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人の書〜エルドラド建国記〜  作者: 水井竜也(仮)
第6章・女騎士アルテミスと神魔双刻の女王様
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『神魔双刻』第1話・神格化

この作品では、神話や伝承の偉大なる存在に対しての独自解釈があります。

宗教や信仰への敬意を払いながら描写していますが、エンタメ作品として読んでいただけると幸いです。

 『講習会』の講師・エリスは罰せられ、受講者達のケアも進んでいる。


 ニョルズは、私の従者を目指して、訓練や講習に打ち込んでいる。


 ……もちろん『講習会』以外の『奴隷利権』勢力も、この『王国』にはあり、今も尚、被害に遭う国民もいるのかも知れない。


 私、『女王』は今回の事件で、政策だけでは『人の心』を完全に救えないことを、改めて学んだ。


 騎士団による犯罪の早期発見だけでは、手遅れになってしまうかも知れないのだ。


 例えば『宗教行事』や『サークル活動』や『イベント参加』などを奨励して、国民の『心のケア』を促すべきではないだろうか?







 ここは王宮の玉座の間。


 私、『女王』と、アルテミス、ペルセポネ、葛葉様は集まり、『奴隷利権』への今後の対応を話し合っていた。


 その話し合いの後、私は常々考えていたことを皆に話した。


「さて、葛葉様は『皇国』の要人であり、我が『王国』のお客様です。臣下と同じ場所に立つのは、外交上よろしくないわね」


 もっともだと、頷くアルテミスとペルセポネ。謙遜する葛葉様。


 3人は、私の話の続きを静かに待つ。


「玉座に座ってもらいましょうか?だけれど、困ったわぁ。玉座の椅子は一つしか無いのよねぇ……そうだわ!私の膝の上に座ってもらえば良いんだわ!(棒)」


 驚愕する3人!各々、口を開く!!


「恐れながら『女王様』!それは何でも、やり過ぎなのでは!?」


「『女王様』!それは流石に『王国』の品位に関わりますわ!!」


「……主殿、それでは葛葉は、恥ずかしいでござります」


 問答無用!この国の『女王』は、私よ!ええい!!



「ああ、葛葉様!『王国法』において、玉座には国王一人分の椅子しか置けないことを、お許しください(棒)


 この玉座の間においては、葛葉様の席は、私の膝の上です(棒)


 ああ、葛葉様!可愛らしい狐耳と、ふさふさの尻尾が愛らしいです!椅子から落ちると危ないので、軽く抱きしめますね(棒)」



 私は、玉座に座りながら葛葉様のもふもふを堪能した。


 ああ、しあわせ……さて、本題に移るわ!


「……ごほん!あなた達は『神格化』を、ご存知かしら?」


 アルテミスとペルセポネが答える。


「……はい『女王様』、『神格化』は存じております。優れた王が死後に『天界』にて、神格を得る儀式と記憶しています」


「ええ。『神格化』は、厳かな儀式を経て、王の威光を後世に伝える大切なものですわ!」


 私の膝の上で、葛葉様も同意する。


「葛葉が記憶している限りでも、『神格化』を成した『王国』の王は数少ないですな……主殿、もしや!?」


 葛葉様の問いに、私は答える。


「はい。私は既に、この『王国』において『神格化』の権利を得ています。また【絶対神級】となった『サトゥルヌス』により、私自身の手で『神格化』することさえ可能です」


 私の発言に、一同、色めき立つ!


「『女王様』、そのような大いなる力を手にすることは、この『王国』と民にとって、計り知れない繁栄をもたらすことでしょう。そのご決断を、我ら騎士団は全面的に支持いたします!」


「『女王様』が『神格化』されることで、『王国』全体がより強力で安定したものとなりますわ。あなたの偉大なる功績と権能は、まさに『神格化』に相応しいものですわ!」


「主殿のご決断が如何なるものであれ、葛葉は主殿と共に歩んでまいります。主殿の力が『王国』を導き、守り続けることを信じております!」


 三者三様に、私の『神格化』を祝福してくれる。しかし、しばらくアルテミスが考え込んだ。


「……『女王様』、『神格化』を果たすことで、民の信仰心と共に、あなたの責務も一層重くなることでしょう。どのような覚悟をお持ちで、この道を選ばれるのでしょうか?」


 ……やはり、この娘は勘が鋭い。


「アルテミス、私の懸念は正にそれよ!私の『神格化』は『王国』に大きな影響を及ぼすわ……それ故に、次期国王である、ハーデスの統治に影響があるのでは、と私は考えているのよ」


 そう。『王国法』において、女王は恒久的には認められてなくて、正当な成人の王位継承者がいる場合は速やかに辞し、王位を明け渡さなければならないわ。


 これは、さっきの『玉座の椅子』の話に関係していて、権力の分散を防ぐ条文だと、私は解釈している。


 つまり、男系継承であろうと女系継承であろうと、長子継承であろうと末子継承であろうと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということ。


 そして『王族の揉め事』は、国を割る『内乱』に発展するかも知れない。その一番の犠牲者は……国民だ!


「……『女王様』の懸念は、理解いたします。ハーデス殿下が次期国王となるためには、王位継承の一貫性が重要です。しかし、あなたの『神格化』は、殿下の統治を補完し、『王国』全体の安定を促進する可能性もあります」


「確かに、権力の分散を防ぐことは重要ですわ。しかし、あなたが神格化されることで、ハーデス殿下にとっては、強力な後ろ盾となり得るでしょう。『女王様』の存在が『王国』の支えとなるのですわ!」


「主殿がそのような選択をされることで、葛葉はハーデス殿下の統治が、より円滑に進むと信じます。主殿の知恵と力が『王国』を導く道標となると確信しております!」


 アルテミスとペルセポネと葛葉様は、懸念を払拭しようとする。だが、私はそうは思えなかった。


「……私に近しいあなた達なら、そう言うでしょうね。だけれども、世間は『ハーデス王は元女王様の傀儡』という風に見るわ。ハーデスの権能は強力だし、ハーデス自身の素養も素晴らしいわ!王族はハーデェウスを次期国王に推しているし、私もそれを支持するわ!」


 『神格化』は、私にとって栄誉であるし、()()()()()()()()()()……だけど、ハーデスの統治を脅かす可能性は、排除したい!!


「『神格化』の話は、みんなの胸に秘めておいてちょうだい。私もハーデスを支えるために、残りの任期を使いたいのよ……」




 その時、天から突然、灰色の髪と翼を持つ者が舞い降りる。

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