっすよ」
「すみません…ちょっと野暮用がありまして。悪いのですがシャルさんと中身を見ておいていただけますか?」
「野暮用ってなんすか」
「出張が決まったので新幹線の切符を予約しているんです。広島ー名古屋間の」
「出張!?天国の女神なのに!?」
天国の女神の仕事って魂を云々かんぬんする事とか言っていたが、下界の、それも大分ピンポイントな土地で仕事することとかあるのか?
あーでも、そもそも私のところに来ていたのも仕事だったか…
「ええ、混みそうなので指定席を取ろうと思ったのですが、少しばかりてこずっているんです」
あれ?ゴースト生活を送っていた頃私のところに遊びに来るときは、よくわからない光の輪みたいなのを使って直接天国から来ていたような。
なぜ今になって電車移動?実は旅行だったりしないだろうなそれ。
「ちなみにどこ行くんすか?」
「岡崎の方ですね。仕事の内容はちょっと極秘事項なので話せませんが…」
「それ三河安城で降りた方が早いっすよ」
「え本当ですか」
リサーチ甘いな自称女神…何の用事かわからないが、仕事に対してそんなんで良いのか?
「女神様、印刷が終わりましたのでそろそろ…」
「あ、シャルさんありがとうございますね。それではこの後はお二人でどうぞー」
───────────────────────
「…さて、ここにわたくしがさらわれた時の状況が記されているわけですか。なかなか分厚いですわね…」
「学園の守衛と、犯人を追跡した憲兵達の証言を元にまとめたものらしいっす。シャルロットさん視点の情報が無いのが痛いっすが」
「部屋にフードを深く被った何者かが入ってきたところまでは覚えているのですが、声をあげる間もなく気絶させられて目を覚ました頃にはこちらに居ましたわ。あまり役立ちそうにはありませんわね」
先生も私が記憶喪失なせいで(嘘だけど)証言を取れなかったことをぼやいていたが、これでは記憶喪失関係なく意味のある証言は取れなかっただろうな。不憫だなあの人。
「ひとまずここにある情報から、あの日何が起きたかを順序だてて挙げていくっすか…」




