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魔法幽霊マジカル☆ハチスカ

「…なるほど、実技の授業が近いと」

「申し訳ございませんねハチスカさん。実技はたまにしかないのでこんな早くに授業があるとは思わず…」

「まぁ後2日あるんすから。それにこの世界のことを聞いた時から魔法使ってみたいと思ってたっすし」

「霧島○乃みたいですねぇ」

「一体何を言ってんすか?」


 そんなわけで、明後日の授業に向けシャルロットさんから魔法を教わることになった。幽霊が魔法使いにクラスチェンジとはなかなか心躍るイベントである。


「そうですわね…ハチスカさんは魔法に触れること自体初めてでしょう?まず自身の魔力を感じ取ることから始めましょうか」

「んー…どうすりゃいいんすかね」

「周囲から取り込んだ魔力が体内に蓄えられている筈ですわ。こう…心臓の辺りに気を溜めるような感じでやってみてください」


 心臓に気を溜める…思えば自分の肉体を意識すること自体久しぶりだ。


「……………!なんか胸がドクドク言ってるっす!!」

「それ単に心臓の鼓動では…?」

「素で言ってるなら結構笑えない台詞ですよそれ」


 2人から引かれてしまった。いかんせんゴースト生活が3年間も続いたので身体の感覚自体が久々なのだ。魔力の感覚と区別がつくかどうかも怪しい。


「ん、あー………なんかもやもやしたものが巡ってる感覚はするっすね」

「では今度は手先に意識を向けて、その感覚を外に放出してみてください」

「手先に意識を…あ!なんか抜けてくっす!」

「次はそれを一点に集中させてください!」

「うおっ、なんか白い玉みたいなのが浮いてるっす!」


 ひとまず魔力を出すのを止め、謎の白い玉に目を向ける。大きさと固さはソフトボールくらいかな?触った感じは…ツルツルだ。


「魔法学の初歩、魔力の放出と圧縮は問題なさそうですわね。想像以上に飲み込みが早くて助かりますわ。とりあえず集中を解いてみてください」

「あ、消えた」

「おめでとうございます蜂須賀さん!これであなたも立派な魔法使いですよ!まぁそのくらい私にもできますが」

「女神のくせになーに張り合ってんすか…」


 まぁあれでも天国の女神らしいから出来るのは嘘じゃないんだろうけども。


「そういえば実技の内容は模擬戦なんすよね、魔法でどう戦うんすか?」

「放出した魔力を炎に変えてみたり水に変えてみたりですとか、圧縮した魔力を武器や身体に纏わせて近接格闘を行ったりが主流ですわね」

「どうやれば出来るっすか?」

「出した魔力に強く意識を向けて起こしたい事象を念じるんです。もっとも、相性があるのか人によって扱える魔法が違ってくるのですわ。ただ皆共通して圧縮した魔力を用いた防御壁を使ってきます」

「全員がひかりのかべ標準装備ですか。厄介ですねぇ」

「多分女神様が言ってるの違う奴っすよ」

「魔法学の実技は魔力の制御と護身術を学ぶことが目的ですので、防御魔法は必修なのですわ。模擬戦も、いざ敵と向かい合ったとき適切に防御できるかを見る物です。油断さえしなければ怪我の心配はありません」

「油断はしないと思うっすけど…無から水だ炎だが出てくるんじゃ現代日本人の私じゃビビってしまいそうっす」


 発達した科学は魔法と見分けがつかないとはよく言うけども、さすがに実際の魔法を目の前にしたら腰抜かしそうだ。しかもまだぺーぺーなのに模擬戦て。


「さっきの感覚で行けば防御壁を出すのは問題なさそうっすけど…攻撃に転じるのがなかなか厳しそうっす」


 さっきの白玉を大量に作ってみながら呟く。


「普段のわたくしは炎を生み出して戦っていたのですが…」

「シャルさんのことです。どうせ成績優秀だったんでしょう?」

「自慢になってしまいますが、王族に次いでトップクラスでしたわ」


 やっぱり。シャルロットさんの顔に泥を塗らないというハードルが高すぎる。学生寮の部屋の中で炎を出す練習をするわけにもいかないし…何か良い攻撃手段が……




「あっ」

「どうなさいましたか?」

「いやこの白玉…このままで何かに使える気がして…」

「………?」

 

 

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