強きことニュータイプの如し
「弱いんですかあれ」
「そう不機嫌そうな顔すんな。お前のが弱いっつってる訳じゃないんだから聞け」
どういうことだろうか?魔力をそのまま弾幕にする魔法は弱いから廃れた。けど私のが弱い訳じゃない?
「というのもな、魔力玉ぶつけるのと相手を燃やしたり水責めしたりするの、どちらの方が殺傷能力が高いと思う?」
「それは当然後者…あっ」
「そういうことだ。打撲ぐらいはするだろうしそう何発も食らえばわからんが…ま、わざわざ使う理由はなかっただろうな…」
なんてこったい。そりゃ使われない筈だよ…。
「ちなみに今までのは特に授業では扱わん内容だ」
「じゃあなんだったんですのこの時間…」
一撃食らわせられれば良いというルール上模擬戦ではその欠点が目立たなかったわけで、あの首席男を倒せたのは本当に初見殺しってだけなのか…。良い閃きだと思ったんだけどなー。
「あんまり凹むな。ていうか言ったろ、お前のが弱い訳じゃないって」
「そういえばそんな話がありましたわね」
「つっても一撃で決着がついちまったから大まかなことしかわからん。だからあんま期待するなよ」
「………?」
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「まず俺が普段攻撃に使ってんのは雷だ。例えばこんな風にな」
そう言うと先生はその辺にあった紙屑に手をかざすと、小さな雷を落として紙を黒焦げにしてしまった。
「あらすごい!」
「ざっとこんなもんだ。で、今度はこれを遠くにぶつけてみる」
今度は教室の隅に的代わりの紙人形を置き、反対側から雷をぶつけて跡形もなく消し飛ばしてしまった。
「ちょっと威力出し過ぎたか…?まぁいい、こんな感じで、発動した魔法を遠くにぶつけるのは特に大変でもなんでもない…じゃあ今度は、今雷をぶつけた場所で魔法を発動してみる」
……………………?
「あの、なにも起きていませんが」
「だろうな。そうなんだよ、一度発動したものを遠くにやることは出来ても遠くで魔法を発動するってのは至難の技なんだ。…けど、お前ジャックの死角で魔力玉を作ってぶつけてたろ」
ああ、あったあった。確かあの時は初めて使った防御魔法が結構強力で不意でも打たなきゃ勝てそうにないと察したからあれを使ったんだったか。
「いっぺんそん時の要領でそこから的があった辺りに魔力玉作ってみろ」
「そりゃ」
言われるがまま試してみると、すぐに魔力玉を作れた。
あれ?模擬戦の時もそうだったがわりと簡単だ。
「出来ちゃいましたわ」
「そうなんだよなぁー…。言っておくが記憶喪失になる前のお前も出来なかった筈だ。何故かお前は離れた位置から魔法を発動させることが出来る。理由はわからんが、あの模擬戦の時みたいな攻撃が出来るんなら十分強いから安心しな」
そうか…私、強いのか。もしかしたらシャルロットさんよりも…?
「あ、ただそのせいで余計にジャックに目をつけられたりするかもな」
「ほへ?」
「あいつ第二王子の癖に魔法研究にのめり込んでる変人なんだよ。あんまり成績優秀なもんだから授業を免除されたりしてんだが、お前目当てでたまに飛び入りで参加してくる奇天烈な奴だ」
「だからあんな呆れたような反応されてたんですのね…」
まだ一瞬しか出番がなかったのにどんどんパーソナリティーが公開されていくな…
…………………第二王子!?
「あの人王族なんですの!?あんななのに!?」
「聞かれてないのをいいことに不敬を働くな」




