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人の書〜エルドラド建国記〜  作者: 水井竜也(仮)
第7章・女勇者アルテミスと鉄壁魔都の魔王様

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『鉄壁魔都』第10話・魔王の正体

 大きな音と共に『魔王』の兜が割れ、装甲で覆われた顔が露わになりました。


「……お前は、だれだ!?」


 スカジは驚きと共に『魔王』につぶやきます。


「オレ達が……前回の『勇者パーティー』が倒した『魔王』は、髭面のおっさんだった!お前とは、違う!!」


 『魔王』は女性であり、その顔を見た瞬間、私は激しい頭痛に襲われます!


「『勇者』スカジよ!私は、サティーナ。この『荒れ果てた領地』と呼ばれていた『クロノシア侯爵領』に住む者。騙すようなマネをして、ごめんなさい」


 葛葉様、ペルセポネ、ルシファーは「クロノシア侯爵領?」と首を捻っている。皆は『魔王』を知っている?


「……アルテミス、今は混乱してるかも知れないけど、この『クロノシア侯爵領』は、クーデターに敗れた世界線の私とあなたが『荒れ果てた領地』を発展させた姿なの。あなたは『クロノシア侯爵領』の領主であり、アルテミス・クロノシア侯爵その人よ!」


「……私、が……侯爵さま……?」


 頭痛のために、うまく考えがまとまりません。


「つまり『女王様』として、葛葉達と過ごした世界線……平行世界の他に、アルテミス殿が治める『クロノシア侯爵領』の平行世界があった。そして『魔王』……主殿は、双方の記憶を有しているということでござりますか?」


 葛葉様が話をまとめくてれましたが、私は混乱するばかりです。


「……つまり『魔王』、お前は何が言いたいんだ!?」


 スカジが叫び、それにニョルズが答えます。


「スカジさん、ボク達は……今回『勇者召喚』された者は、『魔王様』の仲間です!ならば、争う必要はなかったのです!」


 『魔王』はニョルズに引き継ぎ、説明を続けます。


「六大種族の『勇者召喚』に対して、この世界自体が『魔都召喚』と呼べる儀式を行っているようだわ。私と『クロノシア侯爵領』が『魔都』……つまり『魔族の都』として、私の仲間達が『勇者』として『召喚』されてしまったのよ」


 『魔王』の説明に、スカジは納得できない様子です。


「そんな……『魔族の都』や『魔王』は頻繁に『蘇って』いるのではなかった?オレ達『勇者』と同じように、異世界から『召喚』されていた!?」


 スカジは頭を振り、バトルアックスに施された『ドワーフ族の宝珠』を見ます。


「いいや!それでも、お前が、この世界に害を成す存在なのかも知れない!『魔族』や『魔王』は残虐な性格であることは、この世界の常識だ!!」


 確かに、過去の『魔族』による被害は、各種族によって語り継がれています。私の『正義』の心が燻っているのを感じます。


「『勇者』スカジ、どうか冷静に。私は自身の権能……『運命改変』や『仲間との絆』を駆使して、『魔族』化した『クロノシア侯爵領』の領民達を統制している。現状、彼らの『破壊』の『欲求』を、私の権能で抑え込めていると言えるわね」


 はたして、そうでしょうか?『魔族』より強い『上位魔族』がいたような気がします。


 それらが『集結』する時を待っているのかも知れません。


「さらに『ソロモンの72柱の悪魔』を『召喚』して、万一に備えているわ。私の領民達が、この世界の人々に危害を加えることは『無い』と言い切れるわ!」


 やはりそうだ!『魔王』は全ての軍団を『招集』し、一気に『世界征服』するつもりです!


 ……私の『正義』の心が、そう告げています!!


「……嘘だな!オレの『復讐』の感情が、そう告げている!!」


 スカジが、叫びます!


「ええ!私の『正義』の心も、そう告げています!!」


 私は、スカジの隣に並び立ちます!


 『魔王』の企みがわかった今、我々は力を合わs……



「 こ の 、 わ か ら ず や !! 」



 普段は大人しいニョルズが叫びます。


「スカジさんも、アルテミスさんも!『魔王様』……サティ様が、丁寧に説明してるのがわからないの!?あなた達と戦いたくないからって、領民の皆さんの無事を考えてるからだって、どうしてわからないの!?」


 『魔王』が、困ったように話しかけます。


「ニョルズ、彼女らは『欲求』が働いていt……


「『欲求』が、何ですか!!」


 さらに『魔王』に食ってかかる始末。


「この、わからずや達は、ボクが相手をします!『勇者』の名に賭けて、無辜の民を害する者を成敗します!」


 子どもとは思えない覇気をみせるニョルズ。


 その時、『魔王』の周りで回っていた赤い光の玉が、ニョルズに近付いて実体化します!


『ほっほっほっ……「勇者」ニョルズよ!お初にお目にかかる、儂は「朱雀」じゃ!お主の心意気に感心した。どうか、儂にも手伝わせてほしいのじゃ!』


 それは『南の四天王』。燃え盛る身体と翼を持つ、クイズ大好きお爺さん!


「ありがとう『朱雀』様!」







「結局、オレの相手は、脚が綺麗な子どもと暑苦しい年寄り鳥か?……何故か、スカート丈が短い侍女服を着ているのも気に入らない」


 スカジさんは視線をボクの脚に向けると、吐き捨てるように言う。


 確かにボク、ニョルズは頼りないかも知れないが、『朱雀』様までバカにするのは、どうかと思う。


「あちらはサティ様とアルテミスさんの、主従の絆が試されています。あなたを足止めするくらいのことは、やってみせますよ!」


「……オレも安く見られたものだな」


 そう言って、スカジさんは『雪上移動』の権能を使おうとする。


 しかし所々、氷雪が溶けてしまっている。


「ペルセポネ!凍結の魔法を頼む!」


 呼び掛けられた、ペルセポネさんを始めとした面々は……


「申し訳ないですわ。さっき魔力を使い果たして……」


「葛葉も、腰を打ってしまって……」


「我は元々、属性魔法は苦手で……」


「わ、妾も、空気を読んで使えなくなってな……」


 なんだかんだ、理由を付けて断っているような?


「くっ、仕方ない!ならば見様見真似で、凍結魔法を再現するしかない!」


 そう言ってスカジさんは、足元だけに魔力を集中して『雪上移動』を開始する!


「『朱雀』様!」


『おう!』


 しかし、()()()()()()()()()()!!


「ボクの権能は『夏の海や豊穣』を司る!氷雪よ、滅せよ!冬を堪え忍んだ者に『夏』の恵みを!!」


『儂は「朱雀」!南方の守護者にして「夏」を体現する者なり!!』


 辺りの氷雪は溶け出し、スカジさんの『雪上移動』も困難になる。


 そう。ボク達は『夏』の力をもって、スカジさんを止めようとしている!


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