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初陣のマジカル☆ハチスカ

「はぁぁぁっ!」


 ジャックは私に向かって大きく踏み出すと、周囲に氷の槍を生成し放ってきた。


 着弾の直前に横に飛び込んで避けると、今度はジャック本人の拳が迫り来る。氷メインの魔法使いかと思ったら徒手空拳もいけるクチか…軽薄そうな見た目なのに。厄介だなこいつ。


 ルール上一撃でも貰うとアウトだ。機が来るまで逃げるしかない。


「いきなり殺意が高過ぎじゃないかしら?」

「気にするな!」

「良い笑顔で言うなっ!!」


 思わず素が出てしまった。弾幕となった氷の槍を避けつつ喋っていたが、このままじゃ防戦一方だ。ここいらで動かなければ…


「ハチスカ☆ハニカムディフェンス!」


 夜更かしして練習した防御壁で弾幕の一つを避けずに弾き、ついでに壁をそのままジャックに投げつける。


「!?危なっ!なんだいその技は!?」

「まだですわ!ハチスカ☆シューティング!」


 投げた防御壁を避けて体勢を崩したジャックの背後に弾幕を生成し、そのまま後頭部めがけてストレート!


「ぐはぁ!?」

「あ、当たった!」


 決着はなんとも呆気なく、私が最初の一撃を叩き込むことに成功した。おそらくこれで模擬戦の勝利条件が達成できた筈…!



「いやー見事だったよシャルロット。少し見ない間にそんな技を身に付けていたなんて。いつもの炎はどうしたのかな?」


 この反応はやっぱり私の勝ちで良いのか。


「天啓を受けましたので。宗旨替えしましたわ」


 別に嘘は言っていない。変わったのは中身だというのは置いておいて。




「おーいお前ら、見てたが確かに良い試合だったよ。」

「あらセビーチェン先生」

「だがな…」



「俺はまだ()()()()()()()すらしてねぇぞ!何勝手におっぱじめてんだ!?」

「!?」

「あ、そういえばそうだった」

「なんですって!?」


 おいジャック!?なんでそういう大事なことを忘れてんの!?やっぱりノリで始めちゃダメな奴じゃん!


「シャルロットは…まぁ良いとして、ジャック!お前いっちょまえに首席のくせして好き勝手しやがって!事故でも起きたらどうする!」

「ここでそういった事態を引き起こさないのが僕ですよ先生」

「開き直るな!」


 あ、この人首席なんだ…いやまぁ、王族についでトップクラスの実力らしいシャルロットさんをライバル視しているんだから納得ではあるけど…


「…まぁ良い。この試合はちゃんとシャルロットの勝ちとして処理するが…あとはもう他の生徒の試合観戦してろ。二人ともお咎め無しにしてやるから大人しくしててくれ」

「…はい」

■ハチスカ☆ハニカムディフェンス

正六角形の防御壁を複数作り攻撃から身を守る。防いだ後は敵にぶつけて攻撃に転用可能。端から見るとシェ○ビットバー○トっぽい。

■ハチスカ☆シューティング

ソフトボール大の魔力玉を相手にぶつける。相手の死角に生成することが可能なのでめちゃくちゃ厄介。急速は時速95km。

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