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人の書〜エルドラド建国記〜  作者: 水井竜也(仮)
第7章・女勇者アルテミスと鉄壁魔都の魔王様
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『鉄壁魔都』第3話・葛葉と玉藻

「かかってくるがいい!妾の力、受けてみよ!」


 大葛葉様は妖艶に微笑み、炎を纏った爪を構える。




「スカジ、我らの『権能』を思い出すのです!我らは共に『狩猟の女神』の権能を持つ。つまり、獣としての大葛葉様の動きに対応できるはず!」


 私は『月と狩猟の女神』、スカジは『雪山と狩猟の女神』の権能を持つ。


 大葛葉様の動きを見切り、カウンターのように攻撃を当てていくのがセオリーなのだ。


「二人がかりで抑え込みましょう!小葛葉様、陰陽の術でのサポートをお願いします!」


「アルテミス殿、任されたのじゃ!」


 妖力による致命的な攻撃は、小葛葉様が防いでくれるはず。


「そうだな、アルテミス。『雪山と狩猟の女神』の権能で、獣の動きを見切る!」


 スカジは、バトルアックスを構え直し、大葛葉様の動きに集中する。


 私達の動きは良くなり、連携のタイミングが合ってくる。


 俊敏な動きに、惑わされる必要はない。


 捕食動物は攻撃のタイミングが、一番の『隙』なのだから。


 素早い攻撃は私がいなし、体勢が崩れたところをスカジのバトルアックスが襲う!


 重い攻撃はスカジが受け止め、私が急所を狙う!


「くっ、調子に乗りおって!妾を誰と心得る!?」


 大葛葉様に、焦りの表情が見える。


「ふん!二人がかりならば、妾を倒せると思ったか?そんなもの!!」


 大葛葉様は、再び強大な狐火を放つが……


「葛葉のことを、忘れては困りまするな!!」


 小葛葉様が同様に狐火を放ち、相殺する!!


「今だ、アルテミス!二人で取り押さえるぞ!!」


「ええ!スカジ!!」


 スカジは素早く接近し、アックスで大葛葉様に当て身をする。力強い一撃が、大葛葉様を怯ませる!


 私もすかさず、腕を後ろ手にし、大葛葉様を拘束する!


「よし!封印の術式を、展開しまする!」


 小葛葉様が詠唱を始め、権能を封じ込める陰陽術を発動させる。


「くっ!この妾が……!」


 大葛葉様は封印の力に絡め取られ、徐々にその力を抑え込まれていく。




 大葛葉様が抑え込まれたのを見て、領土争いをしていたワービーストとフィッツも解散していきます。


「時に大葛葉様、今回は、おいたが過ぎましたね。まさか、本気で世界征服をするつもりだったんですか?」


 私は、大葛葉様に詰め寄ります。


「……お前たちは感じないのか?『勇者』として召喚されてから巻き起こる『欲求』を。おそらく、この世界そのものが、そう仕向けているのだ!」


 大葛葉様は、鋭い目つきで私とスカジを見据えます。


「『欲求』?私は、特に感じていませんが。スカジ、あなたはどうです?」


 大葛葉様の意図がわからず、スカジにも聞いてみます。


「正直、オレも感じてはいない。『欲求』……『勇者』を狂わすほどの、何かがあるということか?」


 スカジの発言を受け、小葛葉様がまとめます。


「今のところ、葛葉、アルテミス殿、スカジ殿には異常が見られないということでございまするな?そっちの黒い葛葉は『正気』に戻したとして、他の『勇者』達が気になりますな」


「私達も用心すべきですが、残りの『勇者』は、どちらも『欲求』に囚われやすいとも言えますね」


 風の噂が本当ならば、残りの『勇者』は、あの二人なのですから。


「その『欲求』の話は、心に留めておきましょう」


 私は、仕切り直して皆に告げます。


「何はともあれ、これで『勇者』が四人揃いました。ドワーフ族の『勇者』スカジ、フィッツ族の『勇者』葛葉様、そしてワービースト族の『勇者』葛h……


「あー、妾のことは、これより『玉藻』と呼ぶように。ドワーフの『勇者』よ、ワービーストの『勇者』玉藻だ。以後よろしく」


 大葛葉様あらため、玉藻様は『欲求』で『暴走』していたとは言え、敵対していたスカジに右手を差し出す。


「なるほど『玉藻』か。大とか小とか言うよりも、貴殿らしくて、オレは好きだぜ!」


 玉藻様の意を汲み、握手をすることで、歓迎の意志を示すスカジ。


「葛葉も、よろしくお願い申し上げまする!」


「おう、葛葉!よろしくな!……ニコロと同様に、頭が回りそうだな」


 葛葉様も背伸びをしながら、二人の握手に手を乗せる。


「私達の力を合わせれば『魔王討伐』の任務を完遂できるはずです!」


 私も手を乗せます。そして、お互いに頷き合います。


 私達は『欲求』を乗り越えて『勇者パーティー』となったのです!







 ここは『魔族の都』の『魔王の城』。


 ボク、ニョルズは、領地外に偵察に出ている『上級魔族』の方々からの情報をまとめて、『魔王様』に報告する。


「ホビt……フィッツ族と獣人族で小競り合いがあり、『勇者』が仲裁したようです」


 『魔王様』は、興味深げにおっしゃる。


「ニョルズよ。なぜ、ホビt……と発言できないのだ?我々の常識だと、フィッツなんてわかりづらい種族名を考えるより、ホビt……と呼んだ方が良かろう!」


 ああ、この人はパロディ好きだもんなぁ。


「『魔王様』、どうか我慢してください!他のと違って、ごめんなさいで済まないらしいので!!」


 歌劇『ソロモンの休日』のパロディとして、『ジェラートなどの飲食禁止』『階段への座り込み禁止』の『広場』を出したのに、結局、誰にも気付いてもらえなかったのが残念だったらしい。


 なぜ『王国』に『西国』の名前を冠した『広場』があるのか謎だけれど。


「残りの『勇者』の動向として、エルフ族の都の周りの森は静まり返り、対照的に、天使族の都は異様な熱気があるとのことでした」


 ボクの報告を受けて、『魔王様』は次の行動を指示する。


「領地を覆う『結界』を維持するための魔力を、『四s……『四天王』に頼んだ。ならば『四天王』達の身を守るための『迷宮(ダンジョン)』を作成せねばなるまい!」


 『魔族の王』としての『種族補正』と、『魔王様』の『権能』を掛け合わせてることで『迷宮(ダンジョン)』ができるみたいだ。


 この『魔王の城』も、一瞬にして造り上げてしまった。


「『四天王』の『迷宮(ダンジョン)』が完成の暁には、この領地は『鉄壁魔都』と呼ばれるようになる!『勇者パーティー』と言えども、攻略できるはずがない!!(フラグ)」


 あーあ、フラグ立てちゃった。


 『魔王様』は、真面目な雰囲気で告げる。


「『魔族』になった者の『破壊衝動』の『欲求』。今は、我の権能で皆の『欲求』を抑えている。しかし『破壊衝動』に支配された『魔族』が解き放たれたら……『ゲームマスター』は、何を考えているのだろうか!?」


 その言葉には『為政者』としての怒りの感情が、にじみ出ていた。


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