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人の書〜エルドラド建国記〜  作者: 水井竜也(仮)
第8章・女騎士アルテミスと統合世界の公爵様

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『統合世界』第3話・なぜにラテン語!?

 私は、葛葉様とルシファーを執務室に呼び出した。


「主殿、わざわざの呼び出し、いかがなされたのですか?葛葉が力になれることならば、何なりとお申し付けください」


「我が主、サティーナよ!我に手伝いできることがあれば、なんなりと!」


 葛葉様とルシファーは、私の前に立ち、私の言葉を待っている。


 まず私は、葛葉様に話しかける。


「葛葉様、この『クロノシア公爵領』は、陰陽道や風水の要素を取り入れてます。東西南北に『四聖獣』を祀り、守護神としました」


 葛葉様は、満足そうに頷く。合格ということだろうか?


「次に『鬼門』を守護するために『神社』を建立予定です。あと必要な要素として『裏鬼門』にあたる南西部に『教会』を建てるのはいかがでしょうか?私の陰陽道の師匠として、ご教示ください」


 陰陽道や風水の基本は、厄を払い、運を呼び込むこと。


 その上で、不吉とされる『鬼門』と『裏鬼門』を、どのように守るのかが重要となる。


「主殿、陰陽道の知識を、ここまで深く理解されていること、誠に感服いたしました。『四聖獣』を祀り、東西南北を守護させるとは、非常に理にかなっております。そして『鬼門』と『裏鬼門』の守護もまた重要な要素でござります」


 葛葉様は、幼い見た目に似合わない知識を披露する……齢1000歳以上の妖狐だけど。


「南西部、すなわち『裏鬼門』に『教会』を設立する案は、大いに意義があると存じます。陰陽道では、裏鬼門は隠れた悪しき気が入り込む可能性があるため、強力な結界や聖なる場所で守護することが肝要です。『教会』を立てることで、この地に清らかな力が満ち、さらに安定をもたらすでしょう」


 陰陽道の流儀に『教会』を使う。


 葛葉様は、それを咎めることなく、柔軟に意見を受け入れてくれる。


 私は、さらなる提案をする。


「それで『教会』に祀り『裏鬼門』を守護する者として、ここにいるルシファーが適任だと思いました。ルシファーは一度『堕天』して、改心して天使に復帰しました。陰陽道でいうところの『陽の力』と『陰の力』を持つ天使と言えるのではないでしょうか?」


 葛葉様は、しばらく思案した後に、興奮気味に告げる。


「なるほど、主殿。ルシファー殿の力が陰陽道における『陰陽』の概念と一致するとは、実に見事なお考えです。確かに『堕天』からの復帰という過程において、彼女は『陰』と『陽』、両方の側面を経験されております。それにより『裏鬼門』を守護するにふさわしい存在……葛葉も、その考えに賛同いたしまする!」


 私達のやり取りを聞いていたルシファーが、口を開く。


「我が主サティーナ、そして葛葉よ。我の『堕天』の経験が、この地の守護に役立つのであれば、喜んで引き受けよう!『陽』と『陰』……その両方を内包する力を持つ者として『教会』を設立し、『クロノシア公爵領』を守り抜くことを、ここに誓おう!」


 ルシファーは、力強く宣言する。


「ありがとう、ルシファー!だけれど、あなたはまだまだ『陰』の力を引き出しきれてないわ。葛葉様と『教会』設立の作業を進めながら、陰陽道の概念を学んでほしいのよ!」


 私は再度、葛葉様にお願いする。


「葛葉様、どうかルシファーを導き、『陽』と『陰』の力を持つ天使として鍛えてください」


 葛葉様は頷き、得意気に宣言する。かわいい。


「かしこまりました、主殿。ルシファー殿の『陰』の力をさらに引き出し、陰陽のバランスを保てるよう、葛葉がしっかりと導いてまいりまする。ルシファー殿、これから一緒に学び、鍛錬を積んでまいりましょうぞ!」


 葛葉様に語り掛けられて、ルシファーが応える。


「我は、陰陽道を学び、『陰』の力をさらに磨き上げるため、全力を尽くそう!この地を守る存在として、我自身も成長する必要がある。葛葉……いや『師匠』、よろしく頼む!」


 ルシファーは葛葉様を『師匠』と認め、礼をする。


 普段は見られないルシファーの真摯な態度に、私は好感を覚えるのだった。




「ただ『教会』を設立する際には、土地の気の流れや環境との調和を大切にする必要がありまする。『鬼門』に建立する予定の『神社』ともども、葛葉が監修し、最善の配置と設計を導き出しましょう!」


 陰陽道の第一人者である、葛葉様なら安心だろう。


「ありがとうございます、葛葉様!どうか、『クロノシア公爵領』のために、よろしくお願いします」


 私は、葛葉様の申し出に感謝する。


 ここで『教会』の名前のことに思い至る。


「そうだわ!ルシファー、あなたを祀る予定の『教会』よね。あなたを象徴とする名前を付けてほしいわ!お願いできるかしら?」


 ルシファーは少し思案した後、胸を張って答える。



「我が主サティーナよ!


 我を祀る『教会』に名を授ける機会を賜るとは光栄である。では……



 『ル ク ス・ノ ク テ ィ ス 教 会』



 と、名付けるのは、どうだろうか?


 この名はラテン語で『夜の光』を意味し、我が持つ『陽』と『陰』の力を象徴している!」



 なぜに、ラテン語!?!?!?


 ……ま、まぁ、ルシファーのこだわりかも知れない。


「素晴らしいわ!ルシファー!『ルクス・ノクティス教会』ね!……あなたは『堕天』を経験しました。それは辛い経験だったと思う。それでも、あなたは乗り越え、天使として復帰したわ!どうか、我が領にいる『夜の闇に囚われてる人々』にとっての『光』となってちょうだい。領民の『心』の平穏をあなたに託すわ!」


 ルシファーは感極まった様子で、決意を新たにする。


「おお、サティーナよ!そのような言葉を頂けるとは光栄だ。我の『堕天』の経験が、誰かの助けとなるのならば、過去の試練も意味を持つことだろう。『ルクス・ノクティス教会』を通じて、『闇に囚われた者』に『光』をもたらし、彼らの『心』に安らぎを与えることを約束しよう!」


 ルシファーが、そう宣言し、葛葉様も頷く。


 妖狐と天使。奇妙で、頼りがいがある『師弟』が誕生した瞬間だった。


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