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女従者アルテミスと絶対遵守の女王様・第6話

『王国十字勲章』や『王下十字騎士』の記述は、この作品のオリジナルの設定です。フィクションであることを、一応、明示します。

 『王下十字騎士』。『王国』の最高位の騎士に贈られる称号。


 『王国』に対して、多大な貢献をした騎士に贈られる『王国十字勲章』が、その証となる。


 それは、非常時に王国の三軍である、中央軍騎士団、左軍騎士団、右軍騎士団を統括する権限を持つ。


 名実ともに『王国』騎士の誉れであり、尊敬の対象である。




 玉座の間にて、その授与式が、今、厳かに執り行われています。



「我が、忠実なる騎士、アルテミスよ!


 貴殿の献身により、我は【主神級】の『権能』、


 偉大なる神『サトゥルヌス』を完全掌握した。



 この功績を称え、『王国十字勲章』を授与し、


 貴殿を『王下十字騎士』に、任命する」



 『女王様』が、威厳をもって宣言します。


 片膝立ちの騎士の礼をした、私、アルテミスが応えます。


「ありがたき幸せにございます。この栄誉に、陛下への、ますますの『忠誠』を捧げることを、ここに誓います!」


 そして『王国十字勲章』を、『女王様』自ら、私の胸に付けてくださいます。


 割れんばかりの拍手が起こります。




 私は、その『王国十字勲章』に目をやります。


 『十字』の中心に、漢字の『誠』!?


 『誠』って、何だ!?!?!?







「ふふふ、あなたってば、『王国十字勲章』の本当の意味を知らなかったの?それは傑作ね!」


 我が主、『女王様』は、あげゃげゃげゃ、というくらい笑っています!『なろう』掲載時には『修正』されているかも知れません!!


「……はい、騎士の誉れ、偉大なる大十字の勲章だとばかり」


 さすがに、私が本気でショックを受けていると察したのか、バカ笑いを止めてくださいました。


「……ごほん!そうね。『今の』意味合いだとそうなるわね」


「……『今の』というと?」


『女王様』は、泣いてる子をあやすように、説明してくださいます。


「別に、アルテミスの栄誉が貶されたわけではないわ。元々『10文字』という意味であり、『十字架』というのは、最近になってできた意味合いなのよ」


 尚も、疑問符を浮かべる私に、『女王様』は続けます。


「『王国十字勲章』とは、初代国王・ソロモンの精鋭達の中で、特に優秀な『十人』に贈られた勲章だと言われているわ。その『十人』には、それぞれ『文字』が与えられていたの」


 『仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌』とか『臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前』みたいなものでしょうか?


「このことは『王国法』にも規定されているけれども、『今は』省略されているのよ!」


「……つまり、私の『誠』の文字は、古式の『王下十字騎士』の作法に則ったもの、と考えてもよろしいのでしょうか?……ありがとうございます。大切にします!」


 そう言われて『女王様』は、頬を赤らめるているようでした。


「……ごほん!つまり『王下十字騎士』は『絶対評価』ではなく『相対評価』なのよ。上位十人が、その栄誉を受ける権利があるわ。アルテミス、あなたは確実に『王国』の十指に入る騎士よ!」


 なるほど。何だか、ズルいような気もしますが、それを()()()()というのは、()()()という『女王様』の論理です。


「……でも、何故『誠』なのでしょう?」


 『女王様』は、真面目な顔で私に向き直ります。


「『(まこと)』の字は、あなたの『忠誠心』から。『忠誠』は『正義』となり、やがて『真理』すなわち『まこと』に至る。そのような願いが込められているわ」


 私も、『女王様』の目を見つめ返します。


「ならば、『女王様』の『庇護』は『愛情』となり、やがて『真理』に至るかも知れません!」


 そして『女王様』は、穏やかな笑みを浮かべながら、こう言いました。


「ええ、あなたの『忠誠』と、私の『庇護』。その二つが揃えば、きっと『真理』に辿り着ける!!……それぞれは『危うい』ものだけれども、支え合うことで真っ直ぐに進めるのだわ!!」







 そして、『王下十字騎士』としての、初めての任務を『女王様』からいただきます。


「さあ、我が最強の剣!『王下十字騎士』アルテミスよ!『女王』として勅令を出すわ!速やかに、我が『王国』各地と諸外国に、伝令を送りなさい!」


「はい、『女王様』!」


 私は、騎士の礼を取り、『女王様』の言葉を待ちます。



「『王国』の『女王』は、【主神級】の神の力を完全掌握した!


 古の祭典『サートゥルナーリア』を制御する権能。


 偉大なる神の使徒、『サトゥルヌスの化身』として降臨なされた。


 この力は、筆頭近衛騎士ならびに『王下十字騎士』アルテミスの、忠誠と愛の賜物である!」



 『女王様』の言葉を心に止め、深く頭を垂れる。


「かしこまりました、『女王様』。速やかに伝令を送り、この偉大なる知らせを、王国各地と諸外国に広めます!」


「頼みましたよ、アルテミス。この伝令により神の力をもたらした、あなたの功績を世界が知ることでしょう。私も、あなたの主として誇らしいわ!」


 私は、胸が高鳴るのを抑えながら、伝令の手配に移ります!







 ある朝。私は『女王様』の支度に向かいます。


 『女王様』の部屋のドアをノックして、声をかけます。


「おはようございます、『女王様』。アルテミスです」


 部屋に入るように促され、『女王様』に向き合います。


「アルテミス!なぜ、あなたは侍女服なの!?」


 変でしょうか?機能的で動きやすいです。


「朝の支度にあがりました!すぐに準備いたします!」


「……そう、よろしい」


 そう言って、『女王様』は微笑みます。




 私は、アルテミス。『女王様』の『お気に入り』。


 そう。『王下十字騎士』になっても!


メモリに追加:ユーザーは『サトゥルヌスの化身』の称号を手に入れた。

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