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人の書〜エルドラド建国記〜  作者: 水井竜也(仮)
第7章・女勇者アルテミスと鉄壁魔都の魔王様
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『鉄壁魔都』第8話・最後の勇者

 最後の『勇者』ニョルズは、高らかに宣言します。


「『勇者』ニョルズとして『魔王様』に、()()()()()()()()()()()()!……むしろ『魔族』の平穏を脅かす、『勇者パーティー』にこそ、()()()()()()()()()()!」


 そして、満面の笑みで『魔王』に告げます。


「それに、ボクに『このゲームを特等席で見せてやろう』と言ったのは、『魔王様』ですからね!」




 私は、ニョルズの敵対に驚きます。


 スカジが、ニョルズに向かって叫びます!


「ニョルズよ!確かに、今のところ『魔族』による被害は無い。しかし『勇者』ならば、オレ達と共に『魔王討伐』をすべきだ!『()()()』の悲劇を繰り返さぬために。そして、『()()()』そいつに仲間達の『()()』を果たすために!!」


 スカジの魂の説得に、ニョルズは涼しい顔をしています。


「……なるほど。これが『魔王様』の言う『特等席』なのですね?……スカジさん、あなたの『過去』は十分に同情できますし、あなたの『心』はケアされるべきです。しかし、()()()()()()()()()()『魔族』や『魔王様』を罰するのは、『勇者』として見過ごせません!!」


 ニョルズは、スカジに向かって力強く諭します。


「……何も、罪を……犯して、いない?……うっ、頭が!?」


 スカジは、頭を押さえながら苦しみます!


「……いや、そうじゃない!……オレの、オレの『復讐』の感情が、そう告げている!『魔族』を、『魔王』を野放しにすることは、世界の破滅を意味する。『勇者』として見過ごすことはできない!」


 私は、スカジの隣に並び立ちます。


「その意気です、スカジ!私の『正義』の心も、そう告げています。今こそ『魔王討伐』を成す時です!」


 他の『勇者』達も、名乗りを上げます。


 まずは玉藻様が、


「くっくっくっ、『魔王』よ。妾は、ワービースト族の『勇者』として、お前を打倒するためにここに来た。お前の力がどれほどのものか、確かめてやろう。だが、お前が負ければ、すべてを奪いつくしてやる。楽しみだな、『魔王』!」


 次にルシファーが、


「やはり、あなたが『魔王』だったのだな!けれど、我の『信仰』は揺るがない。あなたを信じ、救うために、今は敵として戦わせていただこう!」


 そしてペルセポネが、


「あらあら。あなたが『魔王』なのは、予想していたわ。だけど葛葉様、やはりアルテミスとスカジの様子がおかしいですわ。わたくし達は、どうすべきかしら?」


 最後に葛葉様が、


「ご安心めされよ、ペルセポネ殿。まずは、自然に振る舞うことが肝要。時がきたら主殿と呼応し、アルテミス殿とスカジ殿を救い出しましょうぞ!」


 私達『勇者パーティー』は、『魔王』の前に立ちはだかります!







 『勇者パーティー』が名乗りを上げる中、『魔王様』はボクにだけ聞こえる声で囁く。


「……巻き込んでしまってごめんなさい、ニョルズ」


 ボクは頭を振り、自分の意志を示す。


「いいえ。『魔王様』に付いたのは、ボクの意志です……しかし強敵ですね」


 『魔王様』は……兜の装甲で表情は見えませんでしたが……ボクの目を真っすぐに見て告げる。


「ニョルズ、『目的』を見失ってはダメよ。我々は、『魔族』も、『勇者パーティー』も、スカジさえも、みんな『仲間』なのよ!……私は、この世界からの『脱出』を考えているの。そのためには『勇者パーティー』との『和解』が必須よ!」


 ボクは思わず、声を荒げてしまう。


「しかし!スカジさんは兎も角、あろうことかアルテミスさんにも話が通じない様子です。『魔王様』の御心が理解できない……まさに、取り付く島もない状態です!」


 そんなボクに『魔王様』が、穏やかな声で諭す。


「よく聞いてちょうだい、ニョルズ。あの二人は、この世界の『呪縛』に囚われているの。そんな彼女らの『心』を動かすのは『正論』ではないわ!そんなことをしたら、彼女らの『心』は強張って、意固地になってしまう……『心』を包み込むような『言葉』が必要なのよ!」


 ああ、だからボクの時も……


「かしこまりました、『魔王様』!『心』に語り掛ける『言葉』……難しいですが、やってみます!」


 兜の奥で『魔王様』が微笑んでいるように感じた。







 『魔王』と対峙する、私達『勇者パーティー』。


 『魔王』の周りに四つの光の玉が集まります。あれは、敗れた『四天王』の思念でしょうか?


「我の権能は『絆』の力!さあ『四聖獣』達よ、我に力を貸すのだ!」


 『四聖獣』と呼ばれた『四天王』達は、純粋な属性の魔力となって『魔王』の周りを回り始める。


「さあ、勇者たちよ戦いを始めよう!あなた達を叩きのめし、我に屈服させるのだ!……安心せよ。我の『庇護』下の者は、大切に扱うことを約束しよう!」


 『魔王』は、我ら『勇者』を前にしても余裕を見せます。


「みんな、行くぞ!この世界に平和をもたらすために、『魔王』の野望を止めるのだ!」


 スカジが叫び、みんなを激励します!


 そのまま、バトルアックスを担ぎいで『魔王』との距離を詰めます。


 『魔王』がスカジに気を取られた、一瞬!


 ガキン!


 玉藻様が、権能と『種族補正』の素早さで『魔王』の背後から攻撃しました。


「くっ、なんたる硬さの鎧か!妾の爪を弾くとは」


 残念ながら『魔王』の鎧に阻まれて強襲は失敗に終わりました。


「危ない、危ない。『忍者』ならば『即死』効果も付与されていたはず。しかし『運命』を司る権能の前には『幸運値』など意味がないようだな!」


 『魔王』は、禍々しい『大鎌』を召喚し、玉藻様に斬りかかります!


 玉藻様は間一髪で飛び退き、代わりにスカジが『魔王』に襲い掛かります!


「『魔王』よ!オレの一撃に耐えられるかな!?」


 渾身のバトルアックスが振り下ろされる!


「くっ!!」


 『魔王』は苦悶の声を上げるも、『大鎌』により受け止めてしまう!


「さすが『勇者』スカジ。権能と『種族補正』を使いこなしている……しかし、その程度だ!あなたの能力値ならば、『上級職』に転職できたはず。それが、我との差だ!!」


 そして、あろうことかスカジを吹き飛ばしてしまいます!


「『魔王』!世界の平和のために、あなたを討ちます!」


 私も『魔王』に肉薄し、剣を振りかぶります!


「間合いが、甘い!!」


 『魔王』の周りの球体が激しく回りだし、各々の属性の魔法をバラ撒きます!


 私は、そのいくつかを食らい、後退を余儀なくされます。


「アルテミスは『戦士』と言っても、軽騎士の部類。ならば魔法のバラ撒きで対策可能!」


 同様に玉藻様、葛葉様も攻撃に参加できません。


「くっ!『盗賊』である葛葉も、迂闊に近寄れませぬ!」


 ペルセポネが、魔力を練り上げる!


「『魔王』よ!魔法ならば、いかがかしら?」


 ゴォォォォォッ!!


 それは『権能により強化された魔法』を、エルフの『種族補正』により放たれた、究極の炎魔法!


「さすが、ペルセポネ!けれども!!」


 『南の四天王』の赤く光る球体。それが『魔王』の前に出てきます。


 なんと!ペルセポネの魔法と拮抗し、無効化してしまったのです!!


「『四聖獣』は、純粋な魔力の塊となった!ならば、魔法が効かないのは道理だろう!」


 唖然とする私達に、ルシファーが叫ぶ!


「体勢を立て直すぞ!……我の仲間達に癒しを!『ヒール』!!」


 ルシファーによる『回復魔法』が唱えられます。




 私達を見て『魔王』は笑い声を上げます。


「……ふふふふ。どうかな?『勇者パーティー』の諸君。ひとつ、アドバイスを送ろう」


 『魔王』は、得意気に語り始めます。


「あなた達は『権能』や『種族補正』に頼りすぎている。この世界では、様々な要因を注視すべきだ!……『職業』、『能力値』、『スキル』……それらを極めても、『ランダム』によって呆気なく『死亡』する。それを乗り越えてきたのが、過去の『勇者パーティー』であったと知れ!」


 まだ、私達は突き詰める要素があったのですね。


「その上で、我は『魔王』……『魔族』の『種族補正』を有する『上級職』の『君主』であり、『運命』を司る権能で最大値のボーナスポイントを得て、『四聖獣』を従え、三柱の権能を操る!」


 『魔王』は私達を睨みつけ、怒号を上げます!



「『勇者』諸君よ!この『魔王』に勝てるかな!?」


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