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閑話:女神のガラケー

「事件捜査に勉強…忙しくってしゃあないっす…」

「私もです…こちらも重要案件ではありますが通常業務に穴を空けられないのでてんてこ舞いです。シャルさんが手伝ってくれてはいますが…」


 夜も更けてきた頃、私たちは通話しながら各々の作業を進めていた。お互い忙しい中の数少ない楽しみだ。


「お二人ともお疲れ様ですわ。女神様コーヒーのおかわりは要りますか?」

「ください…あと戸棚に瀬戸内レモンケーキ入ってるので一緒に食べましょう…」


 え、ずる。私は食べれないのに作業通話でそういう話しないで欲しい。っていうか戸棚?


「そこって私が住み着いてた高校の空き教室ですよね?まさか勝手に改造したりしてませんよね?」

「あー、実は調査も兼ねてこの教室を拠点にしてるんですよ。なので色々と家財道具を持ち込んじゃってますねぇ」

「何やってんすか!?」

「生徒には認識できないようにしてあるので安心して下さい。そもそも私たちは実体がありませんから」


 …ならいいか。


「ちなみに茶菓子の類いはどうやって調達してるんすか?」

「え、普通に買いに行ってますけど。市内の方まで」


 うっそぉ!?下界で普通に活動できるの!?


「蜂須賀さんに用意していた茶菓子とかカード類も、人間に化けて買ってきた物です。ビックリしましたか?」

「女神様そんなこと出来るんですのね…」

「蜂須賀さんが今使っているガラケーも、昔下界で使う用に買った物を女神パワーであなたとの連絡手段に出来るよう改造したものです」

「初めて知った…」


 急に嫉妬心が沸いてきた。いやまぁ嫉妬したとてどうしようもないことなんだけど。自称女神にだって下界を楽しむ権利ぐらいあるだろうし、そもそも私に嫉妬する権利があるのかもわからないし…


「懐かしいですねぇ。確か200…5年だったかな?に買ったんですよそれ。こうした形で今も活躍してくれて嬉しい限りです」

「このガラケー私と同い年だったんすね…」

「そうだったのですか?今が…2025年ということは、20歳なんですのね」

「そうっす。ちょうど愛・地○博が閉幕した日に生まれたんすよ」

「なんのことかはわかりませんが、変な例え方しますのね…」

「持ちネタっす」


 友達と誕生日の話題になったときによく使っていたものだ。大体愛・○球博が何かわからなくて場が静まりかえるんだよなぁ。モ○ゾーとキッコ○の話をすればわかってくれるんだけども。


 しかし最近は賑やかで退屈しない。幽霊やりながら自称女神とのんびり遊ぶ日々も楽しかったが、今の方が断然楽しい。あーでも、この生活を終わらせるために頑張らなきゃいけないのか。いろいろままならないな。



「ところでそっちちゃんと勉強進んでます?」

「あっ」

「そういう女神様も手が止まっていらっしゃいますが」

「バレましたか」


 

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