005話
《挿絵に関するご案内》
本作に使用されている挿絵は、AI画像生成サイトを利用し、作者自身がプロンプト入力などを行って描かせたものです。なお、使用している画像生成モデルには「LoRA(Low-Rank Adaptation)」と呼ばれる学習済み追加データを複数用いており、これはAIに特定のスタイルやキャラクター傾向を覚えさせるための仕組みです。
ただし、本作の挿絵は、作品専用に作成したLoRAを用いているわけではなく、作者が個人の趣味で制作した複数のLoRAをミックス・調整して得られた画像となっております。このため、同じキャラクターや対象であっても、今後挿絵のデザインや品質にばらつきが生じる可能性があります。
これらの挿絵は、あくまで作品世界のイメージ補助を目的としたものであり、専門的な技術によるものではなく、作者による素人技術の範囲で生成されたものであることをご理解いただけますと幸いです。
「バン! 神は死んだ!」
『ぱたり』
指鉄砲で撃つマネをすると、神を名乗る存在はタイミングを合わせて「ぱたり」と自ら擬音を発しながら倒れた――もっとも、まだ地面など存在していないのだが。
事の発端は、神を名乗る存在からの提案だった。
『肉体のない状態での会話は不便かと思いまして……実際の肉体ではないのですが、互いに肉体があるように見える状態へパラメータを変更できます。生前と近い感覚でコミュニケーションできたほうが、受け入れやすいのではと思いまして』
というわけで、了承した結果がこれである。仮初の肉体をざっと確認したあと、悪ノリで上記の寒い寸劇を押しつけてしまった。
とはいえ、もしこの存在の言っていることが事実だとするなら、確かに生前とほとんど違和感のない状態で動けている。
“ほとんど”としたのは、疲労も空腹も感じず、しかもこちらの外見がまだ確認できていないからだ。
さらに言えば、たしかに互いに“肉体がある”ように感じるが、空間そのものが存在していない。
裸ではない。そこは配慮してくれたのか、生前(仮)に着ていたくたびれたジャージ姿になっていた。
だが、さすがにそれはどうかと思い、
「いや……せめて出社時の格好にしてくれ」
とリクエストして変更してもらった。
ちなみに、神を名乗る存在の外見だが――
もじゃもじゃの癖毛で、ヘアスタイルにはまったく気を使っていない。
瞳は薄茶色で、どこか眠そうなまなざし。
髭はそれほど濃くないが手入れもされておらず、顎にはまばらに2センチほど伸びた剃り残しのようなものが点在している。
頬が少しこけた痩せ型の顔に、気弱そうな作り笑いを浮かべている。
トーガのような衣装を着てはいるが、皺や着崩れなど、あちこちに突っ込みどころが満載だ。
――うん、残念な見た目だ。
「できれば、場所も出してほしいんだけど?」
そう言うと、神を名乗る存在は少し考えたあと、何かを操作したらしい。
『確かに、この“虚無空間”みたいな何もない場所では、上下も方位の感覚もなくて不安になりますよね。……あれ? でも貴方、最初から空間失調も原点喪失の不安もまったく感じていませんよね。偶然、ですかね?』
その言葉と同時に、周囲が真っ白に染まり、白・黒・灰色の三色で構成された、いかにも「神の空間」といった景色が出現した。
簡素なテーブルとイス、適当に配置されたとしか思えない樹木と謎の石柱。それらもまた、白・黒・灰の三色で彩られている。
『とりあえず、座ってお話しませんか? 僕は、貴方にお願いしたいことがあるんです』
――はぁ。
なんというか……ますます胡散臭さが増してきた気がする。