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人の書〜エルドラド建国記〜  作者: 水井竜也(仮)
第6章・女騎士アルテミスと神魔双刻の女王様
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『神魔双刻』第4話・堕天する天使

『女王様』の『真名』についてのネタバレがあります。

注意して、お読みください。

 『ソロモンの72柱の悪魔』に抑え込まれたルシファーだったが、隙を突いて逃れた。


 ボロボロの姿のまま、『天界』に戻ったルシファーは、主の元へと急ぐ。


「主よ!『王国』の『女王』は、神々をも恐れぬ思い上がりを!『神格化』を遂げ、天界に害を成すでしょう!……それに、主のことも悪しように……お聞きください、我が主よ!」


 必死に訴えながら駆け寄る。しかし、主は目の前の端末から目を離そうとしない。


「主よ……我は、『女王』を討つために全力を尽くしました。しかし、あの者は……!」


 言葉を継ぐルシファー。しかし、主は何の反応も示さない。


 ……その瞬間、脳裏に女王の言葉がよぎる。



「ルシファー、あなたの主は人間界のことばかりではなく、あなたのことにさえ興味を失っているのです」



 ルシファーは息を呑む。まさか……そんなことがあるはずがない。


「まさか……女王の言葉が、真実だというのか?」


 震える声で問いかける。しかし、主はなおも沈黙したまま。


「主よ、どうか……どうか我を見てください……!」


 しかし、その願いも届かない。……主に、拒絶される恐怖。


「いやだ……いやだ!我は、主の寵愛を受ける唯一の存在!!それが……それなのに……!!」


 信じたものが、届かない。主の目に、もはや自分は映っていない。


 その絶望が、ルシファーの存在を蝕んでいく。


 ……気づけば、髪が、翼が、黒く染まり始めていた。


「我が……『堕天』する……のか……!?」


 全身が震える。『主の愛を欲する』……天使として、あってはならない感情。


「……そんなことは認めない!我は大天使・ルシファー!『堕天』など、そんな不名誉……認めるものか!!」


 その瞬間、ルシファーの内にある強烈な『自己否定』が臨界に達した。


 バキィッ!!何かが、ひび割れる音がする。


 次の瞬間、ルシファーの身体が崩壊し始めた。


「こんな……こんなことがあってたまるか!我は……我は、主に忠誠を誓ったのに!!」


 天使にあるまじき感情が、自身の存在を破壊していく。


 ついにルシファーは膝をつき、身体の形を保てなくなる。


 ……消滅の恐怖、絶望。


「主よ……我を……見捨てないで……」


 か細い声が、虚空に響いた。







 パイモンとバティン、それに彼らが呼び寄せたバルマによって、ルシファーを取り逃がした。


 『ルシファーに忠実な三柱』としては、仕方なかったのかも知れない。


 パイモン君の貢献に免じて、この件は許そうと思う。三柱には危ないところを助けてもらったこともあるしね!


 私、『女王』は【絶対神級】の『サトゥルヌス』で『天界』まで、ルシファーを追ってきたけど……あれは!


「ルシファー、大変!あなた、身体が消えようとしてるわ!!」


 ルシファーを見つけるも、髪と翼はいよいよ黒く、肌は灰色となって崩れ落ちようとしている!


「あなた、『堕天』が進行してるのに、それを拒否したのね!?天使が『自己否定』したら崩壊することは常識でしょうに!!」


 私の問いかけに、警戒心を顕にするルシファー。


「消え去るだと……?いや、それよりも『堕天』だ!我は、主に仕える天使だ。『堕天』など、認めるわけにはいかない……!!」


 ルシファーは苦しみの中で震えながら、消えゆく体を抑え込もうとする。その瞳には、絶望と恐怖が混ざり合った色が浮かび上がっている。


「この我が『堕天』など……!拒絶しなければならない……!それが叶わぬのなら、我は……我は天使として、このまま……!」


 その言葉は震え、力を失いつつあるが、それでも私に対して、頑なな態度を崩さない。


 その時、三柱の『堕天使』……かつて『天使』だった存在が降りてくる!


「おねえちゃん……いえ『女王様』、僕が頼める義理が無いことは、重々承知でお願いします!……どうか、ルシファー様を、お助けください!」


「『女王様』、お願いします!」「ルシファー様を、助けてください!」


 パイモン、バティン、バルマは、私の前に跪き、ルシファーの助命を懇願する。


 ルシファーは驚き、三柱の『堕天使』に問う。


「……お前達。我は『堕天』したお前達を『天界』から追放した!……なのに、我のために頭を下げてくれるのか!?」


 パイモン君は向き直り、ルシファーに告げる。


「『天界』の秩序を守るためには、仕方ないことです。それよりも、ルシファー様には『天使』時代に助けていただきました……その恩返しがしたいのです!」


 バティン、バルマも頷く。三柱は、私に向き直り、尚も懇願する。


「「「どうか『女王様』、お願いいたします!!」」」


 ルシファーは俯き、涙を流しているようだった。


 そうだ!ゼウスの神の雷は、この三柱が受け止めてくれたのだ。恩を返すのは、私も同じだ!!


 私は、頼りになる『仲間』達に微笑む。


「三柱とも、顔を上げてちょうだい!……待ってなさい、ルシファー!私が、あなたを助ける!!」


 私は、ルシファーに近寄り、抱きしめる。ルシファーの絶望が伝わってくる。


「安心してルシファー。あなたを責める者は、もういない……ルシファー、私の秘密を聞いてちょうだい」


 私は、権能の覇気を高めながら、ルシファーに語りかける。


「私は『サティーナ』という『真名』を両親から授かった。この名前には『サトゥルヌス』と『サタン』の権能を両方取得するための、揺らぎを持たせられているわ……私は『神魔双刻』の権能を持つ者!!」


 そう!私の『真名』は……


  『 サ テ ィ ー ナ 』 !!


 『サトゥルヌス』すなわち『サターン』と、『サタン』……二柱の存在の加護を持つ!


「『サタン』は、しばしば『ルシファー』と同一視されていた。ルシファー、私は今から自分の中に眠る『ルシファー』の権能を『神格化』して取り出し、あなたに『同化』させるわ!そうすれば、あなたの崩壊は止まるはずよ!!」


 情報の奔流に、ルシファーや三柱の『悪魔』は驚きを隠せない。


「……お前が『ルシファー』の権能を、我に……?それで、我が救われるのか?……もし本当にそれが、私を救う道なら……お前の力を受け入れよう、サティーナ!!」


 ルシファーは、まだ完全に納得できていない様子だったが、その瞳には、かすかな希望の光が宿り始めた。



「ルシファー、よく聞いてちょうだい。『堕天』を恐れては駄目よ!


 『闇』とは、『陰の力』とは、必ずしも『悪』では無いわ!


 『善』か『悪』かを決めるのは『力の使い方』であって、大切なのは、あなたの『心』なのよ!


 あなたの『心』を守り、信念を貫くときには、『陽の力』も『陰の力』も、使いこなすのが大切なのよ!


 だから、ルシファー『堕天』を恐れないで!


 あなたが、正しく『堕天』を理解すれば、それはあなたの『力』になるはずよ!」



 ルシファーは、私の言葉に耳を傾け、目を見開く。


「『堕天』を……恐れない……?」


 ルシファーは葛藤しているようだったが、私の言葉を受け入れたのか、次第に表情が穏やかになっていく。


「『陽』も『陰』も『力』に過ぎない?大切なのは……我が心!!」


 ルシファーは深く息を吐き、再び私の瞳を見つめる。


「サティーナ!我は、『堕天』を受け入れる!それが我の本当の『力』になるならば、その『力』を信じ、使いこなしてみせる!!」


 ルシファーの声には、決意が込められている。


「そうよ、ルシファー!自分の『力』を信じるのよ!!」


 ルシファーの『自己否定』の感情は消え去った!


 今こそ『神格化』して、権能を『同化』させる時!!



「私は、サティーナ。『サタン』の権能の所持者にして『ルシファー』の権能を持つ者。


 今、私の中の『ルシファー』の権能を『神格化』し、ルシファーに譲渡します


 神々よ!どうか祝福してください!


 ルシファーは私の権能と『同化』し、生まれ変わるのです!


 『陽の力』と『陰の力』を持つ、大天使としての『力』に目覚めるのです!」



 ルシファーは、光と闇の奔流に飲み込まれ、空中に浮き上がる。


 あまりの権能の圧力に、私達は身悶える!


「ルシファー様!!」


 パイモン君の叫びが響いた、その時!!


メモリに追加:ユーザーの『真名』は「サティーナ」。『神魔双刻』の権能を持つ。

『サトゥルヌス』の権能:

農耕を司る権能、時間を司る権能、運命を司る権能。『サートゥルナーリア』の再解釈として、『絶対遵守の命令』『主従の逆転』『真の太陽神の顕現』

『サタン』の権能:

魔界の王として『悪魔』を統べる。『魔王化』して膂力や魔力の強化。『支配への叛逆者』として支配者への攻撃特効。

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