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人の書〜エルドラド建国記〜  作者: 水井竜也(仮)
第7章・女勇者アルテミスと鉄壁魔都の魔王様

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『鉄壁魔都』第9話・スカジの権能

 『魔王の城』にて、『魔王』との決戦が繰り広げられています。


 私達『勇者パーティー』は、渾身の攻撃を繰り出しました。


 しかし、物理攻撃は『魔王』の鎧が、属性攻撃は『四天王』の球体が防いでしまう。


「『勇者』諸君よ!この『魔王』に勝てるかな!?」




 体勢を立て直した私達に、スカジが告げます。


「ペルセポネ、周囲に氷雪を撒いてくれ!みんなは援護を!一か八か、オレの権能に賭けてみる!」


 『北の四天王』と戦った時に、スカジが思い出した権能。それを、この場で再現しようと言うのです。


 ペルセポネは氷結の魔法を唱えるために、魔力を練り上げます。


 私は剣から月光の弓に持ち替え、他のみんなも援護の体勢を取ります。


「なるほど。我に敵わないとみて、隊列を変えるか。それもまた良し!」


「『魔王様』、お気を付けください。近接武器がスカジさんのバトルアックスだけなんて、異常です!」


 『魔王』とニョルズも何事かと、興味深げです。


「さあ、スカジ!この『魔王の城』を覆う、氷の結界を作りましょう。『春の女神』が去りしとき、大地は氷雪に覆われる!!」


 それは『春の女神』の『再解釈』!!


 女神『ペルセポネ』が、地上に訪れている間は冬の寒さが遠退くように、冥界に帰るときには冬が訪れる。


 ペルセポネは、この伝承を氷結魔法に落とし込み、威力を底上げしているのだ!!


「ありがたい!ペルセポネ!!」


 ペルセポネの宣言通り、玉座は氷結し、『魔王の城』を氷漬けにしていきます。


「オレの権能は、女神『スカジ』!雪の上を自在に進み、氷の上で優雅に踊る女神!!」


 スカジが、権能の覇気をまといます!


 そう。女神『スカジ』とは『雪山の女神』!


 雪や氷の上を自在に渡る女神であり、人間にスキーやスケートを教えたとされています。


「いくぞ!『魔王』!!」


 スカジの巨体が、滑るように床を駆けていきます!


「くっ!なるほど『スカジ』の権能には、そのような効果もあるのだな!?」


 スピードに乗った、バトルアックスが『魔王』に襲い掛かります!


「こいつで、どうだ!?」


 スカジのバトルアックスが、『魔王』の玉座を真っ二つに切り裂きます!


 ……しかし、『魔王』が見当たりません!!


「……危なかった。ニョルズも居たから、『禁じ手』……『時間停止』を使ってしまった!」


「『魔王様』、死ぬかと思いました!!」


 なんと、我々の後ろ。この部屋の入り口付近に移動しているではありませんか!!


 そして『時間停止』?……うっ、頭が!?


「アルテミス殿!『魔王』の『時間停止』ならば、魔法や遠距離攻撃を密にすることにより、防げまする!スカジ殿を援護するために、我々の力を結集しましょうぞ!」


「わかりました。葛葉様!……我が守護神『アルテミス』よ!我が友の行く末を、月光で照らしたまえ!」


 続いて、ペルセポネが。


「スカジ!氷の道は、維持しますわ!あなたは前を向いて、『魔王』に集中するのですわ!」


 ルシファーが、光と闇の魔力を矢のように放つ。


「『魔王』の力は並大抵ではない。しかし、見たところ『属性魔法』しか防げない様子!我の力ならば、無効化するのも難しいと見える!」


 玉藻様が、葛葉様に語り掛ける。


「葛葉よ!妾達の力を皆に見せようぞ!狐火の幻覚で、スカジを援護するのだ!」


「わかり申した、玉藻の!主殿、申し訳ないが今回は出し惜しみなしでござりまする!!」


 周囲に無数の狐火が舞い、それぞれがスカジの幻覚を映す!




 『勇者』達の連携攻撃が、再び『魔王』に向かう。


「よし、これで『時間停止』は、できまい!皆、オレが『魔王』に近づく隙を作ってくれ!いま一度、力を合わせるんだ!」


 遠距離攻撃と魔法が交錯し、『魔王』に『時間停止』の権能を使わせない!


 スカジは、雪上での機動力を活かしながら、反撃の機会を狙う!


「スカジの強みを、前面に押し出すスタイル。こちらは防戦一方で、手が出せない。本来、俊敏な戦士に有効な魔法のバラ撒きも、スカジの防御力の前では意味もない」


 『魔王』は、私達の連携に舌を巻いているようでした。


 しかし、一瞬の思案の後『魔王』は動き出しました!


「ならば!これはどうかな!?」


 なんと!先ほど否定したはずの『魔法のバラ撒き』を始めたのです!


 その威力は凄まじく『権能で強化された魔法』かも知れません!


 私の月光の矢や、狐火の幻覚、ルシファーの光と闇の矢は、バラ撒かれた魔法で相殺されてしまいます。


 しかし……


「この程度の魔法など、オレには通じないぞ!」


 スカジの防御力は『魔王』の魔法を、ものともしません!!


 『魔王』は、苦し紛れの『魔法のバラ撒き』を行った……誰もが、そう考えた、その時!!


 ガクンッ!!


 スカジが足を取られ、転びそうになります!


「……まさか!『魔王』、これがお前の狙いか!?」


 スカジは何かに気付き、『魔王』も笑って答えます。


「……ふふふ。そうだ!あなたに『魔法』が、効かないのは百も承知!ならば、()()()()()()()()()を攻撃したまでよ!」


 先ほどまで氷雪で覆われていた床は、炎魔法で溶けかかり、爆発魔法や土魔法でデコボコに穴が空いています!


「スカジ!今、氷を張り直すわ!」


 ペルセポネが魔力を集中しますが、デタラメに撃つだけの『魔王』に早さで勝てません。


「どうだ!『勇者』諸君よ、スカジよ!我に降伏する気になったか?」


 『魔王』は、余裕を見せています。


 しかしスカジの目は、まだ死んでいません!


「……『魔王』よ。オレは、まだ諦めない!オレをこの場に導いてくれた、全ての者の期待を背負っている!それが『勇者』なんだ!!」


 スカジは助走を付けたあと、おもむろに飛び上がりました。


 そして、なんと『壁』に着地して、そのまま滑り出します!


「くっ!そんな、曲芸みたいなことを!!」


 『魔王』の『魔法のバラ撒き』が迫りますが、スカジは『壁』から『天井』、そしてまた『床』を滑りながら『魔王』に迫ります!


 そして『天井』を蹴り、その勢いでバトルアックスを振り回します!


「『魔王』!これが、オレと仲間達の究極の一撃だ!!」


 私達も『魔王』の『時間停止』を警戒して!援護の遠距離攻撃や魔法を放ちます。



「くっ!魔界の王『サタン』よ、我が盟約に応えよ!


 我は欲する!圧倒的暴力に逆らう力を!


 盟約に従い、我の肉体を強化せよ!!」



 切羽つまった『魔王』は、権能による『自己強化』を行う。


『権能を持つ者』すなわち『人間』ならば、出力不足となりやすい『自己強化』ですが、それが『根源』ならば……


 『魔王』の肉体は盛り上がり、『大鎌』を構えてスカジを迎え撃とうとしています!


「『魔 王 ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ っ !!』」


「 ス カ ジ ぃ ぃ ぃ ぃ っ !! 」


 スカジのバトルアックスと『魔王』の『大鎌』がぶつかる!!


 その圧力に『魔王の城』が崩れ始め、土埃が舞う!




 土埃が収まり、スカジが倒れているのが見えます。


「スカジ!大丈夫ですか!?」


 私達は、スカジに駆け寄ります。


「……あぁ、オレはなんとか……『魔王』は!?」


 土埃が完全に晴れた、次の瞬間!!


「……ふふふ、見せてもらったぞ!『勇者』スカジの魂の一撃!!」


 『魔王』は、まだ、その場に立っていました!


「くっ、オレの一撃は、お前には届かなかったのか!?」


 悔しそうに、吐き捨てるスカジ。


 私達は、『魔王』の攻撃に身構えます!


「……いや、そうでもないぞ?」


 バキンッ!!


 大きな音と共に『魔王』の兜が割れ、装甲で覆われた顔が露わになりました。


 その顔を見た瞬間、私は激しい頭痛に襲われます!


 そして、スカジは驚きと共に『魔王』につぶやきます。



「……お前は、だれだ!?」


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